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医師兼漫画家として活動しております森皆ねじ子のホームページにようこそ。

ここは森皆ねじ子が適当に情報発信しているページです。不定期更新ですが、いちおう新刊が出たりコミケに出たりするときはきちんと告知するつもり。予定。たぶん。

サイトマップはこちら。ともかく楽しんでいってくだせぇ。

2016年 ねじ子のオレコンランキング

1位 ロケット団(ムサシ・コジロウ・ニャース) / ロケット団 団歌

アニメ「ポケットモンスターサン・ムーン」一夜限りのエンディング曲。ロケット団3人の声優さんたちが作詞を手がけ、歌も歌っている。

「それいけ!アンパンマン」におけるばいきんまん、「ヤッターマン」シリーズのドロンボー一味、ポケモンのロケット団と、日本における「よくできた」冒険活劇アニメシリーズには、憎めない悪役レギュラー陣が不可欠である。彼らが毎回小さな悪事を計画し、なんらかのトラブルをおこして(これが物語を動かすきっかけを作る)主人公たちに懲らしめられ、去っていく。でも、完全に排除はされない。主人公から少し離れた場所で、彼らはいつもしたたかに生きている。これはゆるやかな共生であり、日本における正しい勧善懲悪の描写であると私は思っている。敵を完全に根絶やしになるまで根絶する冒険活劇は(アメリカでは受けるだろうが)狭いムラ社会の日本には似合わない。気の食わない人間や目的の違う人間だっているけど、決して完全な排除を狙わず、コミュニティの中で適度な距離をたもち共存するのが、災害が多く国土が狭い日本における現実だと思う。

共存するために、彼らは決して「絶対に許すことができないほど」悪いことはしない。実は6年前のポケモンアニメ「ベストウイッシュ」において、ロケット団ははじめて完全にシリアスな悪役として描かれた。毎回決まった名乗りを上げて登場する例のパターンも放棄した。結果として「ベストウイッシュ」は面白みに欠けた作品となった。まぁベストウイッシュがつまらなかったのは、ロケット団だけのせいではないけれど。我々はロケット団の底抜けの明るさ、何度主人公に負けても決してめげない姿、仲のよさ、馬鹿馬鹿しい決め台詞の「お約束」に、毎週心を癒されていたのだ、実は。失ってはじめて気付く安穏ってやつだ。時代劇が減り、水戸黄門が放送されなくなり、子どもたちにわかりやすい勧善懲悪が失われつつある今、ばいきんまんとロケット団には末長く頑張って欲しい。

2位 くるり / 琥珀色の街、上海蟹の朝

くるりにしては珍しいラップソング。これまたくるりにしては珍しく前向きでありがちなリリックが続いたあと、突然のサビでキラーフレーズが降ってくる。「上海蟹食べたい あなたと食べたいよ 上手に割れたら 心離れない 1分でも離れないよ 上手に食べなよ こぼしても いいからさ」宇宙規模の孤独を感じている少女の胸に飛び込んでいくイメージ映像の中、突然の食べ物の話。しかも食べ方まで言及。あぁ、つんく♂だ。これはつんく♂の世界観だよ。宇宙のどこにも見当たらないような約束のキスを原宿でするんでしょ。宇宙のどこにもないものが、原宿という極地にあるんでしょ。マクロ的視点では何も存在しない、のっぺりとした空間に放り出された個人が、ミクロ的視点によって真理や喜びにたどり着くってことでしょ。

ちなみに2番では「上海蟹食べたい 一杯ずつ食べたいよ 上手に食べても 心ほろ苦い あなたと食べたいよ 上手に割れたらいいな 長い夜を越えて行くよ」とある。タイトルも「上海蟹の朝」だ。これは「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」と同じである(断言)。あ、今なら「モーニングみそ汁飲もうよ まーどぅーで」か。朝から上海蟹を食べるはずもないので、ありていに言えば「上海蟹食べたい」ってのはセックスしたいってことで、サビをわかりやすく日本語に直訳すると「君とセックスしたい 上手にセックスできたら 心離れない 上手に食べなよ こぼしてもいいからさ」ってことなんだろう。おい、何をこぼしてもいいんだ。女の子に何を飲まそうとしているんだよ。「上手に割れたらいいな」って、何を割ろうとしているんだ。破瓜か。直接言ったら台無しなことを、食べ物で暗喩。サウンドは最高にお洒落、まったく手抜きなし。アニメ映像も最高にお洒落でまったく手抜きなし。最高だね、私そういうの大好きよ。

3位 キング・クリームソーダ / ♪ばんざい!愛全開!

つんく♂作詞、はたけ作曲。歴史的名曲「シングルベッド」の体制である。つんく♂とはたけがコンビを組むのは実に5年ぶりとのこと。つんく♂さん病気してたもんね。ゲーム『妖怪ウォッチ3 スキヤキ』のオープニング曲である。「あれ?『妖怪ウォッチ3』って、『ポケモンGO』と発売日がかぶって話題をつぶされてなかった?」と思っていたら、どうやら7月に出たゲーム(妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ)のリメイク版がすでに12月に出ているらしい。いくらなんでもサイクル早すぎ。半年も待たずにリメイクしやがって。子どものお小遣いをいったい何だと思っているんだ。レベルファイブはいつもそうやって、早すぎるリメイクで既存のファンをがっかりさせながら、自らの商品価値をすり減らしていく。最後は作品ごとスパッと捨てて、次の企画へ行く。レイトン教授もイナズマイレブンもそうだった。

歌は「妖怪ウォッチ」でおなじみキング・クリームソーダ。もちろん最高に歌がうまい。もちろん最高に曲もいい。

つんく♂さんはハロプロ以外にも曲を提供するようになった。そしてそのどれもが素晴らしかった。「いないいないばぁ!」の『まる、まるっ』も『ずーっといっしょ』も「クラシカロイド」の『やってらんない気分』も『嗚呼 えんどれすどりいむ ~乙女の祈りより~』も最高だった、最高だったからさ、もう帰ってきてくれよ!頼むよ!我々ハロヲタはつんく♂さんに捨てられてしまったのだろうか。胸が苦しい。ハロプロ以外につんく♂の曲が提供されていると、しかもそれがいい曲だと、胸が苦しいよ。これが嫉妬という感情か!!うう!どうすればいいんだ!

「クラシカロイド」14話のエンディングを元太陽とシスコムーンの小湊ちゃんが歌っていたことにも痺れた。ストーリーも月と太陽の話だったし。ねじ子が太シスで一番好きな曲は何を隠そう『月と太陽』です。2017年にもなって太シスネタをNHKで見られるとは!長生きはするもんだネ!つんく♂不足ですっかり病んだ私の目にはもう、バッハがつんく♂に見える。ということはバッハの隣にいる顎にほくろのある女性は道重さゆみだな!さゆに決まってる!うむ!藤田監督ありがとう、最初の数話を見たとき「歌苗が男の子だったら今の1024倍は腐女子が釣れていたであろうに」という見当ちがいな感想しか持たなかった自分を今からデロリアンに乗ってぶん殴りに行くよ。

4位 モーニング娘。’16 / 泡沫サタデーナイト!

ねじ子の今年のハロプロ楽曲大賞曲にして、最愛の鈴木香音ちゃんセンター曲かつ卒業曲。

ハロヲタとしても有名な「赤い公園」の津野米咲さんの作詞作曲。『LOVEマシーン』を代表曲とする黄金期のモーニング娘。が大好きだった女の子が、大人になり、音楽家になり、本家モーニング娘。に「あの頃のモーニング娘。」を彷彿とさせる曲を提供する。素晴らしい物語だと思う。ヤケクソに近い明るさ、真似しやすいダンス、安っぽくキラキラした衣装、20代OLをターゲットにした歌詞、ディスコファンクサウンドと、確かにすべてが黄金期のモーニング娘。っぽい。香音ちゃんの前代未聞の個性が弾ける感覚も、黄金期のモーニング娘。っぽい。素晴らしい。「『LOVEマシーン』みたいな曲を作ってくださいよー」という何千回も繰り返されたであろう糞オファー(そのたびにきっとつんく♂は苦笑いして聞き流してきたのであろう)に対する百点満点の回答だと思う。優等生の女の子が完璧な模範解答を持ってきたのを見守っているような気持ちだ。確かにみんなモーニング娘。にはこういう曲を求めているんだよね。

この曲の発売が香音ちゃん卒業のたった20日前で、完全な形での披露がほんの数回しかなかったことが本当に惜しまれる。なんで卒業3週間前にこれが完成するかな。どうしてもっと早く、この感じができなかったのだろう。彼女はずっと、モーニング娘。でいちばん有名なメンバーだったのに。さらに言えば、鞘師がいる間にこれができていれば、鞘師の運命も香音の運命も少し違ったものになっていたはずだ。今のままでは、この曲の素晴らしさはYoutubeの中に閉じ込められてしまう。もっと地上波でみんなに見せたかった。


卒業ライブの『泡沫』。22:09から。

さて、鞘師が遁走し香音が勇退して看板娘がいなくなったモーニング娘。’16。を、私は地上波のテレビで初めて見た。香音ちゃんのいなくなった『泡沫』を歌う彼女たちをボンヤリと眺めながら、私は確かに「あぁこれからは佐藤優樹の時代がやってくるのだな」と感じた。

つんく♂が過去に言ったように、佐藤優樹のことは22歳まで待ってあげなくちゃいけないんだと思う。彼女をセンターに据えるには、まだ早い。ずいぶん早い。しばらくの時間が必要だ。でももう他に人材がいないんだよ。メキノメリアちゃんはセンターを張れるだけの十分な華があるけれども、まだ早い。まだまだ歌を歌っているというより、音程をなぞってる段階に見えるし。あと2年は必要である。小田ちゃんとフクちゃんは高い歌唱力があるけれども、もう十分に歌割をもらっている。

そもそも本来ならば今は鞘師が絶対的エースとしてモーニング娘。に君臨しているはずの時間だった。他のメンバーは鞘師という大きな防風林の影ですくすくと成長し、数年後に果実が実るはずの若木であった。5年後あたりにピークが来て、大きな収穫が見込めるであろう人材が採用され続けてきたのだ。歌唱力的にもパフォーマンス的にも、まだまだ即戦力ではない。当たり前だ。

でも、鞘師の心がもたなかった。防波堤は崩れ、たくさんの苗木たちが荒波にさらされ続けている。鞘師の心が折れたことは決して責めるべきではない。そもそも、その鞘師も必要以上に早くエースとして荒波にさらされてしまった子どもなのだから。当時も、まだ幼い鞘師をいち早く抜擢するしかなかった。その抜擢は同期との間に圧倒的な格差を生んだ。推された鞘師は孤立し、推されなかったメンバーたちは疲弊して心を病んだ。上京して間もない思春期の少女たちには無理もない話だろう。結果として深まった鞘師の孤独は彼女の(そしておそらく香音も)早期離脱の一因になったと思う。

さらにその根元を探れば、そもそもの原因は7・8期が一人も残っていないことにある。本当に今更だけど、ホントは7・8期がリーダー&エースを張っているはずの時間なんだよ!今は!でも、みんなとっくにいなくなっちゃった。もちろん、7・8期のメンバーが悪いわけではない。ただ人数が少なすぎた、そしてみんないなくなるのが早すぎた。8年前の人事ミスがいまだに響いているのである。

というわけで、今モーニング娘。は正念場だ。新しく発表される13期メンバーにねじ子は大いに期待して武道館に足を運んだわけだが、そこで見せられたのは新しいモーニング娘。の物語の始まりではなく、研修生の物語の最終回であった。最終回は大団円で感動的だったけれども、私が見たいのはこれじゃない。私が見たいのはモーニング娘。の新しい物語が始まる瞬間なんだよ。『MY VISION』ってツアータイトルのわりにはモーニング娘。の新しいビジョンが具体的に語られることはなかったし。あ、事務所様のビジョンが「これからは研修生制度を中心にやっていくつもりだから!へそんとこよろしく!」ってことだけはビンビンに伝わってきたけど。

そうそう、つんく♂さん更迭後、すべての決定権を握っている大人たちが影に隠れてメンバーを守らず、ファンに叩かれそうな案件をすべて「メンバーが決めている」という体にしているけど、これは本当にやめてほしい。そんなはずないでしょ。億の金が動く決定を彼女たちがしてるはずないでしょ、未成年女子ばかりなんだから。重要なことを会議で決めてる大人たち、あなたたちが出て来なさいよ。人のせいにするなよ。前に出てメンバーを守ってよ。出て来られないのなら、メンバーのせいにする資格はない。せめて彼女たちの意思であるかのように装うのだけはやめてあげてほしい。上司のせいで自分がやっていないことの責任を負うことになってしまった労働者は、心を病む確率が格段に高くなるから。実際、心と体の健康を持ち崩すメンバーが次々続々と増えているではないか。私は夢を追う女の子を見たいのであって、夢破れて心身ともに病んでいく女の子なんか絶対に!見たくないんだよ。高木紗友希ちゃんの喉が潰れなくてよかったよ、金澤朋子ちゃんが辞めないでよかったよ。あれだって、「220公演・地獄のロードを自分たちで決めました」とかいうブラック企業宣言、あ、違った LIVE MISSION 220宣言がなければ、病名を公表せずになんとかやり過ごせたかもしれないんだ。明らかにやり過ぎのスケジュール組みやがって。しかもそれをメンバーが決めた体にしやがって。キー!労働者の健康を守らない企業を私は許さないんだからね!

「メンバーが決めている」という体をこれからも続けるなら、精神を持ち崩して離脱していくメンバーがどんどん増えていくのを止めるのは難しいように思う。精神不安定は業務上の事故に直結するから、怪我や病気による離職を防ぐのも難しいのではないか。実際つんく♂さんがいなくなってから、志半ばで精神または身体の健康を持ち崩してしまう例が増えているように思う。これはどんなにいい音楽を作っても、防ぎようがない。メンバーを精神的に支え、彼女たちの盾になり、会社とメンバーの意見が別れたときはメンバーの側についてあげる大人がいなくてはならない。そして、これはとてもむずかしい。だってスタッフの皆さんは全員会社員だから、上司に逆らうのはつらいよね。でも、自らが盾になってメンバーを守ることができないなら、つんく♂の代わりは永遠にできない。音楽だけ真似したってだめだ。

村上春樹さんはエッセイで「僕にとっての良い編集者というのは、とてもはっきりしています。会社の側よりは、作家の側についてものを考えてくれる編集者です。そういう人はそんなにたくさんはいませんが。」と言っていた。そう、そんなにたくさんはいない。きっと同じことだ。会社の側よりは、メンバーの側についてものを考えてくれる人。つんく♂早く帰ってきてくれ。

5位 スピッツ / 醒めない

冷めないではなく、醒めない。夢から醒めないって意味かな。迷いがなくならないってことでもあるのかな。

オールド・ファンとしては、超初期のブルーハーツ路線を再現する描写が山ほど盛り込まれているところが最高。スピッツはいつだってそうだ。若かった頃のトンガリを「なかったこと」にする連中を、決して許さない。黒歴史にしない、いやそれどころか積極的にほじくり出してわざわざこちらに見せにくる。知ってます。最近はyoutubeで過去のライブ映像が見られるから、インディーズ時代『惑星S.E.Xのテーマ』という怪曲で最後に「セーックス!」って大声で叫んでたことくらい、みんな知ってます。それでも、わざわざ原点を定期的に晒してくるおっさんたち。いいなぁ。あんまり持ち上げられすぎないための、彼らなりの作戦なのかな。神格化されすぎると、芸術家としては創作しづらくなるものね。

さらに彼らはスキあらば(たぶん予算やスケジュールに余裕ができると)音楽的にも、過去の自分たちのパンク・ロック路線に回帰しようとする。どんなことがあっても生まれた川に帰ろうとするシャケのようだ。バラードがあれだけ評価され、時代を超えて若者に支持され続け(youtubeのコメント欄が若さにあふれていて驚く)、教科書にいくつもの曲が掲載されてもなお、忘れぬ邪心。「君のおっぱいは世界一ぃぃぃぃいいいいいいい」って高らかに歌っていた頃となんら変わっていない。その誠実さはいつも私の心に春の風をふかせてくれる。マサムネの生き方は、いつだって私の創作活動のよき指標になっています。つんく♂さんとマサムネさんには末長く、伸びやかに、こころゆくまで創作活動を続けていただきたいものです。

6位 岡崎体育 / ポーズ

ポケモンアニメ「サンムーン」のエンディング曲。作詞・作曲・歌・ダンスは今をときめく岡崎体育さん。中肉中背の岡崎体育さんが完全顔出しでキレの悪いポーズを決めているMVも味わい深い。

「おーす! みらいの チャンピオン!」でリリックが始まった時点でもう満点。ここだけで100万点を叩き出している。これはポケモンゲームシリーズにおいて、ジム(ステージクリアに必要な一番の難所)の入口にいるおじさんが、挑戦に来たすべての子どもたちに向かって最初に言う言葉なのだ。彼は、弱い子も強い子も、明らかに負けそうな子にも余裕で勝てそうな子にも、すべての子どもにこの台詞を言う。「NPCが同じ台詞を繰り返しているだけじゃん……」なんて夢のないことを言ってはいけない。違うんだ、そうじゃないんだ。すべての子どもを「未来のチャンピオン」として扱うのが、ポケモンの重要な世界観なんだよ。子どもはみんな未来のチャンピオンである。今は弱くても、挑戦し続けていればいつか必ずチャンピオンになれる。相棒のポケモンと一緒に、なんど負けても、前に進めばいい。そうしたらいつか必ず君はチャンピオンになれる。すべての子どもたちと、すべてのポケモンを受け入れ、未来のチャンピオンとして扱うこの台詞は、いつだって前向きで、子どもたちとポケモンへの愛に溢れたゲームの世界観をよく表現した一言なのである。

ねじ子はポケモンゲームの中でこのセリフが一番好きだ。だから、このセリフが冒頭にある時点でもう200万点なのだ。その後に続くポケモンのタイプをすべて並べる歌詞も、相棒ポケモンへの愛を叫ぶサビも、歴代ポケモンアニメソングの伝統に的確にのっとっていて、よくできている。

7位 村川梨衣 / Sweet Sensation

アニメソングの印象は、アニメ作品の出来に大いに左右される。というわけでねじ子が今年最も面白いと思ったアニメは『12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~』であった。アニメ『怪盗ジョーカー』を見たあとにつけっぱなしだったテレビからこの番組のタイトルコールが聞こえて来たときは「ええっ?なにこのタイトルは!?子どもと一緒に見て大丈夫なやつ!?これ!!」と血の気が引いたものだが、いやはやまったく問題なかった。むしろ私が12歳のときにこの作品を見たかった。原作は少女漫画誌『ちゃお』で連載中で、12歳という「児童期と思春期のはざま」に立つ女の子たちが直面する様々な問題に真面目に向き合い、具体的な対処法を示している漫画である。例えば、ブラジャーはいつ頃から付ければいいか、ブラジャーを買うなら誰と行けばいいか、生理用ナプキンの種類、月経時の立ち振る舞い、からかってくる男子の上手なあしらい方など、どれも現実的な悩みばかりだ。明確な回答をしてくれる大人が少ない領域だとも思う。『ちゃお』を読んでいる女の子にリアルに役立つ情報ばかりだろう。

そして何と言ってもこの漫画のキモは主人公の彼氏・高尾くんである。高尾くんは若干12歳にして完璧な会話術とコミニケーション・スキルをもつ超人である。トラブルに対する切り返し能力の高さがもう天才的。ねじ子はシーズン1の途中からもうカレのこと「高尾センパイ」って呼んでる。カレ、たぶん42歳くらいじゃないかな。トラブル対処と交渉技術が大手代理店の一流エージェントなみ。

8位 ゲーム「ポケモンGO」より / 戦闘!ジムリーダー

今年の流行語大賞は「ポケモンGO」だったと思う。世界的にそうだったはずだ。今年の流行語大賞を「ポケモンGO」にできなかった時点で、流行語大賞は流行にまったくついていけていない時代遅れの産物であることを自ら晒したとさえ感じる。そして何を言われようと、私はまだまだポケモンGOをやり続けている。カントー国内コンプしてからやることなくなったけど、それでも、これからもやり続ける。誰もいなくなった近所のジムを私の黄色いピカチュウで占領しつづける夢が叶うまで、私はこの世界に居残りつづける所存だ。「だからみんな、いなくなっていいよ!オワコン呼ばわり大歓迎!」と思っているのだが、みんな一向にいなくならねーな。相変わらず東京のジムは15分で落ちる。

ポケモンGOのおかげで今年の夏は楽しかった。近所の歴史建造物や美術品に詳しくなった。普段は通らない細い路地を歩いた。これまで素通りしていた小さいお地蔵さんや祠に気付いた。様々なモニュメントの由来を知った。近所の名もない公園を見付けることができた。東京じゅうの公園に詳しくなった。一生行かなかったであろう土地にたくさん足を運んだ。お台場の地理と上野の飲食店に詳しくなった。渋谷に渋谷川という暗渠が流れていることを知った。近所のコンビニに行くのすらだるい、と思っていた私が、卵を孵化するために毎朝お散歩するようになった。ポケストップを回すために炎天下、隣の駅まで歩いた。おかげで2kg痩せた。

ゲーマーの息子と一緒にたくさんの公園を歩いた。ポケモンの巣になっている公園へ遠征し、目標のポケモンを狩り終わったあとは一緒にサッカーや水泳をして遊んだ。見ず知らずの人と協力して出現情報を教えあい、全力で走った。大声で「ピカチュウいたあ!」「ミニリュウ!」「カイリューだ!」と叫ぶ息子の声を聞いて静かに集まってくる周囲の大人たち(スマホ持ち)を見るのも楽しかった。17年ぶりに石巻にも行った。ポケモンGOは、ゲーマーの息子とインドア派の母親を東北まで連れ出してくれた。しかも日帰りで。その2日後に石巻に津波が来た。津波を知らない世代である息子に、生きた知識をつけてくれた。あのゲームには確かに、引きこもりや、日光が足りないことによって悪化するタイプのうつ(冬季うつ病など)の患者さんが外へ出るだけの素晴らしい「きっかけ」を作ったと思う。家から出る「勇気」をくれた、と言ってもいい。これは医者には決して与えられないパワーだ。位置ゲームって面白いね、ingress民の皆さんが言っていたことがようやくわかったよ。

そして、ポケモンを知らない世代にポケモンの世界を伝える最もいいソフトになった。クリーチャーとしてのポケモンの秀逸なデザイン、ネーミングセンスの良さ、単純なひらがなで覚えやすい技名、じゃんけん形式になっている「タイプ」相性という概念、151匹というコンプリートにちょうどいい数。これらすべては初代ポケモンで完成し、20年保っている秀逸なゲームデザインである。でも当時すでに大人だった熟年世代に、その完成度が認識されることはなかった。今回、万歩計がわりにこのアプリが熟年世代にも紹介されたことによって、彼らがポケモンというゲームシステムに初めて触れた。熟年世代にポケモンGOのアクティブユーザーがいまだに多いのは、彼らにとって「初めて知ることがとても多かった」つまり知的好奇心を刺激されたことも一因だと思う。(株)ポケモンは、ゲーム製作社のナイアンテックに対して「とにかく間口を広げる」「カジュアル、シンプル、簡単に」「課金をヘルシーにする」というオーダーを出していたと聞く。結果としてその戦略は大当たりだったと思う。

ねじ子が一番好きなのはジムバトル中のBGMである。ポケモンジムは多くの場合、歴史的建造物やモニュメントに設定されている。ほとんど屋外だ。寒かったり暑かったり日差しがきつかったり長時間立ったまま佇んでいると周囲に迷惑だったりする。よって、音楽を聴きながら悠長にバトルするのはむずかしい。ほとんどの人が無音で戦っているだろう。非常にもったいない。実はとても熱くてやる気の出る、バトル向きの曲である。余裕のある方は是非イヤホンをして音量をオンにした状態でジムバトルに挑んでみてほしい。スマホを叩くかじかんだ指先まで熱くなること、うけあいだ。

ちなみに遠くにあるジムをタップして中を様子見する時の音楽がこれ。こちらも好き。鍛え上げたポケモンを連れて、これから強い敵に会いにいくときの高鳴る気持ちにぴったりである。峠の山城を眺める足軽になった気分だ。うおー!城攻めじゃー!であえであえー!ちなみにこの動画では音源がループ構造に編集されているが、実際のゲーム上ではループ構造になっていない。突然ブチッと切れて、また最初から音楽が始まる。雑っ。雑すぎる。この適当さ、ザッツ・アメリカン・ゲーム・クオリティ。まぁでも、それでいいのだ。「完成してから出せ!」と言ってたら永遠に出ないだろうし。特にこのゲームの場合、日本の会社制作だったらあっという間に各種団体から苦情と横槍が入ってリリース自体頓挫していただろう。ポケモンは日本のコンテンツだけれど、Pokemon GOは「とりあえずやってみてから考えよう」というアメリカン・スピリッツなしでは作れなかったゲームだと思う。

9位 ゲーム「ポケットモンスター サン・ムーン」より / 戦闘!四天王

ポケモンゲームの戦闘曲は作業用BGMに最高である。①燃える曲調でやる気が上がる、②繰り返し構造なので再生ボタンを何度も押さなくてすむ、③歌詞がないから気が散らない、と三拍子揃っている。今年のポケモンゲーム新作サン・ムーンの中で最も好きな曲がこれ。初代からポケモン音楽を手がけている増田順一さんの作。増田さんはとっくに出世してディレクター兼メディア広報をやっている重役だから、ゲームの新作が出ても、作曲しているのは数曲程度である。その少ない曲の中に増田さんは必ず新しい要素をぶち込んでくる。それを味わうのが好き。

10位 「シャキーン!」より/ にせ~擬態のテーマ~

Eテレ朝の子供向け番組『シャキーン!』からの一曲。作詞・作曲・全パート演奏・ボーカル・アニメーション映像にいたるまで、ほぼすべて一人の芸術家(岡江真一郎さん)が作った作品である。日常の風景の中に擬態している「にせもの」を探すクイズ形式の映像だ。前半の歌詞は謎掛けになっていて、落ちサビの「にーせー♪」のメロディとともに「にせもの」が去り、答えがわかる。ポルカ調のアレンジも素晴らしい。多才すぎるよね?どんだけ練習してきたん?

NHK教育テレビことEテレはいつも新しい芸術家をいち早く見つけ、我々の前に連れてきてくれる。その選球眼の早さと鋭さに恐れ入るばかりだ。アンテナの感度がものすごく高いんだろうなぁ。Eテレはいつも「子供向け」「教育」という傘の下、潤沢な資金を使って好き勝手に、いや違った先進的に、クオリティの高い映像作品を作り続けている。BABY METALバックバンドの「神バンド」を起用した『ももももえ!』も素晴らしかった。

11位 「いないいないばあっ!」より/ チャックのうた

同じくEテレの赤ちゃん向け番組「いないいないばぁっ!」から、ベースがうなる名曲をご紹介。ジャンルはおそらくジャズ・ファンク、またはジャズ・フュージョン。バンドで言ったらウェーザー・リポート。どんなジャンルだ。「いないいないばあっ!」って、もう子供向けですらないんだよ。赤ちゃん向けなの。0歳から2歳までが対象。3歳になったら卒業なの。そんな番組で、2000年代も16年になって、ジャズ・フュージョン。すげぇよ。どういうことだよ。とんがってるなぁ。しかもいい曲なんだよねぇ、何回聴いても飽きない。キャラクターたちがチャックを開けて出入りする映像も最高だ。赤ちゃんってさ、番組タイトル通り、いないいないばぁが大好きなんだよ。赤ちゃんは視力が低く、一つの大好きなもの(両親やキャラクターの顔など)ばかり集中して見ている。そんな赤ちゃんにとって「いないいないばぁ」は、一瞬で顔が消える←→突然現れる、の繰り返しであり、突然の別れと突然の予告された出会いの繰り返しなのだ。そりゃ楽しいだろう。大声で笑うのもよくわかる。この曲の映像も、チャックを開けたり閉めたりするたびに、みんな大好きワンワンが現れたり消えたりするんだから。赤子、喜ぶに決まってるだろう。とてもよく計算されている。そしてフュージョン。うなるベースソロ。圧倒的なグルーブ感。赤ちゃん番組、間口広すぎ。

以上です。次はハロプロ歌詞だけランキングでお会いしましょう。(2017/2/1)

ねじ子の2016年ハロプロ楽曲ランキング これ書くために『MY VISION』のMV見てたら香音ちゃん恋しさに泣いちゃった

1位 モーニング娘。’16 / 泡沫サタデーナイト!

ねじ子最愛の鈴木香音ちゃんの卒業曲にしてセンター曲。私の大好きな香音ちゃんが一番目立っている曲だから、1位です。1位なんです!属人的な選考でたいへん申し訳ありません。つんく♂さんが香音ちゃん卒業によせて作った『THE VISION』も、悲壮感あふれる乾いたメロディが美しい秀作ですが、香音ちゃんがあまり目立っていないので次点です。

2位 こぶしファクトリー / 押忍! こぶし魂

『押忍!こぶし魂』は2番の歌詞がすごい。「世の中はどうやったって 過去を省みたって やったことは取り消せないのさ だから未来に向かって やれることを頑張って あんなこともあったと笑い合おう」というサビが心に突き刺さる。匿名作家である星部ショウさんが、その作家性を初めて少しだけこちらに見せてくれたような気がする。

私はこの曲の藤井梨央ちゃんのパート「やったことは取り消せないのさ」が本当に好きで、どんな小さいことでも何かを決断するたびに(お弁当に卵焼きを入れるか、パンダの顔の向きを左向きにするか右向きにするか、そんなささいなレベルの決断でも)この一節を口ずさんでいた。迷いを振り切る勇気をもらった。

誰にでも心にずっと飼い慣らしている後悔物件ってあるんだよ。生きていると、どうしても出てくるんだよ、消してしまいたいほどの致命的なミスやトラウマが。いくら己を責めても、決して取り消すことはできない。受け入れて生きていくしかない。その上で、今からやれることをやるしかないんだよ。

「時が経っても決して忘れないように この涙を瞬間冷凍したい」ほどの反省って、いったい何なんだろう?どれほどの裏切りをし、どれほどの後悔をしているのだろう?ひどく懺悔しているのに、きちんと未来への希望にあふれた歌詞で、だからこそ素晴らしい。この曲を聞いた瞬間に、ねじ子は「星部ショウって実は新堂敦士なんじゃないの」と勝手に直感した。つんく♂の大阪時代からの盟友で、名曲『This is 運命』を書き、pop’n musicでアッシュというキャラクターに背徳的な良曲を量産して腐女子の人気者になり、そのpop’n musicで岡村靖幸を盛大にパクって表舞台から消えた新堂敦士さん。彼ならば、これだけの仕事も可能だ。作詞作曲能力も高い。量産もできる。ハロプロ文脈にそった仕事も可能だろう。そして彼ならば、匿名を貫き通して表舞台に顔を出さない理由もある。下手に黒歴史をほじくり返されるよりは、匿名で良曲を書き続ける方がずっといいだろう。反省と自戒を込めた歌詞が妙に多いのは、彼なりの関係者に対する懺悔なのだろうか……などと勝手に妄想して楽しんでいたのだが、まぁ盛大に予想は外れましたね。星部ショウさんは20代のまったくの無名の新人で、アップフロントのオーディション合格者だそうです。まぁでもそれって「星部ショウくん役」の男性がいる、というだけだよね。いまだ星部ショウさんの正体は謎に包まれているよね。まぁいろいろ楽しく妄想しているけど、いい作品さえ作り続けてくれれば何でもいいよ。

Earth,Wind & Fireの『Boogie Wonderland』のオマージュであることをまったく隠さない姿勢も好きだ。こぶしファクトリーはいつもそうで、元ネタの70年代ロック&ファンクを決して隠さない。むしろ前面に押し出してくる。インディーズデビュー曲の『念には念』はT.rex『20th century boy』とThe WHO『My Generation』のオマージュであった。「Talkin’ ’bout my generation」というコーラスを「念念念念念念念念」という歌詞にしてきたときはねじ子ひっくり返ったよ。ねんねんねんねんねんねんねねんってさぁ。なんだよそれ。アルバム曲の『懸命ブルース』は「どう聴いてもThe Whoの『Young Man Blues』だなぁ」と思っていたらもう途中からコーラスで「Teenage Blues!Teenage Blues!」て歌っちゃってた。開き直りすぎである。セ・リーグの先発投手との立て続けの交際がバレてもなおセ・リーグの先発投手と結婚する紺野先輩なみに開き直ってる。斬新で、かえって好感をもつ。

あ、最年長の藤井梨央ちゃんがリーダー職を広瀬彩海ちゃんに取られた、という実際に起こった悲劇を、きちんと演出にして昇華している間奏のダンスも好きです。

3位 Juice=Juice(NEXT YOU)/ 大人の事情

2016年は色んな場面で「大人の事情」を感じる一年だった。そのたびにこの曲を情念たっぷりに歌い上げる宮本佳林と、「大人の事情や!」という在りし日のつんく♂さんの声が脳内で強迫的に反復された。SMAPの解散とか。その原因となった芸能事務所上層部の確執とか。どう見てもきちんと精神科に入院して治療しなくちゃいけない状態のASKAさんを完全にオモチャにして馬鹿騒ぎしたうえに、何の謝罪もしないマスコミと警察と周りの人たちとか。Dream5の志半ばでの活動終了とか。その遠因になった(のかもしれない)イトーヨーカドー上層部の権力争いとか。稲場愛香ちゃんの外反母趾、じゃなかった喘息発表とか。

昔はメディアと呼べるものが大手新聞社と大手出版社と大手放送局しかなかったから、権力争いに勝った勝者からの一方的な情報のみが垂れ流されていたのだろう。でも今はインタネットがあるからねぇ。いろんな立場の人がいろんな立場からおのれの正義を流すことができる。結果として、多くの人に納得がいかないユーザーの需要を無視した決定が、製作者間の思惑の違いによって生じている=「大人の事情」だと、部外者に気付かれてしまう機会が増えたのだろう。

この曲はドラマ「武道館」のために作られた。歌詞は完全にドラマ「武道館」の主人公・愛子の「あてがき」になっている。NEXT YOUという架空のアイドルが武道館公演を目指し、メンバーが太ったり暴漢に襲われたりしながらも徐々に売れていき、武道館公演が決定、しかしその直前で幼馴染との交際が報道され、夢よりも恋人を選んでグループを脱退する主人公・愛子のための歌詞である。結果としてこの曲はつんく♂さんのアイドル観が垣間見える貴重な作品になった。

「大人のふりして恋しただけだよ 罪なら罰してよ Just want to be next you」とつんく♂は言う。つまり恋愛は罪ではない。当たり前である。自由に恋愛をするのは憲法にも認められている、幸福になる権利のうちの一つである。幸福追求権ってやつだ。今の日本で幸福追求権が認められないはずはない。

もちろん世界ではまだまだ自分の望む相手と交際・結婚ができない社会も多い。私だって現在のシリアに生まれていたら、ISISに拉致されないよう穴蔵の中で怯えて暮らすことしかできなかったはずだ。医学を学ぶ機会も、絵を描く自由も、自分の選んだ人と結婚する権利も与えられなかっただろう。当人同士の同意を元に自由に恋愛する権利(裏を返せばそれは女性の意思を無視した誘拐結婚や性奴隷を絶対に認めないということである)は、世界中のたくさんの先人が血眼になって手に入れた、絶対に侵されてはいけない権利の一つなのである。だから、アイドルの恋愛禁止ルールは決して明文化されてはいない。明文化した途端に憲法違反になる可能性があるからだ。恋愛禁止を一番の売り文句にし、『恋愛禁止条例』って名前の曲も公演も漫画作品さえもあったAKBが、諸外国に「性的搾取」と批判された途端に手のひらを返して「恋愛禁止とは一度も言っていない」と発言したのは当然のことなのである。

しかし、そんな大前提に反して、女性アイドルに現在進行形で恋愛が発覚すると、そのアイドルは露骨に集客力も集金力も落ちる。これはもう、どんなに実力があったとしても落ちる。藤本ミキティがモー娘。脱退後、庄司と交際しながら『置き手紙』というシングルを出したとき、リリースイベントにまったく人が集まらなかったのを見てねじ子は実感した。ミキティほどの実力と美貌と名曲があっても、集客できなくなるのだ。スキャンダル発覚直後はファンも「それでも俺は応援を続ける」と強がるけれども、徐々に買うCDの量が減っていき、遠征の回数が減り、一回しかライブに足を運ばなくなり、馬鹿馬鹿しいグッズや生写真を買わなくなっていく。結果として、アイドルはアイドルとしての活動を続けられなくなっていく。女性アイドルが彼氏をキープしながら芸能活動を続けたいのなら、疑似恋愛が集金の大きな原動力である「アイドル」ではなく、次のステージに行くしかない(ミキティは実際そうした。そして成功した)。ここには大いなる矛盾がある。

この矛盾に対する答えを、ハロプロは公にしていない。これまでの対応を見るに「アイドルグループやっている間の恋愛はバレなきゃOK、バレたら別れればOK、別れないならグループは脱退」あたりが不文律のようだ。今回の曲で、初めてつんく♂の見解が見てとれた。「大人の事情で私の自由を奪い去っていかないで そばにいたいだけ」つまりアイドルの恋愛は「私の自由」なのだ。本当はみんなわかってるんだ。恋愛を禁止する行為はすべて「大人の事情」である、と。我々凡人がつんくさんのアイドル観および「アイドルの恋愛についてどう考えているか」を知ることのできる貴重な機会を作ってくれて、朝井リョウさんには感謝している。

4位 Juice=Juice(NEXT YOU)/ Next is you!

つんく♂のライナーノーツいわく「僕は兼ねてから言ってるように「アイドル」の為に音楽を作ってきたつもりはありません。しかし、この曲だけは、もしかしたら世間でいう「アイドル」の為に作ったのかもしれません。」つんく♂はひねくれ者の開拓者だから、いつだってアイドルのためにアイドルの曲を作らない。最初からアイドルを作ろうと思っても売れるアイドルはできない。ロックアーティストを作ろうと思っていたのに気付いたらアイドルになっていた、アスリートを作ろうと思ったらアイドルになっていた、という結果論でしか売れるアイドルは作れない、とかねてから言っている。つんく♂はいつだって目の前にいる女の子から聞こえるメロディを元に曲を作っているのだろう。ヤンキーならヤンキーな曲、ロック魂を感じたらロックな曲。いちごのベッドで寝ているからお肌がプルプルしてる14歳の女の子なら、年の差も気にせず彼女になりたいんだろう。たぶん。何言ってんだこいつ……と思った皆さん、私は一切誇張していないのでご感想はつんく♂さんまたはアップフロントエージェンシーにそのままどうぞ。

この曲では「架空のアイドルNEXT YOUの歌」という前提ゆえに、アイドルのための曲を作ってくれた。つんくさんのアイドル観を見られる貴重な機会を作ってくれて、朝井リョウさんには感謝しかない(二度目)。つんく♂にとってアイドルとはふくらはぎバリ筋肉であり、それが努力の証であり、年齢や経験は不問で、音楽的に決して手を抜かないものであり、声援をパワーとするヒーローなのである。決してヒロインではない。そして、1番では「バレなきゃそれでいいのかい 自分がよけりゃいいのかい」と影で遊ぶアイドルを揶揄しながらも、2番では「恋に落ちるもあるだろう 自分の人生 後悔しないように生きるのがいい」とやさしくささやくのである。なんじゃこりゃ、つんく♂すっげぇぇぇぇえハロメンにモテるだろおおぉぉ!!違う違う、つんく♂は母性にあふれたいいプロデューサーだなー。

そしてこの曲はコンサートの現場でコールを入れると最高に気持ちがいい。リズムがバキバキでコールが入れやすいんだ。「リズム天国」で下画面に星がはじける映像が目に浮かびそうなくらい、コールを入れる場所がバッチリ決まっている。ハイ!ハイ!ハッ!ハイ!って感じ。このコールの入れやすさは「リズム天国」屈指の名曲『ドキッ!こういうのが恋なの?』を彷彿とさせる。そう言えばあれも「アイドル」がテーマの楽曲だったな。つんく♂にとってアイドルの曲とは、コールを入れる拍が完璧に決まっていて、コール&レスポンスによって完全体となる楽曲のことなのかもしれない。

ちなみにドラマ「武道館」もとてもよかった、最終回以外は。最終回の畳み掛ける心理描写が必要なギリギリの場面で突然、矢口と辻ちゃんがお茶会をはじめ、メタ発言を繰り返していたのには驚いた。ひいきめに言ってもあれは壊滅的茶番。これまでのドラマ8話分のすべてを壊しかねないほど壊滅的。「矢口と辻ちゃんを呼ぼう」って最初に提案した人の名前を教えてほしいレベルだ。あんなもんに割く時間があったのなら、愛子と碧の心理描写と、スキャンダル後の話し合いの様子をもっともっともっともっと見たかった。さらに言えば、今年に入って最低2回は行われたはずの、℃-uteスキャンダル後の話し合いの様子を見たかった。どんな感じだったのかな。ドラマみたいだったのかな。舞美、怒ってただろうな。私がその場にいたら、まいみ(こおり/ゴースト タイプ)から放たれる ぜったいれいど で いちげきひっさつ! だったろうな。

5位 ℃-ute / 人生はSTEP!

この曲をひなフェスの中継で初めて聴いた時、私は「あぁ、ついに℃-uteの時代がやってくるんだ!」と思った。「大人の女性っていいなぁ!やっぱりねじ子が一番好きなのは20代前半の大人の女性だよ!」とも。(そう言ったら大上先生に「『やっぱりいちばん打ちやすい球はど真ん中ストレートですね』ってイチローが言ってたらどう思う?それと同じ気持ち」と言われた。どういう意味だよ、そんなに私はどんな球種でも打ち返す曲者バッターに見えるのかよ)彼女たちはついに大人の女性シンガーとしての表現にたどり着いた。子どもだった彼女たちが長い歴史を経て、初めて正しい大人のセクシー、大人の色気、大人のアンニュイを表現することに成功した。ただ薄着なだけでもなく、クネクネした動きをするだけでもない、大人の女性の憂鬱がこの曲にはきちんと入っている。カップリングの「Summer Wind」「何故人は争うんだろう?」も同じ手触りの楽曲であり、私はこのシングルで確かに℃-uteの新しい時代の幕開けを感じた。

この曲は最年少の萩原舞ちゃんがいい。舞ちゃんはここ最近ずっと喉の調子が悪く、イップスさえ噂されている状態だった。歌割りも少なく、いつもどこか自信なさげだった。でもこの曲では彼女の可愛い声が最高のアクセントになっている。サビの「Let’s Dance!」のところね。ひなフェスでこの曲を歌う舞ちゃんはキラキラして最高に美しかった。「ついに舞ちゃんの最高の使い方が見つかった!容姿も抜群にかわいい!舞ちゃんはもっと自信を持っていいんだよ!舞ちゃんに足りないのはあと自信だけなんだから!いよいよ℃-uteに死角がなくなった!」とねじ子は思っていた。思っていたのに。

このとき確かに開いた℃-uteの「大人の女性シンガーとしての世界」が、ひなフェス直後の文春砲および動員悪化からの解散宣言によって、失われていくことが非常に残念である。私は確かにあのとき、℃-uteが切り開こうとしている新しい世界を感じた。感じたのに。ハロプロがセクシーを狙うと、キャバクラか風俗かドン・キホーテで売ってるコスプレ衣装に、股関節を開くか椅子に絡みつくか床に寝そべるか、歌詞でもう「セクシー」とか「エロス」とか「あっはーん」とか「うっふーん」って言っちゃうか、以上の順列組み合わせにより結果的には少年ジャンプのお色気ギャグみたいになっちゃうからなー。そのどれでもない「大人の女性らしさ」が久しぶりにハロプロで表現できていたのに。

6位 ムキだしで向き合って / モーニング娘。’16

曲の作り方が面白い。Jean Luc Ponponさんという多国籍トラックメーカーチームが制作したバックトラックをもとに、星部ショウさんが歌詞とメロディを乗せる、という工程で作り上げたらしい。ジャニーズやEXILEや少女時代もやっている海外チームに作曲を任せる手法に近い。Jean Luc Ponponってのはロサンゼルスを拠点においたプロデュースチームで、角田崇徳さんも在籍しているとのこと。角田崇徳さんって『紫陽花アイ愛物語』の人よね。つんく♂の『セクシーキャットの演説』はMVも歌詞も最高なんだけど、サビで『紫陽花アイ愛物語』の「ふたり合い合い傘の中で!」がどうしてもチラついて、ねじ子は素直に楽しめなかったのだ。年末のモーニング娘。のシングル「セクシーキャットの演説/ムキダシで向き合って/そうじゃない」は、勝手に私の中で角田崇徳さんの色の濃い作品になった。

そして佐藤優樹による即興のハモリが最高である。モーニング娘。はハモリだよ、ハモリなんだよ。ハモリに気合がはいってこそモーニング娘。なんだよ。『モーニングコーヒー』の頃からずっとそうだったでしょ!


48:30からまーちゃんの即興ハモリ。

レコーディング風景。レコーディングの段階で歌割は決まっておらず、全員がフルコーラスのレコーディングをする。レコーディングの最後に「なんかやりたいことある?」と聞かれたまーちゃんは「使われなくてもいいからハモってみたい」と宣言し、ハモり始める。そして結果的に全て採用されている。素晴らしい。サビから突然入る工藤の低音のメロディと合わさって、最高に艶のある仕上がりになっている。工藤の歌唱力も上がってきていて嬉しい。もっと来い!もっと来てくれ!まーどぅーは声の相性がいいね。ここまで声の相性がいいニコイチペアって、モーニング娘。では辻加護以来なんじゃないかな。

7位 アンジュルム /上手く言えない

もうアンジュルムは好きにやってくれ。とりあえずアンジュルムリーダーの和田彩花ちゃんがハロプロのリーダーに就任して嬉しい。本当によかった。カウントダウンコンサートでねじ子もらい泣きしちゃったよ。ハロプロリーダーはいつもモーニング娘。のリーダーが兼任していて、℃-uteの矢島舞美ちゃんに移行しているのが例外的だったから、モーニング娘。に地位を戻すためにキャリアの長いあやちょが飛ばされてしまうんじゃないかって内心危惧していたんだ。飛ばされなくて本当によかった!

あやちょはきっといいリーダーになるよ。成人式に参加できず不満を爆発させたときも「成人式に行けなかったことは、、生涯、根に持ち続けます。笑」とまで書きながら、最後は「二期、三期のみんなが成人になって、成人式に出られるような環境になればいいな!ただそれだけです(^^)」と後輩を思う言葉でブログを締めていたではないか。彼女は自分の身を盾にして後輩を守ることができる人だよ。そういう上司って実はなかなかいないんだよ。そしてそういう上司は部下から愛され、尊敬されるよ。あとはその「守る範囲」を、自分のグループからハロプロ全体に広げていけばいいだけだ。

特徴的なリフの繰り返し→メロディアスなサビ、という中島卓偉さん得意の構造がうまくはまっている。卓偉のコーラスによるハモリもいい。卓偉うるさい、もっとやれ。今回は繰り返し叫ばれるタイトルの回数も(卓偉にしては)(比較的)少なめだし、説教臭さも薄れていて聴きやすかった。メンバーが全員で一直線に並んでパートを回すところも素晴らしい。メンバー全員に見せ場がある曲っていいよね。アンジュルムはいい意味でハロプロらしさが薄くなってきたので、ぜひ対外試合に積極的に参加してファンを外から引っ張ってきてほしい。

とりあえずここまで。次はねじ子のオレコン総合ランキング20017か、ハロプロ歌詞だけランキングでお会いしたいです。(2016/1/24)

寒いから冬だもん

毎日寒いですね。外に出たくないですね。外どころか布団からも出たくない。どうもこうもないっすよ、ねじティ。

というわけで遅くなりましたが冬のコミケありがとうございました。来てくださった皆様、ありがとうございました。
『手術編・改』が思ったよりも需要が高くて驚きました。

さて、次の夏のコミケの日程が発表されましたが、今年も日程的に都合がつかず出られそうにありません。ちーん。
よって今年も再び、GWのコミティアに参加することにしました。5月6日土曜日です。詳細はまた。

2016/12/31 コミックマーケット91

「寒いから出たくない……」どうもこうもないっすよミキティ。

というわけで、2016冬のコミケに参加します。楽しんでいきましょー。

12月31日土曜日 東1ホール ”O” ブロック 01b

--今回の搬入商品リスト--

さーて来週のサザエさんは

  • 平成医療手技図譜【精神編】(1000円)
  • 平成医療手技図譜【手術編・改】(1000円)
  • 平成医療手技図譜【ICU編】(1000円)

の3本です。ふがふふ。以下詳しく説明。

★平成医療手技図譜【精神編】1000円

psyco

・2016/5/5コミティアで少しだけ販売したものの誤植・誤内容訂正版。
・コミケでは初売りです。

★平成医療手技図譜【手術編・改】1000円

ope_mk2

・2009年初版の本で長いこと在庫切れしていましたが、今回、時代に合わせて大改訂しました。
・よってタイトルに「改」がついています。元ネタは「紫電改」です。本当はガンダムよろしく「Mk-II」にしようと思っていたのですが、あまりに表紙にあわないのでやめました。
・前回より24ページ増量して、132ページになっています。お値段そのままです。

★平成医療手技図譜【ICU編】1000円

ICU
・2014/12/30発行の既刊を誤植・誤内容訂正して第二版です。

※どれも将来的には商業誌化する予定ですが、結構先になりそうです。
※ブースに本人は不在です。
※今回はいつものクリアファイルやバッジの販売はありません。そのかわり、新刊や改版の本をなるべく皆さんに買ってもらえるように多めに搬入しました。よろしくお願いします。

コミティアありがとうございました

コミティア116お疲れ様でした&ありがとうございました!

今年の夏のコミケには出られないので、次のサークル参加はおそらく今年の冬のコミケになります(抽選に通れば)。よろしくお願いします。(2016/5/29)

2016/5/5 コミティア116

2007年以来、9年ぶりにコミティアに参加します。

5月5日、東京ビッグサイトです。

※コミティアは入場料がかかります(入場にパンフレット購入が必須です)。ご注意下さい。

--今回の搬入商品リスト--

2016/5/5コミティア116 さ18a「ねじ子アマ」

★新刊

平成医療手技図譜【精神編】(1000円)

★既刊

平成医療手技図譜【手術編】500円(※1)
平成医療手技図譜【神経編】500円(※2)
救外戦隊ネラレンジャーzero 600円
クリアファイル100円
ねじバッジ(全5種) 各100円

※1 将来的には商業誌化する予定ですが、結構先になりそうです。
※2 『ねじ子のぐっとくる脳と神経のみかた』にほぼ収録されています。

 

 

 

平成医療手技図譜 【精神編】

psyco

平成医療手技図譜 精神編 A5/116P/1000円

2016/5/5コミティア116 さ18a「ねじ子アマ」

平成医療手技図譜、9冊目のテーマは精神科です。手技図譜と銘打っていますが、今回は「手」の技のお話はほどんどありません。言動や行動がおかしいと感じる患者さんが目の前に現れたとき、医者は頭の中でどう考え、行動し、診断していくのかについて書きました。どちらかというと「脳」の技の解説ですね。

精神の病気はいっぱいあります。そもそも、目の前にいる患者さんが病気なのか?正常の範囲内なのか?を考えるのが、精神科診療の第一歩です。国際的な診断基準であるDSM-5やICD-10の本を見れば、精神疾患の定義がすべて網羅されています。診断に必要な項目も、バッチリ全部書いてある。でも、それらすべてを丸暗記することはできませんよね。どうしても「重みづけ」が必要になってくる。では、どうやって「重み付け」をすればいいのか。

現場で必要なのはいつだって「重い病気の順番に考える」ことです。重症を見逃してはいけない。今すぐ死んでしまいそう(精神科の場合は自殺してしまいそう)な人を、おうちに帰してはいけない。これはどんな診療科でも同じです。精神科だって例外ではないはずだ!という視点に立って、私はこの本を書きました。今までにない本が作れたと自負しています。

目次:
・心の病って、なに?
・Sの世界
・躁うつの世界
・Dの世界

今回はページ数の関係で、精神疾患を(重症度の順に)統合失調症・躁うつ病・うつ病の3つだけ取り上げました。残りの精神疾患は続編の『心療内科編』でカバーしたいです。早ければ冬のコミケで出せるといいなぁ。あ、でも今年の冬はポケットモンスターの完全新作サン・ムーンが出るのか。むむむ……。むねん。(曹操の声で)(2016.5.3)

ねじ子の2015年ハロプロ楽曲ランキング 鞘師のこともっと褒めて褒めて褒めまくってあげればよかった

1位 スカッと My Heart / モーニング娘。’15

さっき書いた。鞘師の歌。ねじ子、赤羽橋ファンクだいすっき。

鈴木香音ちゃんの卒業に関しては、もう言葉がない。17歳の女の子にあんな短期間で食事制限中心のダイエットをさせたら、リバウンドして以前より太るのは火を見るよりも明らかなことだ。マツコデラックスが鞘師卒業に際して叫んでいた「あの言葉」を私も叫びたい気持ちでいっぱいである。まぁつまり「この糞事務所がぁ!!」と思わずにはいられないってことだ。

モーニング娘。として笑顔を振りまき続けることが何よりの社会貢献であり、高齢化社会の日本において最も福祉的なお仕事だと思うんだけどな。今だって、我々みたいな悲惨な精神衛生状態の人間の面倒をしっかり見てくれてるじゃんか、ねぇ?うーん。うーん。「福祉の大学とかさぁ…なんだその唐突な理由、クジラックスかよ…」とか、「酒井法子かよ…」とか、いろいろと思うところはある。本気で福祉の仕事をするつもりなら、看護師さんの学校にいって看護師資格を取るのがいいと思う。でもね、我々のいる地獄の底を這うような血塗れの現場じゃなくてさ、彼女にはもっと広いメディアの世界でね、世界中の人たちを笑顔にする力があるわけよ。もったいないよ。看護師の資格をとったあかつきにはね、教員免許を取ったももち先輩のように、ぜひまたメディアの世界でね、啓蒙活動などのお仕事をしてほしいなぁと思うわけですよ。ある意味現場よりもずっと多くの命を救えるし、なによりそれは選ばれた人間にしかできないお仕事なんだよ、そして貴女はその選ばれた人間なんだよ!なのにどうして志半ばでこんな決断を、あー。あー!この糞事(以下ループ)

こうなると、一度はなんとか納得していた鞘師里保の電撃卒業も「やっぱり納得がいかない」という気持ちがむくむくと湧き上がってしまう。鞘師に会いたい。もう恥も外聞もなく、ステージの鞘師が見たいよお。わーん。若い9期二人の卒業は、私にとってあまりに性急であり、消化不良のまま時が過ぎている。りほかの(とその御家族)は、あの頃の落ち目だったモーニング娘。に人生を賭けてくれたんだよ。たった12歳で、小学六年生で上京する決断をしてくれたんだよ。その2人を、たった17歳で、こんな形で失ってしまうことが悔しい。これじゃまるで私たちが思春期の田舎の少女2人の心と体をボロボロにしてしまっただけみたいじゃないか。そんなの嫌だ。認めたくない。

モーニング娘。は鞘師の卒業でエースを失い、香音の卒業で最も個性があり知名度が高いメンバーを失う。そして、あまりに多い11人というメンバーを抱えながらも、さらにメンバーを増やそうとしている。こうなると、もう次の展開は歴史を顧みても一つしかない。ツアーごとの卒業と、少数精鋭の加入である。一人か二人リーダーになる人を残して、古参メンバーを順次卒業させていく。加入は随時、クオリティを落とさない程度の少数精鋭のみ行う。後藤真希卒業後の黄金期の収束もそうだったし、プラチナ期の終焉もそうであった。継承者として一人残されるメンバー(黄金期における吉澤・プラチナ期における道重)が誰になるのかはわからないけれど、ここからのモーニング娘。はしばらくのあいだ別れと喪失のステップが続くのだろう。それは『One・Two・Three』を代表とする、モーニング娘。再ブレイクを支えたピースが次々に失われていくということでもある。つらい。カラフル期についた大量の新規ファンは少なからず幻滅し、去っていくだろう。悲しいけれど、この喪失体験もモーニング娘。の繰り返される歴史の一つなんだよね。あーぁ。天を仰いで叫びたい気持ち。鞘師リーダー・香音サブリーダーのモーニング娘。が見たかった。見られると思っていた。思っていたのに。あー、この糞(以下無限ループ)

2位 愛おしくってごめんね / カントリー・ガールズ

この曲が良すぎたせいで、カントリー・ガールズはファンの間で旋風を巻き起こし、あっという間にデビューが決まり、結果としてセンター島村嬉唄ちゃんの早期脱退を引き起こした。嬉唄ちゃんは2014年のカウントダウンコンサートで突然現れ、その可愛さと初々しさでハロヲタを大いに揺るがしたのちに、たった半年でいなくなってしまった。脱退理由の詳細は語られなかったが、親御さんのご協力が得られなかったようだ。ねじ子は今でも、嬉唄ちゃんはつんく♂と道重とBerryz工房をいっぺんに失った我々ハロヲタを気の毒に思った神様が見せてくれた春の夢だと解釈している。混乱を自覚しているので安心してほしい。

この曲は冒頭でせりふを語るセンターの島村嬉唄ちゃんのための曲であり、彼女が脱退した後でさえも、彼女のための曲である。嬉唄ちゃんがいなくなった今聞くと、ますます嬉唄ちゃんそのものを表しているようだ。作詞家の児玉雨子さんはそんなこと予期してなかったはずである。「センターの子はすげぇ可愛いけど、きっとすぐに脱退するわ!」なんて予想していたはずはない。それなのに、この曲はまるで嬉唄ちゃんが一瞬でいなくなることを完全に見越していたような歌詞なのだ。「メールは返さないよ 返事よりも 会えない日を数えてほしい」「女の子の秘密を明かさないのが女の子 嘘をついてはいないの それが運命よ」「愛おしくて忘れられないでしょ 許してよ 愛ゆえに ごめんなさいね」ぜんぶ嬉唄ちゃん。彼女そのもの。古来より、達人のつむぐ詩はときに未来を予言し、魔法をひきおこす。

嬉唄ちゃんは、とても意識的な演出ができる子だった。ハニカミも素人臭さも決して彼女の本当の「素」ではなかったと思う。誰よりも上手に「素人臭さを演出する」ことができる子だった。だからこそ逸材だった。彼女にはピュアだけでない、いろんな種類の引き出しがあったはずだ。彼女自身はアイドル活動を非常に楽しんでいるように見えたし、辞めたそうにも見えなかった。学業優先にも見えなかった。惜しい。つくづく惜しい。彼女がご両親の影響下から抜けて、自分自身で進路を決められる年齢になったのちに、再びどこかで出会えることを願っている。

嬉唄ちゃんがいなくなってこの曲は封印された。コンサートでも披露されなくなった。確かに私も、この曲をきくたびに嬉唄ちゃんを思いだして悲しくなってし まうため、聴けなくなっていた。彼女の脱退以前は一晩中聞いていたのに。既存メンバーがパートを再分配して歌ったとしても、彼女の記憶が強すぎて違和感を 覚えただろう。

その後カントリー・ガールズは新メンバーを二人加えた。新メンバーは二人とも「完璧な子ども」である。10歳当時の嗣永桃子がそうであったように、完璧な子ども。子役っぽい完璧さとも言える。この曲は2015年のカウントダウンでようやく復帰した。嬉唄ちゃんの印象的なパートはすべて新メンバーが歌った。嬉唄ちゃんのハニカミ演技とは180°違う、圧倒的な子役演技であった。「できる子役」くさい劇画的でわかりやすい演技で、これはこれで面白い。名曲が息を吹き返す瞬間を見届けて、私はようやくまた明るい気分でこの曲を聴くことができるようになった。

3位 CHOICE&CHANCE / Juice=Juice

カントリー・ガールズの突然の加速の裏で、上半期のJuice=Juiceは辛酸をなめてきた。そんなJuice=Juiceに突然の幸運が振ってわいた。オリコンシングルランキング1位獲得である。アニメ妖怪ウォッチのエンディングであるニャーKBと当時発売週のため他のライバルたちが避けていた週に、細々と2位狙いで『Wonderful World』を発売、蓋を開けてみたら1位だったのだ。無欲の勝利である。妖怪ウォッチのEDがDream5からニャーKBに変わった時に、ねじ子は随分と絶望したものだけれど(詳しくは昨年の俺コンを参照)、こうなったら一転して彼らに感謝したい。「握手券と投票券の付いてないCDにはビックリするほどお金を落とさないでくれて、どうもありがとね!」と。Juice=Juiceはもともと実力が高く、ルックスも抜群で、でも何かが足りない!もう一つフックが欲しい!という状態がしばらく続いていた。オリコン1位という肩書きにより、彼女らは一気に上昇気流に乗ることができたと思う。オリコンなんてもうランキングとしては何の価値もないと思っていたけれど、こうなるとまだまだ「きっかけの一つ」としては意味があるんだな。彼女らが主演するドラマ「武道館」だって、「J=Jはオリコンで一位を取ったグループなんですよ!」という一言が会議でプレゼンできるか否かによって、企画の通りやすさがずいぶん違ったはずだ。

かなとものことは早くて3カ月~長くても1年半くらい待ってあげて欲しい。ホルモンの治療は薬に慣れるまでどうしても時間がかかる。薬の副作用もちょこちょこ起きる。薬が効くか効かないか、手術に踏み切るか、治療法を決めるにもある程度の月経周期を見なきゃならない。どうしても時間が必要だ。早くて3カ月~長くても1年半くらい色々な治療を試してみれば、安定したコントロールが可能になる。腹痛や出血や薬の副作用など、子宮内膜症にまつわるさまざまなキツい症状も制御可能になるはずだ。動くのがキツイ時期が予測できるようになるし、その「キツさ」もいくらかマシになる。具体的にいうと「普通の女子にとっての生理痛」程度になる(つまり、日によって重い、寒い場所だときつい、2日目だけロキソニン内服、くらいのイメージ)。その後は他のメンバーと大差ない活動ができるはずだ。そのくらい待てるよね?私は待てるよ。だって彼女の声とキャラクターは唯一無二だから。ファンも事務所もメンバーも、そして何よりもかなとも自身が、体の回復を待ってあげてほしい。今、焦って何かを決めようとしてはいけない。あまりに時期尚早だ。誰にとってもいい結果を生み出さない。医者としては「子宮内膜症で仕事をやめるなんて、とんでもない!そんな必要ないよ!全く動けない状態が永久に続く病気じゃないんだからさ!半年から1年待ってれば、何とかなるから!後のことは、治療がひと段落してから考えよう!」という思いだ。かなとも自身は今とても辛いだろうし、己の体を呪うだろうけど、必ずコントロールできる日がくる。そしてそれは決して遠い話ではない。周りに何を言われようとも、気にするな。折れるな。あなた自身の野望をかなえてくれ。

病気を告白したのは誰にでもできることじゃない。勇気ある行動だよ。私は正しい選択だと思う。そもそもハロヲタの皆さんは屈指の名探偵揃いだから、何の前情報もなく婦人科通い(けっこう頻繁に通うことになる)が目撃されたら、あっという間に拡散されてしまうだろう。現在のSNS社会においてそれは避けられない。医療従事者は守秘義務があるので患者さんの情報を漏らすことはないけれど、患者さん同士にはそんな義務ないし、近所の人にも守秘義務はない。周りの人間の口には戸が立てられないのだ。あっという間に下衆な勘ぐりが広がる。それはますます彼女の心を傷つけるだろう。「産婦人科へ行く」=妊娠、性病、堕胎くらいしか思いつかない下衆で偏狭な人間は残念ながらこの世にとても多いのだ。公演を欠席するたびに、心無い中傷や下衆なヤジが発生して収集がつかない事態になっていただろう。今回の発表に対して「病気を売りにした売名行為だ」と感じた方もいたようだが、それはハロヲタの情報収集能力を知らない幸福な人の意見だと思う。

若い女性が婦人科系の病気を告白するのは大きな勇気がいる。かなともがそれを選んだのなら、私は大いに支持する。事務所も彼女を支えていくことに決めたのだろう。だって病名を公表した上でクビにしたら、叩かれるもん。一気に社会的な議題になってしまう。私も、子宮内膜症を理由に会社をクビになった患者さんがいたら、医者として強い憤りを感じるよ。大きい会社がそんな人事をあからさまに行ったなら、その会社を批判する。だって医者としてはそんな悪い前例を作られちゃ困るんだ。ただでさえ病気で苦しんでいる患者さんの首を、ますます絞める「悪しき前例」になってしまう。若い女子を使った商売を末長くやっていきたいと思うなら、婦人病というのは飲み込むべきリスクなのだ。

そして病名を公開したからには、かなともには同じ病気で苦しむたくさんの患者さんにとっての「希望の星」になってほしい。子宮内膜症という、原因のはっきりしない、他人にも言いづらい、同じ女性にも理解されにくい病気になっても夢をあきらめなくていい。仕事を辞めないでいい。アイドルにだってなれる!そう思わせてほしい。あなたがステージで輝く姿が、患者さんにとっての希望となる。「彼女も頑張ってるのだから、私も頑張る」という気持ちを、同じ病で苦しむ患者さんに届けてほしい。これは医者には決して与えることのできない光であり、未来への処方箋だ。あなたならできると信じている。

あ、この曲は名アルバム「First Squeeze!」から選びました。Juice=Juiceの高い歌唱力と表現力が遺憾なく発揮されています。MVでのみんなの顔芸、いや表情が素晴らしいです。

4位 ラーメン大好き小泉さん / こぶしファクトリー

こぶしファクトリーっていうネーミングセンス、最高だよな。ちょっと勝てないよ。ニュースを見た瞬間に爆笑できる団体名って、そうないと思うよ。単純な日本語なのに、他のどこともかぶらない唯一無二の単語の組み合わせ。一度聞いたら二度と忘れないインパクト。口に出すと楽しい語感。ベリーズ工房に引き続き何を作っているのかさっぱりわからない工場っぷり。狙いすぎてないくせに、ゲラゲラ笑える。どれも最高だ。聞いた瞬間は「こぶしって、拳?花?え、どっちも?こぶしの花って茶色くなって散り際が汚いけどいいの?フィストファクトリーって言われそうだけど、それもいいの?」などと考えたけれど、それらをぜんぶ吹っ飛ばせるほど馬鹿馬鹿しく、勢いがある名前だ。しかも彼女らのパフォーマンスを見るに、一番近い「こぶし」の意味は実は日本的歌唱テクニックの「こぶし」であった。そうだったのか、こぶしをきかせて歌うのが彼女たちの歌だったのか!ダブルミーニングどころかトリプルミーニングだ!すごいな!個人的には2016年最も笑った大喜利、いや違ったベストネーミング大賞でした。

話が逸れたよ。「ラーメン大好き小泉さんの歌」は純粋に曲がいい。ダンス☆マン渾身のアレンジもいい。MVも明るく楽しい。ラーメンがモチーフのふりつけも面白い。

ねじ子の一推しメンバーは藤丼だ。こぶしファクトリーの鍵は藤丼が握っている。と、俺は踏んでいる。彼女にはこのまま勉強を続けて、できる限りいい大学に入って欲しい。本当はもう東大とかに入って欲しい。ハロプロで東大。新しいよね?まぁさすがに東大は難しすぎるので、どこでもいいから、できるかぎりいい大学に入って欲しい。もちろんハロプロの先輩たちのように慶応大学(推薦や内部進学)もいいけど、がっつり大学受験するのも魅力的だよなぁ。

藤丼は賢くてかわいい。でも、このままテレビのバラエティー番組という戦場に行くには武器が足りない。道重だってももちだって、10年間ハロプロで蓄積した大量の資材をもってバラエティーに攻めこんだ。ももちに至っては「教員免許」という武器までしっかり担ぎあげて一人旅立っていった。藤丼はまだキャリア3年の上に、高校生である。バラエティという魑魅魍魎が跋扈する戦場に立つつもりならば、もう少し武器が欲しい。でないと返り討ちにあう。「名門大学」というのはTVショーで戦うための一つの武器として非常に有効である。何より彼女には、まだその武器を手に入れるチャンスがある。忙しくて大変だろうけど、頑張って両立してほしい。それは彼女のみならず、こぶしファクトリーにとってもひとつの売りになり、ブレイクのきっかけにさえなりうると思う。

あ、ちなみに本当はこぶしファクトリーの鍵はたぐれなが握っている。と、ねじ子は踏んでいる。彼女らのアホ可愛さが一皮むける瞬間が、こぶしの真の躍進の時だと思う。それが何年後かはわからないけど、今から楽しみだ。

5位 臥薪嘗胆 / アンジュルム

アンジュルムはスマイレージから完全に曲調を変え、生まれ変わった。方向性を決定的にしたのはファーストシングル『大器晩成』だろう。今の彼女たちは『大器晩成』で受けた路線、つまり這い上がる系の歌詞とロック歌謡路線で突き進むことに決めているようだ。私はあまりそのジャンルが好みではなく、ファンキーな『臥薪嘗胆』が一番好きってくらい流行に乗り遅れているのだけれど、アニソン的和製ロックが大好きな若いファンは多いのでこのまま突き進んでほしい。

アンジュルムっていうネーミングは聞いた瞬間に「同人イベントに初めてサークル参加する女子高生が付けがちなサークル名みたい。スタジオYOUのイベントの島中にいそう」と思っていたら、本当に現役女子高生の中西香菜ちゃんがつけた名前だった。うーん、フランス語を入れてみたり、横文字なうえに造語だったりするのは、一見カッコよくても実はありがちで覚えにくく、あまりよくないサークル名だと(こちらの世界では)言われているんだけどなー。あ、同人サークル名と女性アイドルを一緒にしちゃいけませんね!すみませんでした!しかし私には何回見ても「Anger Me」に見えてしまうんだよ。「私を怒らせるもの」。そしてある意味、それはとてもあやちょらしい名前だと思う。彼女の周りにあふれている数々の理不尽、屈辱、同胞との別れ、事務所やファンに対する怒りは、ますます彼女の美しさを増し、魅力を引き上げる要因になっていると思う。彼女は、怒りによって自らを洗練させ、芸を磨くタイプの芸術家なのだ。怒りによって悟りに近づくその姿は、彼女の大好きな仏像で例えるなら如来や菩薩というより、明王に近い。不動明王とか愛染明王とか。いつも9人組を保つアンジュルムは、まろが抜けてますます「不動明王あやちょと八大童子たち」感が強くなってきている。

出典:http://photozou.jp/photo/photo_only/197391/25120187

6位 イマココカラ / モーニング娘。’15

『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』のタイアップ曲。私の大好きなモーニング娘。が、私の大好きなプリキュアとコラボしたよ!いい曲。小田さくらセンターという新しい試み。「私達は普通の女の子」と歌い出すおださくがまったく普通の女の子っぽくない、顔から妖艶さが滲み出ているのが最大の見所。モーニング娘。15’が声優もやるとの情報を聞き、ルンルンで映画館に足を運んだねじ子であるが、この私をもってしても!彼女らがどこで出演していたのか!さっぱり!わからなかったヨ!清々しいほどのモブっぷり。オリエンタルラジオの二人が出ずっぱりのキャラだったのとは対照的な扱いであった。

そして個人的には、プリキュアのピンチの場面で「映画を見ているみんなー!ミラクルライトを振って応援してほしいクル~!」という、画面のこっち側の観客全員でプリキュアを応援するというプリキュア映画お約束展開(そのために入場特典はいつもペンライトだった)が、今回からなくなってしまったのが非常に残念だった。なんだよ!私はプリキュアを応援するためにここに来てるんだよ!詐欺だ!ミラクルライト振らせてよ!プリキュアを応援できないんだったら、私は何のために高い金を払って恥ずかしい思いをしながら幼女に紛れて映画館へ足を運んでいるのか、わからなくなっちゃうよ!あ、モーニング娘。15’を見るために来たんだった。てへ。すっかり忘れてたよ。エンディングで日本各地の幼女たちが躍る「イマココカラ」の動画を挟みつつ歌い躍るモーニング娘。はとても良かったです。MVそのまんまで、オリジナル映像は見受けられませんでしたけど。衣装はもっと可愛くてフリフリの、変身後プリキュアみたいにしてほしかったけど。それでも、「プリキュアとモーニング娘。のコラボ」というずっと夢見ていた景色を見られて嬉しかった。

7位 Shooting Star / Juice=Juice

Juice=Juiceの舞台『恋するハローキティ』劇中歌。作曲は和田俊輔さん。和田さん最高だな。ステーシーズ再演はよ!LILIUM再演はよ!鞘師が帰ってきたらLILIUMの続編もはよ!鞘師って実はとてもいい役者だし!リリー(鞘師)が失望の果ての放浪の旅から帰ってきたら、仲間はみなクラン(ハロプロ)からいなくなっていた。でも私はなぜかこの世界に生き残っている――という状況は、実は数年後の鞘師にぴったりなんじゃないだろうか?

以上です。また来年。2016年のハロプロ楽曲ランキングは今のところ『チョット愚直に!猪突猛進』と『押忍!こぶし魂』が熱いデッドヒートをくりひろげる予定です。

2015年 ねじ子の俺コンランキング・楽曲編

1位 該当なし

今年はヒット曲のない年だった。興味が細分化し、皆で共有できる音楽がなくなったと言われて久しい。もう、全世代が同じ音楽を耳にするという概念自体が旧世代のものなのだろう。2015年はその状況が極限まで極まった年だと思う。そうは言ってもこれまでは、ニコニコならニコニコ、ボカロならボカロ、アニソンならアニソン、キッズアニメなら子供、アイドルならアイドルヲタの世界の中で小流行した曲くらいはあったと思うんだ。今年はそれすらも、なかった。一発屋も見あたらず、歌番組は昔の曲ばかり。ヒットどころか犠牲フライや送りバンドすらもなかったんじゃないだろうか。完全試合達成だ。強いて言えばμ’sが今年のヒットなのかもしれないが、μ’sの曲のほとんどは(正確には)2014年以前のものだし、そもそもオタクの贔屓目を持ってしても、μ’sが若い男女全員に共有されているとは思いがたい。これが私の年のせいで、実はしっかりと若い世代の共感を呼んでいる曲があり、ただ私の音楽のアンテナの感度が鈍くなっているだけであることを願っている。

結局、音楽業界はインターネットの普及によって音楽が「タダ」になってしまったことにいまだ有効な手を打ち出せていないのだと思う。Youtubeがサービスを開始した2005年頃からずっと言われ続けている課題だが、いまだ解決策が見あたらない。音楽家の個人個人は、すごくがんばっている。自分たちが食べていけるように、「マネタイズ」の方法を日々模索している。それはわかっている。でも、もうとっくに崩れている既存の音楽業界の仕組みに自らが死ぬまでしがみついていたい人たち(おそらく彼らは10年以内に引退して「勝ち逃げ」するので、その後のことなんて考えなくていいのだ)の恒常性バイアスに、若い人たちはとても太刀打ちできていないように見える。組織の上の方にいる人たちは、現状を維持することによって利益を確保しているのだから、変わる必要はない。後のことを考える必要もない。誰だって自分の取り分が減るのはイヤなのだ。当たり前である。これは現在日本において、どの業界にもみられる構造だと思う。

団塊の世代は人口が多いので、多数決の民主主義社会では勝ち続ける。そして日本は民主主義だから、下の世代は何をやっても勝てない。彼らがごそっといなくなるまで、我々は犬死にしないように必死で耐え、近い将来やってくる★超絶★格差社会に向けてエネルギーを蓄え、切磋琢磨しなければいけない。医療業界もそう、出版業界もそう。SMAPですら、そう。かくいう私もそうである。きついなぁ。馬鹿馬鹿しさの真っ只中で犬死にしないようにしたい。

2位 シオカラ節 / シオカラーズ(Splatoonサウンドトラック)

2015年現在における自由な音楽制作の形の一つは、ゲーム音楽にあると思う。ねじ子の今年のベストアルバムはSplatoonサウンドトラック、その名も「Splatune(スプラチューン)」。遊び心満載で、細部までよくできたアルバムだった。

Splatoonというゲームは、イカ人間の皆さんが鉄砲やブラシでペンキをぶちまけながら、地面に塗ったインクの色で陣取り合戦をするシューティングゲームである。このCDアルバムはもちろんゲームのサウンド・トラックなのだが、「ゲームの中のイカ人間の世界で発売された音楽アルバム」という体を取っている。音楽性の異なる6組のイカバンドやイカシンガーがリリースした楽曲を集めたオムニバスアルバム、という設定だ。その設定に乗っ取ったCDジャケットワークがすばらしい。一曲ごとに、音楽レビュー雑誌風の熱いライナーノーツが付いている。たとえば、一番有名なCMにも使われている戦闘音楽のライナーノーツはこれ。

Squid1

この曲を演奏している(という設定の)バンド名は「Squid Squad」。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人組。いや、4イカ組。彼らの出した二枚目のシングルがこれだ。

「バンドにとって”ヒット曲の次の曲”がイカに難しイカは、想像に難くない。だが、僕らがアゲまくったハードルをカラストンビにも掛けず、彼らはスーパージャンプさながらこの曲で飛び越えていった。」で始まるライナーノーツがついている。終始こんな感じで、実にイカしている。ちなみに彼らは私が今年もっともよく聴いたロックンロール・バンドであった。

今回取り上げたシオカラ節は、ゲーム内のアイドルキャラクターであり、イカ世界のトップアイドルである二人組・シオカラーズが歌っている。

shiokara

歌詞がさっぱりわからない。これはイカの世界の言語、つまりイカ語である。こういうわけわかんない音声にしておけば、世界各地で発売するときに各国語に吹き替えしないですむという大人の事情を逆手に取った手法だ。「これでやっとシオカラ節を歌える!」と歌詞カードをウキウキで開いたねじ子は、ひっくり返ったよ。

 

 siokaraliner2

こちらにもアイドル批評ライナーノーツが付いている。クイックジャパン風でとってもおかしい。
さらにこの曲は元ネタがある(という設定になっている)。なんとシオカラ地方に伝わる伝統民謡である。その名も「元祖正調塩辛節」。シオカラーズは、子供の頃にこの曲を民謡選手権で歌い、優勝したことがデビューのきっかけとなった(という以下略)。こちらもすごくいい曲だ。

これだけ作り込んだ世界観を一つのアルバムに丁寧にパッケージできていることが素晴らしい。

3位 スカッと My Heart / モーニング娘。’15

つんく♂にしか作れない、アイドル・ファンクの真骨頂。鞘師のビートの利いた低い声がよく似合う。マイケル・ジャクソンの群舞を彷彿とさせるダンスも素晴らしい。センターでバキバキに踊る鞘師はまさにマイケルのようである。衣装もかわいい。歌詞も、鞘師のことをそっくりとうつしとったような歌詞だ。この曲は鞘師だよ鞘師。鞘師の曲だよ。2015年の大晦日に突然卒業した鞘師のための歌詞で、メロディで、ダンスだよ。

鞘師は求道者である。我々には彼女のダンスはこれ以上ないほどの理想型に見えるのに、鞘師本人はライブDVDやテレビで自分が歌い踊っている映像を見るたびに、絶望に打ちのめされていたという。鞘師の脳内には完璧なダンスのスタイルがあって、今の自分はまだそこに達していないとずっと感じていたらしい。鞘師が自分で未熟だと思っている「今の自分の表現」も、他人から見れば十分にハイレベルで、誰も真似できないのだが、そんなことは彼女には関係ないのだ。鞘師は天才であるがゆえに、自分のダンスの「あら」が見えるのだろう。そしてその「あら」に耐えられないのだ。だから彼女は「ダンスを勉強しなおす」と言って、海外に留学しようとしている。鞘師は、脳内の理想型に少しでも到達するためにさらなる高みを目指すのだろう。彼女の脳内にある「完璧なダンス」は、我々凡人には想像もできない。彼女の脳内にしか、それはない。レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザの完成形を求め、死ぬまで筆を入れ続けたように、鞘師は芸事に求道し続けていないと心が死んでいってしまうのだろう。だから、鞘師が「完璧を追求したい」と言い出したら、もう誰もそれを邪魔することはできない。それを止めたら、泳ぎを止めたマグロのように彼女の心は衰えていってしまう。実際、2015年の春から夏頃の鞘師には迷いと戸惑いが透けて見えていたように感じる。モーニング娘。卒業を決めた後の彼女は、一転してとてもすがすがしく、新しい目標に向けてのびのびしていた。そしてとても魅力的だった。これが私の鞘師評である。

鞘師がモーニング娘。に加入したとき、そんなストロング・スタイルの女性アイドルは絶無だった。異性に媚び、業界の偉い人に媚び、握手会で太い客に媚びる。歌は口パク、踊りは盆踊り。それが女性アイドルの圧倒的なスタイルとして旋風を巻き起こしていた。彼女はそんな世間の風はどこ吹く風、といった涼しい顔でモーニング娘。に入ってきた。当時のモーニング娘。は人気も地の底であり、スキャンダルまみれで、どこにいっても「まだ続いているの?解散すればいいのに」「AKBに完全に負けたよね」と言われる状況だったけれど、そんなことはまったく意に介さず、堂々と「幼稚園のころからずっとモーニング娘。に憧れていました。私の夢が叶いました」と語っていた。そしてびっくりするほど上手に舞い踊った。広島の、たった12歳の子供が。

彼女がどれだけ私たちの希望だったか、はかりしれない。9期は、鞘師は、私達にとって、明けの明星だったんだよ。こんなにも有望な子が、娘。に入ってくれただけで嬉しかった。5歳の頃から娘。に入るために広島でレッスンしてきたという話を聞いて、心揺さぶられずにはいられなかった。今でこそ「プラチナ期」とか言われて崇められてるけどさ、当時は新しい展開が長い間何一つなくて、新メンバー募集すらなくて、モーニング娘。は閉塞感 に覆われていた。「娘。はこのまま店じまいするのかもしれない」と本気で疑う状態だった。彼女のおかげで、ハロプロは首の皮が一枚つながったのだ。

彼女の実力至上主義は幅広く伝わり、ハロプロに新しい風を吹き込んだ。他のアイドルとの差別化に成功し、多くの女性ファンの共感を呼んだ。大量の女子がハロプロにまた入ってきてくれた。モーニング娘。の現場はいよいよ半数近くが女性ファンになってきている。信じられない。これは確実に鞘師(と9期10期11期とスマ2期)の功績である。鞘師最後の武道館で「マジですかスカ!」が始まった時、モーニング娘。に9期が入ってくれた時の喜びがぶわっと蘇ってきて、ねじ子は泣いてしまったよ。

正直に言うと、鞘師卒業の一報を聞いたときは、そのあまりの性急ぶりと、夏頃の休養(朝布団から立ち上がれなくなった)の記憶から、なんらかの精神疾患の可能性が頭をよぎった。精神疾患の患者さんは、症状が激しい時期に大きい決断をしようとしがちである。そんな時はとりあえず決断を先延ばしにさせる。精神科の教科書にも載っている定石だ。「それなのに鞘師は、精神が落ち込んでいるときに重大な決断をしてしまったのではないだろうか?それは悪手だよ!周りが守ってあげなくちゃ!」と一瞬思ってしまった。私の心も絶望で塗りつぶされた。でも、武道館で鞘師の晴れ晴れとした姿を見たら、そんなの私の勝手な杞憂だって、わかったよ。鞘師はちゃんと考えて結論を出した。周囲と喧嘩したわけでもなかった。本当によかった。私は、鞘師ならモーニング娘。に帰ってきてもいいと思ってる。2年後だってまだ19歳だ。アイドルとしても、表現者としても、まだまだこれからという時期である。彼女の帰還を楽しみにしている。

4位 ラブ♡ボクシング / 清竜人25

何も言わずにMVを見てほしい。真ん中のアフロの男性がすばらしい。彼の名前は清竜人くん。シンガーソングライター。ちなみに一人の時はこんな音楽をやっていた。全然違う。宇宙人のジギー・スターダストがリーゼントてっかてかにしてレッツ・ダンスするヤング・アメリカンになるくらい違う。ずいぶんと吹っ切れたもんだ。

周りの6人の女性はみんな彼の妻(という設定)。メンバーは「第○夫人 清●●」という名前で呼ばれる。結婚しているから、女の子たちの名字はみな「清」。清竜人25は、清竜人というフロントマンと、その6人の夫人で構成された一夫多妻(という設定の)ユニットなのだ。

こうなるともう、誰も恋愛禁止とか言わない。だってみんな清竜人の妻だから。アイドルが異性のからむ仕事をすると、ファンの間には必ず「誰かメンバーに手を出しているんじゃないか」という疑念が出る。相手がプロデューサーでも監督でも作詞作曲でもバックバンドでも、そう。それゆえに男女混成ユニットは人気が爆発しにくいとも聞く。でも、そんな疑念も発生しやしない。だってすでにみんな妻だし。むしろ、ここまでいくとメンバーの誰にも手を着けていないんじゃないかって思えてくる。よく考えられた仕組みだよ。

ちなみに第5夫人の清菜月ちゃんは先日活動休止を発表した。卒業理由はなんと「ご懐妊」である。マジかよ。こうなると、なぜか清竜人の子供とはみじんも思わないんだから人間って不思議である。まったく、よくできた設定だよ。妊娠おめでとう。

そしてなにより、抜群に曲がいい。先ほど「アイドル・ファンクはつんく♂にしか作れない」と書いたけれども、清竜人はつんく♂の後を一人猛追している音楽家だと思う。新しい形の和製アイドル・ファンクだ。ファンク歌謡が大好きなねじ子は狂喜乱舞しております。ちなみに清竜人25のアルバム「PROPOSE」初回限定版amazon販売ページの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」には、ずらりと岡村靖幸が並んでいた。そうだよねぇ。みんな和製ファンク・ミュージックに飢えているんだなぁ。わかる、わかるよ。私もそうだよ!

5位 STAR TRAIN / Perfume

今年の女性アイドル市場はさんざんだった。ハロプロのみならず、ほかの女性アイドルものきなみ売り上げを落とし、動員を落とし、解散やメンバーの脱退が相次いだ。膨れ上がったアイドルバブルは徐々に終息に向かっているのだろう。まあハロプロは何も変わらずに続いていくのだろうけれど、市場全体が冷え込むのは望ましいことではない。

そんな中でPerfumeは唯一、その魅力をさらに増した女性アイドルグループだった。Perfumeがブレイクして幾星霜、あまたのエピゴーネンが生まれ、握手アイドルの台頭があり、そのついでに口パクだと叩かれ、きゃりーぱみゅぱみゅの流行があり、数々のお祭り騒ぎが起こっても、そのすべてを素通りしてPerfumeは地道に音楽をやり続けている。その姿は美しい。結局、誠実に作品を作り続けているところは順当に生き残るんだな。希望のもてる結末だ。この曲のサビの「I don’t want anything」「Music is everything」は、彼女たちの誠実なたたずまいを象徴するすてきな歌詞だと思う。

6位 Vanguard / JAM Project

私が今年一番たくさん聴いて、一番口ずさんだアニメソング。JAM PROJECT最高。影山ヒロノブ最高。歌詞もいいし、曲も文句なく熱い。歌唱力も一級品だ。でも2011年なんだよね。再放送で見た『カードファイト!! ヴァンガード』アニメの第1期シリーズも面白かった。

7位 マジカル☆チェンジ / マジカル☆どりーみん

女性アイドル関連で2015年私がもっとも衝撃を受けたのは、ドロシーリトルハッピーの分裂劇であった。ドロシーはもともと、メインのお姉さん2人と、若い3人の合計5人で構成された仙台ローカルアイドルである。まさにその名の通り、小さな幸せを届ける田舎の純朴な少女たちそのものという上品な立ち振る舞いで、歌唱力もあり、惹かれる人も多かった。

今年の初旬から、若い3人が「グループ内ユニット」としてcallmeというユニットを始めた。そこまではいい。ある日突然、callmeのイベントで3人が上京し、独立・分裂することが発表されたのだ。同じ日に、違う場所で、残された2人も泣きながら分裂を発表した。この時点で、平和に話し合いが行われたとは到底思えない展開である。しかも、分裂するまではあと3ヶ月もあり、その間シングルリリースもコンサートも行うというのだ。どんな顔をしてそれを見ればいいのだ。大人の事情の臭いしかしない。

この分裂劇を、誰がどんな目的で仕掛けたのかはわからない。でも、提供された結論はクソ。どうしようもないほどクソな結末としか言いようがない。ジュエルペットのオープニングとエンディングという大きなタイアップ中にそんなことをしでかしたエイベックスの大人たちには猛省してほしい。「ジュエルペットと一緒にたまプラーザでリリースイベントやるよね!ドロシーちゃんなら見に行きたいな!」とウキウキして発売週を待っていたねじ子の純粋な気持ちを返してほしい。分裂させるつもりなら、アニメのタイアップなんか取るなよ!ジュエルペットに失礼だろ!放送開始日からわずか24日で分裂発表しやがって!さらに、実際の分裂はけっこう先で、エンディング曲発売の2ヶ月後っていうね!当然、ジュエルペットのアニメの間に流れるCMでは5人とも映っているっていうね!こいつら半分以上いなくなるんだよ!?どういう気持ちで見ればいいのさ!?とてもCDを買う気になんかなれないよ。当然のようにシングル発売のイベントはいっさい開催されず、売上も散々であった。

極めつけは、5人体勢最後のコンサートでの最後の挨拶だ。出ていく方のグループのメンバーが不安を口にして次々と泣きだし、果ては残る方のリーダーの挨拶中に、出ていく方のリーダーがガチの口喧嘩をふっかけ、言い争いをはじめたのである。もう笑っちゃうよね。笑うしかないよ。小さな幸せを届ける田舎の純粋な少女たちが連れていってくれた魔法の国は、いったいどこへ行ったんだ?もうこうなってしまったからには、ドロシーリトルハッピーの2人もcallmeの3人にも頑張ってほしいけど、エイベックスの大人たちには「客を舐めるのもほどほどにしてね☆」という言葉を送りたい。……と、ここまで書いたところで、SMAPがさらに下をいく醜悪な展開で解散騒動に巻き込まれていた。いやー、ドロシーの分裂劇のほうが、本音が聞けたぶんだけ、まだマシだったな!よっぽど面白かった!SMAPについては企業のメンタルヘルス管理的に看過できない状態なので、また改めて書きます。

話がそれた。で、この曲はオープニング曲。ドロシーリトルハッピーとGEMとX21(すべてエイベックス所属)という3組のアイドルグループから2人ずつ選抜された、計6人の選抜ユニットである。ドロシーリトルハッピーから選抜された2人は、違うグループに分裂しちゃいましたとさ。ちゃんちゃん。そんなことやってるからアニメのジュエルペットが終わっちゃうんだよ!いや、ジュエルペットが終わることにエイベックスは関係なかったな。「SNS向け銀魂」であるところの「おそ松さん」があれだけ受けているのに、「女児向け銀魂」ともいえる「ジュエルペット」シリーズが終わってしまうとは、ねじ子の厭世感も増すばかりである。「本物の銀魂」こと、週刊少年ジャンプの銀魂の連載も最終章に突入するらしいしなぁ。はぁ。

8位 Friend List / スプラトゥーンサウンドトラックより

2位と同様、スプラトゥーンのサントラより。ロックンロールの楽曲が大衆に影響を与えなくなって久しい。そもそも、ロックンロールはきちんと現代の若者の心にも鳴り響いているのだろうか?アメリカではもうロックなんてGeekしか聴かない音楽になっていると聞くし。TVでもアニメのOPとEDでしかロックンルロール・ミュージックが流れないし。ギターとベースとドラムの三重奏が生み出すグルーブを何よりも愛しているねじ子はとっても心配です。そして確かに、私の心の中でも新しいロックンロール・ミュージックが鳴り響く機会が減ってきました。そんなねじ子が今年もっとも聴いたロックンロール・ミュージックはスプラトゥーンです。これでいいのでしょうか。

9位 Firework / Czecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)

あ、これはロックだな!中島早貴ちゃん目当てで見始めたテレビ東京系コント番組「SICS」のエンディングで知った曲。「SICKS」は非常に面白かった。最初は、ネットで散見される極端な人たち(腐女子・処女厨・既婚女性・ハメ撮り流出など)の特徴を拾い集めて揶揄しているだけの、ありがちなコント番組だと思っていた。ところが実はすべてのコントに伏線がはりめぐらされていて、回を重ねるごとに着々と謎が解かれていき、最後にはすべてのコントがつながって一つの大きなバイオサスペンスドラマになっていった。SFでもあり、銃撃戦もあり、アクションもあり。その中で、女性向け同人作家であるリコポン(中島早貴ちゃん)は、相方のマユ吉先生とともに世界を救うヒロインになっていく。

私自身がオタク女であるがゆえに、当初は「はーん。ネットで必死に集めた情報から、現実にはありえない腐女子像を勝手に作り上げられて、笑いの対象にするやつね!」というありがちな憤慨を覚え、斜にかまえて見ていた。映画『ティファニーで朝食を』のステレオタイプで戯画的な日本人「ユニオシ」を白人俳優が演じて笑いを取っているのを見るような、白けた気持ち。でも、回を重ねていくとそんなのどうでもよくなるくらい脚本が面白かった。

「nkskにはオタクっぽい要素なんてないのに、どうしてこんな役にキャスティングされたんだろう?」という疑問は、その後、彼女が「騙されやすいアイドル(略してサレドル)」になった瞬間に吹き飛んだ。これは確かにはまり役だ。nkskちゃんってば日本一・大人に言われたことそのままやっちゃいそうなアイドルなんだよ。彼女の巻き込まれ力は異常だよ。嬉唄ちゃんの脱退を皮肉った寸劇をやらされたりとかさ、よろセ(以下自主規制によりカット)とかさ。

10位 シャクシャイン / 水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラを初めて聴いたときのねじ子の勝手な感想は「ニコニコ動画系・ピチカートファイブ」。ピチカートは渋谷系、つまり東急鉄道沿線の雰囲気を漂わせたハッピーでキャッチーなお洒落ソングだったけど、これはネットカルチャーの雰囲気が充満した、ダウナーで、けだるくもグルーヴィーなお洒落ソングである。

私は音楽に疎いので、彼らの音楽のジャンルはわからない。あえて言えばヒップホップなのかな?ファッションアイコンとして完璧な女性・コムアイのボーカルと、打ち込み音楽家ケンモチヒデフミとの幸福な出会い。その結果生まれる音楽。その化学反応ぶりが、ピチカートファイブの野宮真貴さんと小西康陽さんによく似ているのだ。

歌詞にはぶつ切りの単語とダジャレと語呂合わせが多用されている。でも決してバラバラではなく、きちんとつながった言葉が散りばめられている。イメージからさらにイメージを引き起こしていくかのような歌詞だ。早口言葉っぽいとも、Wikipediaっぽいとも言える。音楽とリズムが何よりも大切で、音符に乗りやすい単語を順番に乗せていくとこんな風になるのだろうか?私は好きだけど、好みの分かれる歌詞だと思う。

ライブも変。ディス・イズ・サブカル。

以上です。次回はハロプロ楽曲ランキングでお会いしましょう。

従業員のメンタルヘルスとパワー・ハラスメント

SMAPの会見は、企業による公開パワー・ハラスメントであった。従業員のメンタルヘルスをいったいなんだと思っているのだろうか。「業界の慣習」などをしたり顔で語る人々もいるが、そんなものに聞く耳はない。労働者が自殺するブラック企業の管理者は、みんな決まってそう言うのだ。医者である私にとっては、患者さんのメンタルを健全に保つことだけが重要である。そして、彼らは明らかに人間として最低限の尊厳を踏みにじられ、健全な精神衛生を保てないほどの高ストレス下に追いやられている。誰かが自殺してからでは遅いのだ。この騒動に巻き込まれた従業員の皆さん(もちろんメンバー含む)のメンタルヘルスが非常に心配である。彼らの周りの人はきちんと精神的フォローをしてあげてほしい。自殺をほのめかすなどの危険な兆候が見られたら、決して一人にはせず、病院にも躊躇せずに頼ってほしい。これが私の患者さんの身の上のことならば、企業に環境改善を進言した上で、会社側に変化がみられない場合は各自治体の労働基準監督省に直訴or弁護士に相談するよう促すところなのだが。そんな健全性が保たれているようには思えないから、やっかいである。

彼らは日本で一番有名な会社員である。国民の誰もがその名前と業績を知っている、最高レベルの従業員だ。そんな彼らに対して、所属企業によりこれほどの横暴が行われることが「よし」とされて、まかり通ってしまうのならば、それはもう社会システムにとっての危機である。社会不安を招くし、厚生労働省が目指す「うつ病発症率と自殺率の低下」という政策にも完全に逆行している。こんな社会的懲罰がOKとされるなら、我が国のうつ病発症率と自殺者数はますます上がるばかりであろう。

派閥争いはどんな企業にもある。日本最大の組織である霞ヶ関の官僚なんて、派閥がスーツ着て歩いているようなもんだし、大学病院も派閥が白衣着て歩いているようなもんだ。SMAPの面々は、自分たちはまったく悪くないのに、派閥争いに巻き込まれ、公開処刑のように謝罪の体を取らされ、全国放送でさらし者にされた。気の毒すぎる。これが巨大組織の中で派閥争いの渦中に意図せず巻き込まれてしまった従業員の赤裸々な姿であり、哀れな末路なのだ。まさに木っ端みじんである。SMAPの姿は、日本中の多くの苦しむ40代労働者の姿そのものであった。がむしゃらに30年間勤務し、企業に莫大な利益をもたらした従業員に対する答えが、これなのか。絶望しか感じない。

SMAPの面々の選択は五者五様だが、誰も悪くないし、誰も間違っていないように思う。それなのに、どの道を進んでも地獄であることにかわりはない。組織と家庭を選んだキムタクも地獄、古い恩人を選んだ他の4人も地獄。彼らはまさに会社の歯車として心を引き裂かれ、苦しむ日本中の40代会社員の象徴のように思える。消費者の多くは、彼らに同情し、共感する。そして、老人と同族が支配するブラック企業を自らの勤務先に重ね、巨悪として憎むのだ。だって視聴者の多くは下っ端のサラリーマンだから。虐げられている方に共感するのは当たり前である。日本の産業構造の縮図としてとらえているからこそ、誰もがSMAPについて語り、TwitterやBPOのサイトが落ちるほどの大騒動になっているのだ。SMAPの解散騒動は、たった3分間の会見によって、単なる芸能ゴシップから社会構造的な問題に発展したと言える。

さて、ここからは与太話である。アイドルというものは、同年代の同性にとって憧れと共感の対象になったとき、はじめて真の偶像となる。正直、近年のSMAPは、若い頃のかっこいい面影を引っぱりすぎて年齢相応の変化ができていないように感じていた。でも今回の騒動で、彼らはまさにおっさん世代のサラリーマンの同情と共感を得られる象徴的存在になった。明るいポップ・スターではなく、源義経や真田幸村や土方歳三のような「悲劇の判官」として、だけれど。こんな境地にいたった男性アイドルは他に類を見ない。否が応でも、SMAPは国民的アイドルとして宿命づけられているのかもしれない。長い目で見れば、この悲劇をチャンスに変えることも可能であると思う。なあに、彼らには時間がたっぷりあるのだ。今はいったん敗北したように見えても、命まで取られるわけではあるまい。……いや、命だけは大切に。虎視眈々と生き延びてほしい。芸事とファンに対して誠実でありつづけていれば、生き残る道は必ずある。もし本当にどうにもならなくなったら、コミケの3日目に来ればいいさ。おいでよ。コミケは自由だよ。芸術も、愛も、自由も、エンターテイメントも、あの会見には何一つなかったけれど、コミケには何でもあるんだ。アイディアしだいで、何をしたっていいんだよ。それが真のエンターテイメントってもんじゃないかね。(2016/1/20)