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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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ちぃちゃんセンターのモーニング娘。新曲発売日だからちいちゃんのことを書くわ

私が初めてカントリー・ガールズをしっかりと見たのは、4thシングル『どーだっていいの』池袋サンシャインシティ噴水広場リリースイベントだった。その直前に稲場愛香ちゃんが突然脱退したせいもあり、お客さんの数は少なかった。だから私はステージの近くで、とてもまじまじと彼女たちを見ることができた。そして思った。「森戸知沙希は強い」と。

森戸知沙希ちゃんは若干17歳にして村上春樹の提唱する「ムラカミクスの三本の矢」を見事に具現化している存在である。池袋の地で、私はそう確信した。

ムラカミクスの三本の矢とは、村上春樹の言う

 「ムラカミクスはかなり強力ですよ。
   一の矢)知らん振り
   二の矢)照れ隠し
   三の矢)開き直り
  みんなうちの猫たちから学びました。だいたいこれで人生をしのいでいます。にゃー。」

のことである。(質問集『村上さんのところ』より)

森戸ちゃんはまさにこの三本の矢で、人生の荒波を乗り超えてきている。天然なのか、はたまた意図しているのかはわからないけれど、彼女は若干17歳にして「知らん振り・照れ隠し・開き直り」の3つを見事に使いこなしているのだ。ちなみにねじ子がこの三本の矢の重要性を認識することができたのは、30代になってからだった。彼女は17歳にして、ムラカミクス三本の矢をたくみに使いこなしているのだ。特に、二の矢である「照れ隠し」がすごい。段違いに威力が強い。さらに一の矢・知らん振りも三の矢・開き直りも上手い。あれだけ非情な別れが繰り返されたカントリー・ガールズの中においても、なぜかちぃちゃんだけはそこまで荒波に巻き込まれず、かといって情が薄いわけでもなく、彼女の周りだけ奇妙な静寂性を保つことに成功していた。これは彼女の能力である。大したもんだ。ただものではない。

ちぃちゃんとちぃちゃんのお姉さんは群馬のローカルアイドルを一緒にやっていた。彼女らの間にはおそらく山岸涼子が描く姉妹のような内心の葛藤があり、それゆえに彼女は強靭なメンタルを生まれながらに身につけていったのだろう、とねじ子は勝手に予想している。(もちろん妄想です。本人たちはまったくそんなこと言ってない。姉妹仲も良さそう。)ちぃちゃんなら嫉妬と羨望の渦巻くモーニング娘。に一人で放りこまれても、三本の矢を駆使してきっとうまくやっていけるだろう。期待している。(2017/10/4)