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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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2011年俺コンランキング

※俺コンランキングとは2011年に見たり聞いたりしたものの中から勝手に自分内でランキングを付けたもの。独断と偏見に満ちている。しかも必ずしも 2011年に発表されたものではなかったりもする。

今更ですが、震災の年・2011年のねじ子俺コンランキングはこれだ!

1位 手をつなごう~マツケン×仮面ライダーサンバ~(仮面ライダーオーズ)
2位 Time judged all(仮面ライダーオーズ)
3位 プリーズ!ミニスカポストウーマン(スマイレージ)
4位 デモサヨナラ(ドロシーリトルハッピー)
5位 Dear Mr.Socrates(さくら学院 バトン部 Twinklestars)

不肖ねじ子、平常運転時はソウルフラワーユニオンとかボアダムスとかスピッツとかくるりとか岡村靖幸とかブランキージェットシティとか電気グルーブとか神聖かまってちゃんなど、和製男性ロック/ファンク/テクノばかり聞いているのに、心の余裕がなくなってくるとハロプロの楽曲以外はいっさい耳が受け付けなくなります。そしてねじ子は昨年、ハロプロ(と仮面ライダーオーズ)の曲しか聞きませんでした。つまり去年は非常につらい一年だった!多くの日本人にとって、そうだったように!

よって今年の俺コンランキングは、ハロプロしか書きません。つんく♂なしでは生きていけない。

2011年俺コンランキング・ハロプロ編。

ハロプロの曲はいい。疲れているときに、いい。「つんく♂の歌詞は説教臭い」「子供っぽい」という人もいるけれど、それは違う。説教でも子供騙しでもない。誰も傷つかず、誰もが前向きになれるリリックをつんく♂はずっと探し求め続けている。ねじ子はそう解釈している。

ハロプロのコンサートに行くと、医者として驚くこともあるくらい重度の障害を持った方によく会う。どうしようもない、逃げられない現実に押しつぶされそうになった時、人は競争や憎しみや悲しみや恐怖や生命の不安や暴力や葛藤や嫉妬の感情が生まれる単語を受け付けなくなる。そういうのは、すでに私の目の前に広がっているから。現実で十分、間に合っているから。ネガティブな感情を引き起こす物質が一切含まれていないものだけを耳に入れたくなるのだ。ハロプロの楽曲群は、ネガティブな要素を完璧なまでに排除し、かつ思春期の女子の気持ちを前向きに歌う。ラブ&ピース。ラブだけだと、恋愛弱者やAセクシャルな人間にはとても聴いていられない曲になってしまう。だけどピースならば大丈夫。誰でもハッピーになれる。

シャ乱Qやつんく♂ソロには葛藤や別れの曲も多いので、意図的に住み分けしてハロプロという強固な「ブランド」を作り上げているんだろう。ハロプロは興行と生歌とダンススキルを軸に、コアなファンから直接金を吸い上げる「宝塚状態」に入っているので、AKBと電通の物量作戦にあっても決して消えることはないんだなぁ……と実感したねじ子でした。

1位 プリーズ!ミニスカポストウーマン(スマイレージ)

不動のセンターでエースだった前田ゆうかりんの引退はショックでした。喪失感が大きかった。あれだけ歌とダンスの才能があり、圧倒的に可愛く、人気も絶大で、かつ、それに見合った事務所からの推しがあっても、ゆうかりんの心はそれについていかなかったのでしょう。こればっかりは気持ちと覚悟の問題ですから、どうしようもありません。

確かに思い返してみれば、ゆうかりんは「儚げ」な所が一番の魅力でした。源氏物語でたとえるなら、夕顔。夕顔の魅力です。儚げで頼りなさそうなのに、実はきちんと芯がある。でもそれを決して他人に押しつけたり、あからさまに表明はしない女性。他者の強烈な嫉妬や怨念にかかれば、簡単にこの世からいなくなってしまいそうな、透けて消えていってしまいそうな薄幸の美少女。それが彼女の最大にして、唯一無二の魅力でした。

そして本当に、ゆうかりんはファンの前から消えてしまいました。ある意味今回の引退によって、ゆうかりんの「夕顔」的儚げなイメージは、完璧な形で完結したのでしょう。夕顔が死んだ後も、光源氏はことあるごとに夕顔を思い返しその面影を追い求めるわけですが(夕顔に似ているという理由だけで、夕顔の娘・玉鬘にもご執心でした)ゆうかりんのファンもきっと、いつまでも美しいままのゆうかりんの幻影を永遠に追い求めることになるのでしょう。ああ、せつない。

ゆうかりん卒業を聞いて、正直「スマイレージはもう終わりだ…」と思いました。でも、ゆうかりんが抜けてもスマイレージの物語は続き、ゆうかりんの物語も続くのです。『プリーズ!ミニスカポストウーマン』のかにょんとゆうかりんによる「物語は続く…」を聞いて、ねじ子は年甲斐もなくポロポロと泣きました。物語は続くんだよね、そうだよね。これからも続ける!というつんく♂の強い意思表明を感じました。

2位 君の友達(Berryz工房)

 

2010年の曲です、すみません。私が見つけたのが2011年だからいいんです。

りしゃこの歌声はドスが効いてきた。外見といい歌声といい、ディーバの風格だ。ディーバと言っても、ブリトニーやアブリルやアデルのような華奢でスタイリッシュな十代のコーカソイドではなく、ジャニス・ジョップリンやアレサ・フランクリンのようなアレね。幼少時のリアル天使のイメージとはかけ離れているから、古参のファンは戸惑っていることだろう。でも私は、今の方がずっと好きだ。見ていて楽しい。りしゃこ本人も当時は「やらされてる感」丸だしで、画面から戸惑いが伝わってきたけれど、最近は「やりたいようにやっているわ、私!」オーラをビンビンに感じて頼もしい。私は好きだ、売上は落ちるだろうけど。今のりしゃこにこそ!自分の言葉で!アイドル業やファンについて思うことを語ってほしい。どうせ事務所の言うことを聞いていてもジリ貧なんだから、検閲なんて気にせずドンドンやってくれ。ももちのように。

あ、桃子はデビューした10歳当時から今までずっと、100点。10年間つねに100点満点。最近のテレビ露出の多さに、毎日ちょっと本気で泣いてる。桃子が認められてうれしい。桃子がテレビに出始めた頃は、心の中で「ああ、桃子、外に出て行く決心をしたんだね。いいよ、応援するよ。頑張れ。持てる力の全てを出してこい。そしてもしテレビから捨てられたら、私たちはいつでも、いつもの場所で(注釈:中野サンプラザのこと)君を待ってるからね。」と、戦場に向かう我が子を見守る母のような、千々に乱れた心持ちで見ていたのだけれど、最近はあまりの実力に「みんな見て!この子は私達が10年間、大事に大事に、守り育ててきたお姫様なんだよ!面白いでしょう?可愛くって頭もいいでしょう?実はね、歌って踊るともっともっとすごいんだよ!」って叫びたいって思っている。我ながらキモヲタ丸出し。ああ、ももちなしでは生きていけない。「このタイトルでブログ一本書こう!」と思っていたら、2007年の段階で柳原可奈子さんがブログタイトルに使っていました。ヤナカンより5年も感性が遅れている…。ぐぅ。

ベリキューも10周年、そろそろアイドルとして節目を迎えている。ライブでの生歌・ダンスは世界で類を見ないレベルまで(無駄に)上がっているから、私はずっと見ていたい。たとえメンバーの誰かが恋愛しても、結婚しても、子供が出来ても、ずっとこのメンバーのままで見ていたいと思っている。

3位 ブスにならない哲学(モベキマス)

タイトルを聞いたときの感想は「なにそれ?」。が、実はブラックファンクの良曲だということを、この動画で知った。アイドル本人達のMVよりも、この外国の女の子一人のダンスカバー(日本語で言えば「踊ってみた」)の方が破壊力を感じる。

この曲は歌詞がいい。サビの「後悔を言うたびにブスになるから決して言わない 哲学」の部分を、ねじ子はことあるごとに――心の中でいろんなことを後悔するたびに――口ずさんでいる。「噂ばかり気にしてちゃ心が疲れるよ 時に真実の方が負けたりするけど」「してもらっちゃいないから してあげないなんて それじゃ愛なんて絶対生まれないんじゃない」「今日もなぜだろう 情報共有してるけど 誰かが褒めてくれるの待ってるだけだよ」どれもこれもTwitterとSNSと個人責任と、失敗しても己を責めるしかない時代に女子として生まれた人間の気分そのものだ。

4位 ダレニモイワナイデ(真野ちゃん)

正式には去年リリースの一曲。CD音源では特に「キラキラ感」を感じなかった自分をボロカスに貶したい。ライブ動画

を見て、この曲の評価が10割増しになった。仮面ライダーフォーゼドライバー(買っちまったらしい…)を腰に巻きながら、仮面ライダーなでしこになりきって振りコピしてます。端から見たら完全に頭のおかしいおばちゃんですが、幸せです。

5位 この地球の平和を本気で願っているんだよ!(モーニング娘。)

3位に続いて、ヒラショー編曲ディスコサウンド。ねじ子はハロのブラックディスコ路線が大好きだ。『LOVEマシーン』のような、往年のダンス☆マン編曲サウンドを思いおこす。MVのキラキラ衣装とキラキラCG演出も、Earth, Wind & Fireのようなテンションの高さで、いい。この曲を最初に「地平本願」と略した人はいいセンスだと思う。ねじ子もこの地球の平和を本気で願ってる。

6位 彼と一緒にお店がしたい(モーニング娘。)
※youtubeは上の続き

道重さゆみ・オン・ステージの典型的アイドルソング。MVも出色の仕上がり。さゆみん歌唱力上がったね!「涙が止まらない午後」を聴いて、あまりの音程にこっちの涙が止まらなくなった時代を思うと、おばちゃん嬉しいよ!

7位 堕天使エリー(真野ちゃん)

可愛い女の子にいやらしいことを言わせようとして、「いやーねぇ、もうっ!」と返されるのだけが喜びの曲。いやもう、曲と呼んでいいのかもわからない。寸劇だよな。

くだらねー!いや、おっさんどもに「女の子はね、セクハラなんて上手にあしらえばそれでいいんだよ」とか言われて、当時リアル若い女子だったねじ子は「なに言ってんだクソ親父いっぺん死んで来いよそれか自分が抵抗できないほどのむくつけき上司にがっつりパワハラ&セクハラされて抵抗できない被害者の気持ちを存分に味わってから言え」などと心の中で毒づいていたが。いやはや、こういうことだったのか!真野ちゃんが困惑している姿は、確かに萌える。ご飯3杯はいける。真野ちゃんの演技の上手さ、すべてをわかった上でのオッサン転がしの上手さ、狡猾な可愛らしさ(最上級の誉め言葉)が見事に表現された一曲だと思う。

8位 好きだな君が(モーニング娘。というかさゆみずき)

春のコンサートのLIVE Verが最高。萌えすぎて倒れそう。

http://www.youtube.com/watch?v=6h6kj58agIU

今アイドル業界で最も買うべき株はモーニング娘。株だ!!あぁ、娘。の9期10期が好きすぎるううう!!!どの子も、歌とダンスと表現力が一日ごとに成長している。今年の春のツアーの初日と千秋楽を見比べるだけでも、抜群によくなっているんだから凄い。特に鞘師ちゃん。この子の成長の速さは、ハロプロ15年の歴史を見渡してみても、もっとも傾斜が急な成長っぷりだと思う。これほど微分係数が大きい急成長を私は見たことがない。ああ鞘師ちゃん、娘。に入ってくれてありがとう。くれぐれも怪我なく、体を大切に活動してください。

9位 もしも…(モベキマス)
http://www.youtube.com/watch?v=vLuE4kjPsY4&feature=related

つんく♂が「いま俺が一番萌えてるメンバーを集めたぜ!どや!」って言ってるのが聞こえてくるような曲。素晴らしい人選だった。(2012.7.4)