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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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明るい未来の展望、ねぇ

ハロプロに何か新しい「お知らせ」があるたびに、つんく♂さんは「つんく♂バージョン」の仮歌を流してステージに光臨していた。メンバーは悲鳴を上げて地面に崩れ落ち、ファンは色めきだって全力でコールを入れる。そうやって、つんく♂さんはさまざまな「お知らせ」を我々に伝えてきた。良いことも、悪いことも。たとえそれが事務所の上層部が勝手に決めた内容で、彼はそれをただ伝えるだけのスケープゴート、いや違ったスポークスマンに過ぎなかったとしても、我々はその登場を楽しみ、彼の伝える「お知らせ」に一喜一憂し、しぶしぶながらも納得してきた。「つんく♂がそう決めたのなら、しかたがない」と。

でも、それをやる人が今はいない。「責任者は俺だ」という顔で出てきてくれる代表者がいない。もちろん、裏にはそれぞれの部署にそれぞれの責任者がいるのだろう。でも、表向きは誰も見えてこない。説得力のあるスポークスマンが欲しい。実際の責任者じゃなくてもいいから、表に出てくる人が一人欲しい。今の状態では、誰によってこの巨大なプロジェクトが操られているのかわからないよ。作り手の顔が見えにくいのだ。工業製品を売る一般企業ならそれでいいのだろうけれど、たくさんの少女たちの将来性を売り込む世界では、ある程度目に見える「指導者」がいないとその魅力が伝わりにくくなってしまう。

スポークスマンには誰もがなれるわけではない。スポークスマンの伝える内容が「良い」お知らせであれば、その賞賛を一身に浴びることができるが、「悪い」お知らせであった場合、ファンに容赦なく叩かれることになる。あくまで上層部による会議で決めたことであって、スポークスマン一人が勝手に決めたことではないのに、代表してボコボコにされなければならない。「生け贄」になる覚悟がいる。普通の人間にはとても耐えられまい。

「業績」も必要だ。実績がないぽっと出の人間が何を言っても、「どうしておまえがそんな重要なことを決めるんだ!?」と思われてしまうだろう。ファンだけでなく、メンバーも困惑するだろう。「この人が決めたのならしかたがない」と全員に思わせるだけの説得力と求心力が必要なのだ。

そんなわけで、今こそ道重さゆみが復帰するべき時が来た!とねじ子は確信している。彼女ほど「今の」ハロプロファンとハロプロメンバーに対して説得力を持つ人間は他にいない。アイドルとしての復帰ではなく、プロデューサーあるいはスポークスマンとしての復帰である。もちろん、コンサート中に突如流れる登場曲は「仮歌・道重さゆみヴァージョン」だ。このためだけに仮歌を収録することなど、この事務所にとっては造作もないことだろう。もうとんでもなく下手糞な仮歌を引っさげて、ステージに現れてほしい。一小節でも音痴だとわかるような壊滅状態であることが望まれる。「さゆってば、相変わらず音痴だなー!」と言いながらも、満面の笑みで雄叫びをあげるハロヲタの皆さん。満を持して登場するさゆ。泣き崩れ、動揺するメンバー。ニヤニヤしながら発表をじっくりと読み上げていくさゆ。考えるだけで胸が熱くなるな。あ、仮歌収録風景はぜひMUSIC+で公開してほしい。

嗣永桃子のカントリー・ガールズのプレイング・マネージャー業が大成功を納めているのだから、さゆのハロプロマネージャー業(orスポークスマン業)もきっとうまくいくだろう。どうだろう、さゆ?さゆもさぁ、そろそろ趣味のネットパトロールに飽きてきた頃じゃないの?ねぇねぇ。彼氏がいてもいいし、結婚しててもいいし、子供がいてもいいよ。実働は年に3回くらい「大切なお知らせ☆」をお伝えしに来るだけでもかまわないからさー。つんく♂とハロプロのために一肌脱いでくれないかなー。頼むよ。あなたしかいないんだよ。適任だと思うよ!(2015/5/27モーニング娘。武道館参戦直前)