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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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『令和医療手技図譜 新型コロナウィルス編』(2023冬コミ 新刊案内)

2023/12/31 東5ホール ぺ56b ねじ子アマ

令和医療手技図譜 新型コロナウィルス編

200ページ 1500円

この本は同時代性を重視した内容になっています。目次も、私が新型コロナウィルス感染症に関して勉強した(いやがおうにも必要になった)知識の順番で作りました。当時体感した通りの、私自身の「意識の流れ」にそった章立てになっています。

章ごとに「それがいつ描かれ、いつ発表したものであるか」を記しておきます。

・第一章 物資不足 … 2023年5月5日 コミティア コピー誌
・第二章 街も人も動き出す … 2023年5月5日 コミティア コピー誌
・第三章 熱と検査とPCR … 描き下ろし
・第四章 ワクチン開始 … エキスパートナース2021年6・7月号
・第五章 自宅療養のやり方 … 2021年12月31日コピー誌(初出) 、エキスパートナース2022年5月号付録(改定)
・第六章 三回目・四回目のワクチン … エキスパートナース2022年9月号
・第七章 抗原検査キット … 描き下ろし
・第八章 そもそもコロナってなんだよ … 描き下ろし

コロナの流行時、状況は時々刻々と変わっていました。描いたそばから内容が変わっていく!また書き直しだよ!という体験を何度もしました。最新の情報に必死で食らいついて、なんとかその時その時の記事を書いていました。この本に書かれている方法の多くは、現在そのままでは通用しません。当時の社会情勢、流行状況を前提にしたやり方のため、今となっては「やりすぎ」「無駄だ」「そこまでしなくてもよいのでは?」と思うこともあります。その時を経験していない人にとっては、「へー。そんなに大変だったのか」程度ですむことでしょう。

2023年12月現在、新型コロナウィルスは指定感染症の第5類分類になり、日常にありふれた病気の一つになりました。医療物資もちゃんとあります。この本でまとめた情報は古く、過去のものです。でもそれでいいのです。これはその時でしか描けない、その時限りの記録です。音楽で言うならばレコーディングスタジオではなく、一回限りのライブ録音。「ライブ感」と言ってもいいのかもしれません。

平成18年から続けている同人誌『医療手技図譜』のシリーズは、江戸時代の植物辞典である岩崎灌園著『本草図譜』からインスピレーションを受けています。時代を切り取った図譜というコンセプトに、新型コロナウィルス感染症によるパンデミックは実は結構ふさわしいテーマなのかもしれません。

久しぶりに分厚い新刊が作れて嬉しかったです。よろしくお願いします!(2023/12/29)