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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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2016年 ねじ子のオレコンランキング

1位 ロケット団(ムサシ・コジロウ・ニャース) / ロケット団 団歌

アニメ「ポケットモンスターサン・ムーン」一夜限りのエンディング曲。ロケット団3人の声優さんたちが作詞を手がけ、歌も歌っている。

「それいけ!アンパンマン」におけるばいきんまん、「ヤッターマン」シリーズのドロンボー一味、ポケモンのロケット団と、日本における「よくできた」冒険活劇アニメシリーズには、憎めない悪役レギュラー陣が不可欠である。彼らが毎回小さな悪事を計画し、なんらかのトラブルをおこして(これが物語を動かすきっかけを作る)主人公たちに懲らしめられ、去っていく。でも、完全に排除はされない。主人公から少し離れた場所で、彼らはいつもしたたかに生きている。これはゆるやかな共生であり、日本における正しい勧善懲悪の描写であると私は思っている。敵を完全に根絶やしになるまで根絶する冒険活劇は(アメリカでは受けるだろうが)狭いムラ社会の日本には似合わない。気の食わない人間や目的の違う人間だっているけど、決して完全な排除を狙わず、コミュニティの中で適度な距離をたもち共存するのが、災害が多く国土が狭い日本における現実だと思う。

共存するために、彼らは決して「絶対に許すことができないほど」悪いことはしない。実は6年前のポケモンアニメ「ベストウイッシュ」において、ロケット団ははじめて完全にシリアスな悪役として描かれた。毎回決まった名乗りを上げて登場する例のパターンも放棄した。結果として「ベストウイッシュ」は面白みに欠けた作品となった。まぁベストウイッシュがつまらなかったのは、ロケット団だけのせいではないけれど。我々はロケット団の底抜けの明るさ、何度主人公に負けても決してめげない姿、仲のよさ、馬鹿馬鹿しい決め台詞の「お約束」に、毎週心を癒されていたのだ、実は。失ってはじめて気付く安穏ってやつだ。時代劇が減り、水戸黄門が放送されなくなり、子どもたちにわかりやすい勧善懲悪が失われつつある今、ばいきんまんとロケット団には末長く頑張って欲しい。

2位 くるり / 琥珀色の街、上海蟹の朝

くるりにしては珍しいラップソング。これまたくるりにしては珍しく前向きでありがちなリリックが続いたあと、突然のサビでキラーフレーズが降ってくる。「上海蟹食べたい あなたと食べたいよ 上手に割れたら 心離れない 1分でも離れないよ 上手に食べなよ こぼしても いいからさ」宇宙規模の孤独を感じている少女の胸に飛び込んでいくイメージ映像の中、突然の食べ物の話。しかも食べ方まで言及。あぁ、つんく♂だ。これはつんく♂の世界観だよ。宇宙のどこにも見当たらないような約束のキスを原宿でするんでしょ。宇宙のどこにもないものが、原宿という極地にあるんでしょ。マクロ的視点では何も存在しない、のっぺりとした空間に放り出された個人が、ミクロ的視点によって真理や喜びにたどり着くってことでしょ。

ちなみに2番では「上海蟹食べたい 一杯ずつ食べたいよ 上手に食べても 心ほろ苦い あなたと食べたいよ 上手に割れたらいいな 長い夜を越えて行くよ」とある。タイトルも「上海蟹の朝」だ。これは「モーニングコーヒー飲もうよ 二人で」と同じである(断言)。あ、今なら「モーニングみそ汁飲もうよ まーどぅーで」か。朝から上海蟹を食べるはずもないので、ありていに言えば「上海蟹食べたい」ってのはセックスしたいってことで、サビをわかりやすく日本語に直訳すると「君とセックスしたい 上手にセックスできたら 心離れない 上手に食べなよ こぼしてもいいからさ」ってことなんだろう。おい、何をこぼしてもいいんだ。女の子に何を飲まそうとしているんだよ。「上手に割れたらいいな」って、何を割ろうとしているんだ。破瓜か。直接言ったら台無しなことを、食べ物で暗喩。サウンドは最高にお洒落、まったく手抜きなし。アニメ映像も最高にお洒落でまったく手抜きなし。最高だね、私そういうの大好きよ。

3位 キング・クリームソーダ / ♪ばんざい!愛全開!

つんく♂作詞、はたけ作曲。歴史的名曲「シングルベッド」の体制である。つんく♂とはたけがコンビを組むのは実に5年ぶりとのこと。つんく♂さん病気してたもんね。ゲーム『妖怪ウォッチ3 スキヤキ』のオープニング曲である。「あれ?『妖怪ウォッチ3』って、『ポケモンGO』と発売日がかぶって話題をつぶされてなかった?」と思っていたら、どうやら7月に出たゲーム(妖怪ウォッチ3 スシ/テンプラ)のリメイク版がすでに12月に出ているらしい。いくらなんでもサイクル早すぎ。半年も待たずにリメイクしやがって。子どものお小遣いをいったい何だと思っているんだ。レベルファイブはいつもそうやって、早すぎるリメイクで既存のファンをがっかりさせながら、自らの商品価値をすり減らしていく。最後は作品ごとスパッと捨てて、次の企画へ行く。レイトン教授もイナズマイレブンもそうだった。

歌は「妖怪ウォッチ」でおなじみキング・クリームソーダ。もちろん最高に歌がうまい。もちろん最高に曲もいい。

つんく♂さんはハロプロ以外にも曲を提供するようになった。そしてそのどれもが素晴らしかった。「いないいないばぁ!」の『まる、まるっ』も『ずーっといっしょ』も「クラシカロイド」の『やってらんない気分』も『嗚呼 えんどれすどりいむ ~乙女の祈りより~』も最高だった、最高だったからさ、もう帰ってきてくれよ!頼むよ!我々ハロヲタはつんく♂さんに捨てられてしまったのだろうか。胸が苦しい。ハロプロ以外につんく♂の曲が提供されていると、しかもそれがいい曲だと、胸が苦しいよ。これが嫉妬という感情か!!うう!どうすればいいんだ!

「クラシカロイド」14話のエンディングを元太陽とシスコムーンの小湊ちゃんが歌っていたことにも痺れた。ストーリーも月と太陽の話だったし。ねじ子が太シスで一番好きな曲は何を隠そう『月と太陽』です。2017年にもなって太シスネタをNHKで見られるとは!長生きはするもんだネ!つんく♂不足ですっかり病んだ私の目にはもう、バッハがつんく♂に見える。ということはバッハの隣にいる顎にほくろのある女性は道重さゆみだな!さゆに決まってる!うむ!藤田監督ありがとう、最初の数話を見たとき「歌苗が男の子だったら今の1024倍は腐女子が釣れていたであろうに」という見当ちがいな感想しか持たなかった自分を今からデロリアンに乗ってぶん殴りに行くよ。

4位 モーニング娘。’16 / 泡沫サタデーナイト!

ねじ子の今年のハロプロ楽曲大賞曲にして、最愛の鈴木香音ちゃんセンター曲かつ卒業曲。

ハロヲタとしても有名な「赤い公園」の津野米咲さんの作詞作曲。『LOVEマシーン』を代表曲とする黄金期のモーニング娘。が大好きだった女の子が、大人になり、音楽家になり、本家モーニング娘。に「あの頃のモーニング娘。」を彷彿とさせる曲を提供する。素晴らしい物語だと思う。ヤケクソに近い明るさ、真似しやすいダンス、安っぽくキラキラした衣装、20代OLをターゲットにした歌詞、ディスコファンクサウンドと、確かにすべてが黄金期のモーニング娘。っぽい。香音ちゃんの前代未聞の個性が弾ける感覚も、黄金期のモーニング娘。っぽい。素晴らしい。「『LOVEマシーン』みたいな曲を作ってくださいよー」という何千回も繰り返されたであろう糞オファー(そのたびにきっとつんく♂は苦笑いして聞き流してきたのであろう)に対する百点満点の回答だと思う。優等生の女の子が完璧な模範解答を持ってきたのを見守っているような気持ちだ。確かにみんなモーニング娘。にはこういう曲を求めているんだよね。

この曲の発売が香音ちゃん卒業のたった20日前で、完全な形での披露がほんの数回しかなかったことが本当に惜しまれる。なんで卒業3週間前にこれが完成するかな。どうしてもっと早く、この感じができなかったのだろう。彼女はずっと、モーニング娘。でいちばん有名なメンバーだったのに。さらに言えば、鞘師がいる間にこれができていれば、鞘師の運命も香音の運命も少し違ったものになっていたはずだ。今のままでは、この曲の素晴らしさはYoutubeの中に閉じ込められてしまう。もっと地上波でみんなに見せたかった。


卒業ライブの『泡沫』。22:09から。

さて、鞘師が遁走し香音が勇退して看板娘がいなくなったモーニング娘。’16。を、私は地上波のテレビで初めて見た。香音ちゃんのいなくなった『泡沫』を歌う彼女たちをボンヤリと眺めながら、私は確かに「あぁこれからは佐藤優樹の時代がやってくるのだな」と感じた。

つんく♂が過去に言ったように、佐藤優樹のことは22歳まで待ってあげなくちゃいけないんだと思う。彼女をセンターに据えるには、まだ早い。ずいぶん早い。しばらくの時間が必要だ。でももう他に人材がいないんだよ。メキノメリアちゃんはセンターを張れるだけの十分な華があるけれども、まだ早い。まだまだ歌を歌っているというより、音程をなぞってる段階に見えるし。あと2年は必要である。小田ちゃんとフクちゃんは高い歌唱力があるけれども、もう十分に歌割をもらっている。

そもそも本来ならば今は鞘師が絶対的エースとしてモーニング娘。に君臨しているはずの時間だった。他のメンバーは鞘師という大きな防風林の影ですくすくと成長し、数年後に果実が実るはずの若木であった。5年後あたりにピークが来て、大きな収穫が見込めるであろう人材が採用され続けてきたのだ。歌唱力的にもパフォーマンス的にも、まだまだ即戦力ではない。当たり前だ。

でも、鞘師の心がもたなかった。防波堤は崩れ、たくさんの苗木たちが荒波にさらされ続けている。鞘師の心が折れたことは決して責めるべきではない。そもそも、その鞘師も必要以上に早くエースとして荒波にさらされてしまった子どもなのだから。当時も、まだ幼い鞘師をいち早く抜擢するしかなかった。その抜擢は同期との間に圧倒的な格差を生んだ。推された鞘師は孤立し、推されなかったメンバーたちは疲弊して心を病んだ。上京して間もない思春期の少女たちには無理もない話だろう。結果として深まった鞘師の孤独は彼女の(そしておそらく香音も)早期離脱の一因になったと思う。

さらにその根元を探れば、そもそもの原因は7・8期が一人も残っていないことにある。本当に今更だけど、ホントは7・8期がリーダー&エースを張っているはずの時間なんだよ!今は!でも、みんなとっくにいなくなっちゃった。もちろん、7・8期のメンバーが悪いわけではない。ただ人数が少なすぎた、そしてみんないなくなるのが早すぎた。8年前の人事ミスがいまだに響いているのである。

というわけで、今モーニング娘。は正念場だ。新しく発表される13期メンバーにねじ子は大いに期待して武道館に足を運んだわけだが、そこで見せられたのは新しいモーニング娘。の物語の始まりではなく、研修生の物語の最終回であった。最終回は大団円で感動的だったけれども、私が見たいのはこれじゃない。私が見たいのはモーニング娘。の新しい物語が始まる瞬間なんだよ。『MY VISION』ってツアータイトルのわりにはモーニング娘。の新しいビジョンが具体的に語られることはなかったし。あ、事務所様のビジョンが「これからは研修生制度を中心にやっていくつもりだから!へそんとこよろしく!」ってことだけはビンビンに伝わってきたけど。

そうそう、つんく♂さん更迭後、すべての決定権を握っている大人たちが影に隠れてメンバーを守らず、ファンに叩かれそうな案件をすべて「メンバーが決めている」という体にしているけど、これは本当にやめてほしい。そんなはずないでしょ。億の金が動く決定を彼女たちがしてるはずないでしょ、未成年女子ばかりなんだから。重要なことを会議で決めてる大人たち、あなたたちが出て来なさいよ。人のせいにするなよ。前に出てメンバーを守ってよ。出て来られないのなら、メンバーのせいにする資格はない。せめて彼女たちの意思であるかのように装うのだけはやめてあげてほしい。上司のせいで自分がやっていないことの責任を負うことになってしまった労働者は、心を病む確率が格段に高くなるから。実際、心と体の健康を持ち崩すメンバーが次々続々と増えているではないか。私は夢を追う女の子を見たいのであって、夢破れて心身ともに病んでいく女の子なんか絶対に!見たくないんだよ。高木紗友希ちゃんの喉が潰れなくてよかったよ、金澤朋子ちゃんが辞めないでよかったよ。あれだって、「220公演・地獄のロードを自分たちで決めました」とかいうブラック企業宣言、あ、違った LIVE MISSION 220宣言がなければ、病名を公表せずになんとかやり過ごせたかもしれないんだ。明らかにやり過ぎのスケジュール組みやがって。しかもそれをメンバーが決めた体にしやがって。キー!労働者の健康を守らない企業を私は許さないんだからね!

「メンバーが決めている」という体をこれからも続けるなら、精神を持ち崩して離脱していくメンバーがどんどん増えていくのを止めるのは難しいように思う。精神不安定は業務上の事故に直結するから、怪我や病気による離職を防ぐのも難しいのではないか。実際つんく♂さんがいなくなってから、志半ばで精神または身体の健康を持ち崩してしまう例が増えているように思う。これはどんなにいい音楽を作っても、防ぎようがない。メンバーを精神的に支え、彼女たちの盾になり、会社とメンバーの意見が別れたときはメンバーの側についてあげる大人がいなくてはならない。そして、これはとてもむずかしい。だってスタッフの皆さんは全員会社員だから、上司に逆らうのはつらいよね。でも、自らが盾になってメンバーを守ることができないなら、つんく♂の代わりは永遠にできない。音楽だけ真似したってだめだ。

村上春樹さんはエッセイで「僕にとっての良い編集者というのは、とてもはっきりしています。会社の側よりは、作家の側についてものを考えてくれる編集者です。そういう人はそんなにたくさんはいませんが。」と言っていた。そう、そんなにたくさんはいない。きっと同じことだ。会社の側よりは、メンバーの側についてものを考えてくれる人。つんく♂早く帰ってきてくれ。

5位 スピッツ / 醒めない

冷めないではなく、醒めない。夢から醒めないって意味かな。迷いがなくならないってことでもあるのかな。

オールド・ファンとしては、超初期のブルーハーツ路線を再現する描写が山ほど盛り込まれているところが最高。スピッツはいつだってそうだ。若かった頃のトンガリを「なかったこと」にする連中を、決して許さない。黒歴史にしない、いやそれどころか積極的にほじくり出してわざわざこちらに見せにくる。知ってます。最近はyoutubeで過去のライブ映像が見られるから、インディーズ時代『惑星S.E.Xのテーマ』という怪曲で最後に「セーックス!」って大声で叫んでたことくらい、みんな知ってます。それでも、わざわざ原点を定期的に晒してくるおっさんたち。いいなぁ。あんまり持ち上げられすぎないための、彼らなりの作戦なのかな。神格化されすぎると、芸術家としては創作しづらくなるものね。

さらに彼らはスキあらば(たぶん予算やスケジュールに余裕ができると)音楽的にも、過去の自分たちのパンク・ロック路線に回帰しようとする。どんなことがあっても生まれた川に帰ろうとするシャケのようだ。バラードがあれだけ評価され、時代を超えて若者に支持され続け(youtubeのコメント欄が若さにあふれていて驚く)、教科書にいくつもの曲が掲載されてもなお、忘れぬ邪心。「君のおっぱいは世界一ぃぃぃぃいいいいいいい」って高らかに歌っていた頃となんら変わっていない。その誠実さはいつも私の心に春の風をふかせてくれる。マサムネの生き方は、いつだって私の創作活動のよき指標になっています。つんく♂さんとマサムネさんには末長く、伸びやかに、こころゆくまで創作活動を続けていただきたいものです。

6位 岡崎体育 / ポーズ

ポケモンアニメ「サンムーン」のエンディング曲。作詞・作曲・歌・ダンスは今をときめく岡崎体育さん。中肉中背の岡崎体育さんが完全顔出しでキレの悪いポーズを決めているMVも味わい深い。

「おーす! みらいの チャンピオン!」でリリックが始まった時点でもう満点。ここだけで100万点を叩き出している。これはポケモンゲームシリーズにおいて、ジム(ステージクリアに必要な一番の難所)の入口にいるおじさんが、挑戦に来たすべての子どもたちに向かって最初に言う言葉なのだ。彼は、弱い子も強い子も、明らかに負けそうな子にも余裕で勝てそうな子にも、すべての子どもにこの台詞を言う。「NPCが同じ台詞を繰り返しているだけじゃん……」なんて夢のないことを言ってはいけない。違うんだ、そうじゃないんだ。すべての子どもを「未来のチャンピオン」として扱うのが、ポケモンの重要な世界観なんだよ。子どもはみんな未来のチャンピオンである。今は弱くても、挑戦し続けていればいつか必ずチャンピオンになれる。相棒のポケモンと一緒に、なんど負けても、前に進めばいい。そうしたらいつか必ず君はチャンピオンになれる。すべての子どもたちと、すべてのポケモンを受け入れ、未来のチャンピオンとして扱うこの台詞は、いつだって前向きで、子どもたちとポケモンへの愛に溢れたゲームの世界観をよく表現した一言なのである。

ねじ子はポケモンゲームの中でこのセリフが一番好きだ。だから、このセリフが冒頭にある時点でもう200万点なのだ。その後に続くポケモンのタイプをすべて並べる歌詞も、相棒ポケモンへの愛を叫ぶサビも、歴代ポケモンアニメソングの伝統に的確にのっとっていて、よくできている。

7位 村川梨衣 / Sweet Sensation

アニメソングの印象は、アニメ作品の出来に大いに左右される。というわけでねじ子が今年最も面白いと思ったアニメは『12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~』であった。アニメ『怪盗ジョーカー』を見たあとにつけっぱなしだったテレビからこの番組のタイトルコールが聞こえて来たときは「ええっ?なにこのタイトルは!?子どもと一緒に見て大丈夫なやつ!?これ!!」と血の気が引いたものだが、いやはやまったく問題なかった。むしろ私が12歳のときにこの作品を見たかった。原作は少女漫画誌『ちゃお』で連載中で、12歳という「児童期と思春期のはざま」に立つ女の子たちが直面する様々な問題に真面目に向き合い、具体的な対処法を示している漫画である。例えば、ブラジャーはいつ頃から付ければいいか、ブラジャーを買うなら誰と行けばいいか、生理用ナプキンの種類、月経時の立ち振る舞い、からかってくる男子の上手なあしらい方など、どれも現実的な悩みばかりだ。明確な回答をしてくれる大人が少ない領域だとも思う。『ちゃお』を読んでいる女の子にリアルに役立つ情報ばかりだろう。

そして何と言ってもこの漫画のキモは主人公の彼氏・高尾くんである。高尾くんは若干12歳にして完璧な会話術とコミニケーション・スキルをもつ超人である。トラブルに対する切り返し能力の高さがもう天才的。ねじ子はシーズン1の途中からもうカレのこと「高尾センパイ」って呼んでる。カレ、たぶん42歳くらいじゃないかな。トラブル対処と交渉技術が大手代理店の一流エージェントなみ。

8位 ゲーム「ポケモンGO」より / 戦闘!ジムリーダー

今年の流行語大賞は「ポケモンGO」だったと思う。世界的にそうだったはずだ。今年の流行語大賞を「ポケモンGO」にできなかった時点で、流行語大賞は流行にまったくついていけていない時代遅れの産物であることを自ら晒したとさえ感じる。そして何を言われようと、私はまだまだポケモンGOをやり続けている。カントー国内コンプしてからやることなくなったけど、それでも、これからもやり続ける。誰もいなくなった近所のジムを私の黄色いピカチュウで占領しつづける夢が叶うまで、私はこの世界に居残りつづける所存だ。「だからみんな、いなくなっていいよ!オワコン呼ばわり大歓迎!」と思っているのだが、みんな一向にいなくならねーな。相変わらず東京のジムは15分で落ちる。

ポケモンGOのおかげで今年の夏は楽しかった。近所の歴史建造物や美術品に詳しくなった。普段は通らない細い路地を歩いた。これまで素通りしていた小さいお地蔵さんや祠に気付いた。様々なモニュメントの由来を知った。近所の名もない公園を見付けることができた。東京じゅうの公園に詳しくなった。一生行かなかったであろう土地にたくさん足を運んだ。お台場の地理と上野の飲食店に詳しくなった。渋谷に渋谷川という暗渠が流れていることを知った。近所のコンビニに行くのすらだるい、と思っていた私が、卵を孵化するために毎朝お散歩するようになった。ポケストップを回すために炎天下、隣の駅まで歩いた。おかげで2kg痩せた。

ゲーマーの息子と一緒にたくさんの公園を歩いた。ポケモンの巣になっている公園へ遠征し、目標のポケモンを狩り終わったあとは一緒にサッカーや水泳をして遊んだ。見ず知らずの人と協力して出現情報を教えあい、全力で走った。大声で「ピカチュウいたあ!」「ミニリュウ!」「カイリューだ!」と叫ぶ息子の声を聞いて静かに集まってくる周囲の大人たち(スマホ持ち)を見るのも楽しかった。17年ぶりに石巻にも行った。ポケモンGOは、ゲーマーの息子とインドア派の母親を東北まで連れ出してくれた。しかも日帰りで。その2日後に石巻に津波が来た。津波を知らない世代である息子に、生きた知識をつけてくれた。あのゲームには確かに、引きこもりや、日光が足りないことによって悪化するタイプのうつ(冬季うつ病など)の患者さんが外へ出るだけの素晴らしい「きっかけ」を作ったと思う。家から出る「勇気」をくれた、と言ってもいい。これは医者には決して与えられないパワーだ。位置ゲームって面白いね、ingress民の皆さんが言っていたことがようやくわかったよ。

そして、ポケモンを知らない世代にポケモンの世界を伝える最もいいソフトになった。クリーチャーとしてのポケモンの秀逸なデザイン、ネーミングセンスの良さ、単純なひらがなで覚えやすい技名、じゃんけん形式になっている「タイプ」相性という概念、151匹というコンプリートにちょうどいい数。これらすべては初代ポケモンで完成し、20年保っている秀逸なゲームデザインである。でも当時すでに大人だった熟年世代に、その完成度が認識されることはなかった。今回、万歩計がわりにこのアプリが熟年世代にも紹介されたことによって、彼らがポケモンというゲームシステムに初めて触れた。熟年世代にポケモンGOのアクティブユーザーがいまだに多いのは、彼らにとって「初めて知ることがとても多かった」つまり知的好奇心を刺激されたことも一因だと思う。(株)ポケモンは、ゲーム製作社のナイアンテックに対して「とにかく間口を広げる」「カジュアル、シンプル、簡単に」「課金をヘルシーにする」というオーダーを出していたと聞く。結果としてその戦略は大当たりだったと思う。

ねじ子が一番好きなのはジムバトル中のBGMである。ポケモンジムは多くの場合、歴史的建造物やモニュメントに設定されている。ほとんど屋外だ。寒かったり暑かったり日差しがきつかったり長時間立ったまま佇んでいると周囲に迷惑だったりする。よって、音楽を聴きながら悠長にバトルするのはむずかしい。ほとんどの人が無音で戦っているだろう。非常にもったいない。実はとても熱くてやる気の出る、バトル向きの曲である。余裕のある方は是非イヤホンをして音量をオンにした状態でジムバトルに挑んでみてほしい。スマホを叩くかじかんだ指先まで熱くなること、うけあいだ。

ちなみに遠くにあるジムをタップして中を様子見する時の音楽がこれ。こちらも好き。鍛え上げたポケモンを連れて、これから強い敵に会いにいくときの高鳴る気持ちにぴったりである。峠の山城を眺める足軽になった気分だ。うおー!城攻めじゃー!であえであえー!ちなみにこの動画では音源がループ構造に編集されているが、実際のゲーム上ではループ構造になっていない。突然ブチッと切れて、また最初から音楽が始まる。雑っ。雑すぎる。この適当さ、ザッツ・アメリカン・ゲーム・クオリティ。まぁでも、それでいいのだ。「完成してから出せ!」と言ってたら永遠に出ないだろうし。特にこのゲームの場合、日本の会社制作だったらあっという間に各種団体から苦情と横槍が入ってリリース自体頓挫していただろう。ポケモンは日本のコンテンツだけれど、Pokemon GOは「とりあえずやってみてから考えよう」というアメリカン・スピリッツなしでは作れなかったゲームだと思う。

9位 ゲーム「ポケットモンスター サン・ムーン」より / 戦闘!四天王

ポケモンゲームの戦闘曲は作業用BGMに最高である。①燃える曲調でやる気が上がる、②繰り返し構造なので再生ボタンを何度も押さなくてすむ、③歌詞がないから気が散らない、と三拍子揃っている。今年のポケモンゲーム新作サン・ムーンの中で最も好きな曲がこれ。初代からポケモン音楽を手がけている増田順一さんの作。増田さんはとっくに出世してディレクター兼メディア広報をやっている重役だから、ゲームの新作が出ても、作曲しているのは数曲程度である。その少ない曲の中に増田さんは必ず新しい要素をぶち込んでくる。それを味わうのが好き。

10位 「シャキーン!」より/ にせ~擬態のテーマ~

Eテレ朝の子供向け番組『シャキーン!』からの一曲。作詞・作曲・全パート演奏・ボーカル・アニメーション映像にいたるまで、ほぼすべて一人の芸術家(岡江真一郎さん)が作った作品である。日常の風景の中に擬態している「にせもの」を探すクイズ形式の映像だ。前半の歌詞は謎掛けになっていて、落ちサビの「にーせー♪」のメロディとともに「にせもの」が去り、答えがわかる。ポルカ調のアレンジも素晴らしい。多才すぎるよね?どんだけ練習してきたん?

NHK教育テレビことEテレはいつも新しい芸術家をいち早く見つけ、我々の前に連れてきてくれる。その選球眼の早さと鋭さに恐れ入るばかりだ。アンテナの感度がものすごく高いんだろうなぁ。Eテレはいつも「子供向け」「教育」という傘の下、潤沢な資金を使って好き勝手に、いや違った先進的に、クオリティの高い映像作品を作り続けている。BABY METALバックバンドの「神バンド」を起用した『ももももえ!』も素晴らしかった。

11位 「いないいないばあっ!」より/ チャックのうた

同じくEテレの赤ちゃん向け番組「いないいないばぁっ!」から、ベースがうなる名曲をご紹介。ジャンルはおそらくジャズ・ファンク、またはジャズ・フュージョン。バンドで言ったらウェーザー・リポート。どんなジャンルだ。「いないいないばあっ!」って、もう子供向けですらないんだよ。赤ちゃん向けなの。0歳から2歳までが対象。3歳になったら卒業なの。そんな番組で、2000年代も16年になって、ジャズ・フュージョン。すげぇよ。どういうことだよ。とんがってるなぁ。しかもいい曲なんだよねぇ、何回聴いても飽きない。キャラクターたちがチャックを開けて出入りする映像も最高だ。赤ちゃんってさ、番組タイトル通り、いないいないばぁが大好きなんだよ。赤ちゃんは視力が低く、一つの大好きなもの(両親やキャラクターの顔など)ばかり集中して見ている。そんな赤ちゃんにとって「いないいないばぁ」は、一瞬で顔が消える←→突然現れる、の繰り返しであり、突然の別れと突然の予告された出会いの繰り返しなのだ。そりゃ楽しいだろう。大声で笑うのもよくわかる。この曲の映像も、チャックを開けたり閉めたりするたびに、みんな大好きワンワンが現れたり消えたりするんだから。赤子、喜ぶに決まってるだろう。とてもよく計算されている。そしてフュージョン。うなるベースソロ。圧倒的なグルーブ感。赤ちゃん番組、間口広すぎ。

以上です。次はハロプロ歌詞だけランキングでお会いしましょう。(2017/2/1)

ねじ子の2016年ハロプロ楽曲ランキング これ書くために『MY VISION』のMV見てたら香音ちゃん恋しさに泣いちゃった

1位 モーニング娘。’16 / 泡沫サタデーナイト!

ねじ子最愛の鈴木香音ちゃんの卒業曲にしてセンター曲。私の大好きな香音ちゃんが一番目立っている曲だから、1位です。1位なんです!属人的な選考でたいへん申し訳ありません。つんく♂さんが香音ちゃん卒業によせて作った『THE VISION』も、悲壮感あふれる乾いたメロディが美しい秀作ですが、香音ちゃんがあまり目立っていないので次点です。

2位 こぶしファクトリー / 押忍! こぶし魂

『押忍!こぶし魂』は2番の歌詞がすごい。「世の中はどうやったって 過去を省みたって やったことは取り消せないのさ だから未来に向かって やれることを頑張って あんなこともあったと笑い合おう」というサビが心に突き刺さる。匿名作家である星部ショウさんが、その作家性を初めて少しだけこちらに見せてくれたような気がする。

私はこの曲の藤井梨央ちゃんのパート「やったことは取り消せないのさ」が本当に好きで、どんな小さいことでも何かを決断するたびに(お弁当に卵焼きを入れるか、パンダの顔の向きを左向きにするか右向きにするか、そんなささいなレベルの決断でも)この一節を口ずさんでいた。迷いを振り切る勇気をもらった。

誰にでも心にずっと飼い慣らしている後悔物件ってあるんだよ。生きていると、どうしても出てくるんだよ、消してしまいたいほどの致命的なミスやトラウマが。いくら己を責めても、決して取り消すことはできない。受け入れて生きていくしかない。その上で、今からやれることをやるしかないんだよ。

「時が経っても決して忘れないように この涙を瞬間冷凍したい」ほどの反省って、いったい何なんだろう?どれほどの裏切りをし、どれほどの後悔をしているのだろう?ひどく懺悔しているのに、きちんと未来への希望にあふれた歌詞で、だからこそ素晴らしい。この曲を聞いた瞬間に、ねじ子は「星部ショウって実は新堂敦士なんじゃないの」と勝手に直感した。つんく♂の大阪時代からの盟友で、名曲『This is 運命』を書き、pop’n musicでアッシュというキャラクターに背徳的な良曲を量産して腐女子の人気者になり、そのpop’n musicで岡村靖幸を盛大にパクって表舞台から消えた新堂敦士さん。彼ならば、これだけの仕事も可能だ。作詞作曲能力も高い。量産もできる。ハロプロ文脈にそった仕事も可能だろう。そして彼ならば、匿名を貫き通して表舞台に顔を出さない理由もある。下手に黒歴史をほじくり返されるよりは、匿名で良曲を書き続ける方がずっといいだろう。反省と自戒を込めた歌詞が妙に多いのは、彼なりの関係者に対する懺悔なのだろうか……などと勝手に妄想して楽しんでいたのだが、まぁ盛大に予想は外れましたね。星部ショウさんは20代のまったくの無名の新人で、アップフロントのオーディション合格者だそうです。まぁでもそれって「星部ショウくん役」の男性がいる、というだけだよね。いまだ星部ショウさんの正体は謎に包まれているよね。まぁいろいろ楽しく妄想しているけど、いい作品さえ作り続けてくれれば何でもいいよ。

Earth,Wind & Fireの『Boogie Wonderland』のオマージュであることをまったく隠さない姿勢も好きだ。こぶしファクトリーはいつもそうで、元ネタの70年代ロック&ファンクを決して隠さない。むしろ前面に押し出してくる。インディーズデビュー曲の『念には念』はT.rex『20th century boy』とThe WHO『My Generation』のオマージュであった。「Talkin’ ’bout my generation」というコーラスを「念念念念念念念念」という歌詞にしてきたときはねじ子ひっくり返ったよ。ねんねんねんねんねんねんねねんってさぁ。なんだよそれ。アルバム曲の『懸命ブルース』は「どう聴いてもThe Whoの『Young Man Blues』だなぁ」と思っていたらもう途中からコーラスで「Teenage Blues!Teenage Blues!」て歌っちゃってた。開き直りすぎである。セ・リーグの先発投手との立て続けの交際がバレてもなおセ・リーグの先発投手と結婚する紺野先輩なみに開き直ってる。斬新で、かえって好感をもつ。

あ、最年長の藤井梨央ちゃんがリーダー職を広瀬彩海ちゃんに取られた、という実際に起こった悲劇を、きちんと演出にして昇華している間奏のダンスも好きです。

3位 Juice=Juice(NEXT YOU)/ 大人の事情

2016年は色んな場面で「大人の事情」を感じる一年だった。そのたびにこの曲を情念たっぷりに歌い上げる宮本佳林と、「大人の事情や!」という在りし日のつんく♂さんの声が脳内で強迫的に反復された。SMAPの解散とか。その原因となった芸能事務所上層部の確執とか。どう見てもきちんと精神科に入院して治療しなくちゃいけない状態のASKAさんを完全にオモチャにして馬鹿騒ぎしたうえに、何の謝罪もしないマスコミと警察と周りの人たちとか。Dream5の志半ばでの活動終了とか。その遠因になった(のかもしれない)イトーヨーカドー上層部の権力争いとか。稲場愛香ちゃんの外反母趾、じゃなかった喘息発表とか。

昔はメディアと呼べるものが大手新聞社と大手出版社と大手放送局しかなかったから、権力争いに勝った勝者からの一方的な情報のみが垂れ流されていたのだろう。でも今はインタネットがあるからねぇ。いろんな立場の人がいろんな立場からおのれの正義を流すことができる。結果として、多くの人に納得がいかないユーザーの需要を無視した決定が、製作者間の思惑の違いによって生じている=「大人の事情」だと、部外者に気付かれてしまう機会が増えたのだろう。

この曲はドラマ「武道館」のために作られた。歌詞は完全にドラマ「武道館」の主人公・愛子の「あてがき」になっている。NEXT YOUという架空のアイドルが武道館公演を目指し、メンバーが太ったり暴漢に襲われたりしながらも徐々に売れていき、武道館公演が決定、しかしその直前で幼馴染との交際が報道され、夢よりも恋人を選んでグループを脱退する主人公・愛子のための歌詞である。結果としてこの曲はつんく♂さんのアイドル観が垣間見える貴重な作品になった。

「大人のふりして恋しただけだよ 罪なら罰してよ Just want to be next you」とつんく♂は言う。つまり恋愛は罪ではない。当たり前である。自由に恋愛をするのは憲法にも認められている、幸福になる権利のうちの一つである。幸福追求権ってやつだ。今の日本で幸福追求権が認められないはずはない。

もちろん世界ではまだまだ自分の望む相手と交際・結婚ができない社会も多い。私だって現在のシリアに生まれていたら、ISISに拉致されないよう穴蔵の中で怯えて暮らすことしかできなかったはずだ。医学を学ぶ機会も、絵を描く自由も、自分の選んだ人と結婚する権利も与えられなかっただろう。当人同士の同意を元に自由に恋愛する権利(裏を返せばそれは女性の意思を無視した誘拐結婚や性奴隷を絶対に認めないということである)は、世界中のたくさんの先人が血眼になって手に入れた、絶対に侵されてはいけない権利の一つなのである。だから、アイドルの恋愛禁止ルールは決して明文化されてはいない。明文化した途端に憲法違反になる可能性があるからだ。恋愛禁止を一番の売り文句にし、『恋愛禁止条例』って名前の曲も公演も漫画作品さえもあったAKBが、諸外国に「性的搾取」と批判された途端に手のひらを返して「恋愛禁止とは一度も言っていない」と発言したのは当然のことなのである。

しかし、そんな大前提に反して、女性アイドルに現在進行形で恋愛が発覚すると、そのアイドルは露骨に集客力も集金力も落ちる。これはもう、どんなに実力があったとしても落ちる。藤本ミキティがモー娘。脱退後、庄司と交際しながら『置き手紙』というシングルを出したとき、リリースイベントにまったく人が集まらなかったのを見てねじ子は実感した。ミキティほどの実力と美貌と名曲があっても、集客できなくなるのだ。スキャンダル発覚直後はファンも「それでも俺は応援を続ける」と強がるけれども、徐々に買うCDの量が減っていき、遠征の回数が減り、一回しかライブに足を運ばなくなり、馬鹿馬鹿しいグッズや生写真を買わなくなっていく。結果として、アイドルはアイドルとしての活動を続けられなくなっていく。女性アイドルが彼氏をキープしながら芸能活動を続けたいのなら、疑似恋愛が集金の大きな原動力である「アイドル」ではなく、次のステージに行くしかない(ミキティは実際そうした。そして成功した)。ここには大いなる矛盾がある。

この矛盾に対する答えを、ハロプロは公にしていない。これまでの対応を見るに「アイドルグループやっている間の恋愛はバレなきゃOK、バレたら別れればOK、別れないならグループは脱退」あたりが不文律のようだ。今回の曲で、初めてつんく♂の見解が見てとれた。「大人の事情で私の自由を奪い去っていかないで そばにいたいだけ」つまりアイドルの恋愛は「私の自由」なのだ。本当はみんなわかってるんだ。恋愛を禁止する行為はすべて「大人の事情」である、と。我々凡人がつんくさんのアイドル観および「アイドルの恋愛についてどう考えているか」を知ることのできる貴重な機会を作ってくれて、朝井リョウさんには感謝している。

4位 Juice=Juice(NEXT YOU)/ Next is you!

つんく♂のライナーノーツいわく「僕は兼ねてから言ってるように「アイドル」の為に音楽を作ってきたつもりはありません。しかし、この曲だけは、もしかしたら世間でいう「アイドル」の為に作ったのかもしれません。」つんく♂はひねくれ者の開拓者だから、いつだってアイドルのためにアイドルの曲を作らない。最初からアイドルを作ろうと思っても売れるアイドルはできない。ロックアーティストを作ろうと思っていたのに気付いたらアイドルになっていた、アスリートを作ろうと思ったらアイドルになっていた、という結果論でしか売れるアイドルは作れない、とかねてから言っている。つんく♂はいつだって目の前にいる女の子から聞こえるメロディを元に曲を作っているのだろう。ヤンキーならヤンキーな曲、ロック魂を感じたらロックな曲。いちごのベッドで寝ているからお肌がプルプルしてる14歳の女の子なら、年の差も気にせず彼女になりたいんだろう。たぶん。何言ってんだこいつ……と思った皆さん、私は一切誇張していないのでご感想はつんく♂さんまたはアップフロントエージェンシーにそのままどうぞ。

この曲では「架空のアイドルNEXT YOUの歌」という前提ゆえに、アイドルのための曲を作ってくれた。つんくさんのアイドル観を見られる貴重な機会を作ってくれて、朝井リョウさんには感謝しかない(二度目)。つんく♂にとってアイドルとはふくらはぎバリ筋肉であり、それが努力の証であり、年齢や経験は不問で、音楽的に決して手を抜かないものであり、声援をパワーとするヒーローなのである。決してヒロインではない。そして、1番では「バレなきゃそれでいいのかい 自分がよけりゃいいのかい」と影で遊ぶアイドルを揶揄しながらも、2番では「恋に落ちるもあるだろう 自分の人生 後悔しないように生きるのがいい」とやさしくささやくのである。なんじゃこりゃ、つんく♂すっげぇぇぇぇえハロメンにモテるだろおおぉぉ!!違う違う、つんく♂は母性にあふれたいいプロデューサーだなー。

そしてこの曲はコンサートの現場でコールを入れると最高に気持ちがいい。リズムがバキバキでコールが入れやすいんだ。「リズム天国」で下画面に星がはじける映像が目に浮かびそうなくらい、コールを入れる場所がバッチリ決まっている。ハイ!ハイ!ハッ!ハイ!って感じ。このコールの入れやすさは「リズム天国」屈指の名曲『ドキッ!こういうのが恋なの?』を彷彿とさせる。そう言えばあれも「アイドル」がテーマの楽曲だったな。つんく♂にとってアイドルの曲とは、コールを入れる拍が完璧に決まっていて、コール&レスポンスによって完全体となる楽曲のことなのかもしれない。

ちなみにドラマ「武道館」もとてもよかった、最終回以外は。最終回の畳み掛ける心理描写が必要なギリギリの場面で突然、矢口と辻ちゃんがお茶会をはじめ、メタ発言を繰り返していたのには驚いた。ひいきめに言ってもあれは壊滅的茶番。これまでのドラマ8話分のすべてを壊しかねないほど壊滅的。「矢口と辻ちゃんを呼ぼう」って最初に提案した人の名前を教えてほしいレベルだ。あんなもんに割く時間があったのなら、愛子と碧の心理描写と、スキャンダル後の話し合いの様子をもっともっともっともっと見たかった。さらに言えば、今年に入って最低2回は行われたはずの、℃-uteスキャンダル後の話し合いの様子を見たかった。どんな感じだったのかな。ドラマみたいだったのかな。舞美、怒ってただろうな。私がその場にいたら、まいみ(こおり/ゴースト タイプ)から放たれる ぜったいれいど で いちげきひっさつ! だったろうな。

5位 ℃-ute / 人生はSTEP!

この曲をひなフェスの中継で初めて聴いた時、私は「あぁ、ついに℃-uteの時代がやってくるんだ!」と思った。「大人の女性っていいなぁ!やっぱりねじ子が一番好きなのは20代前半の大人の女性だよ!」とも。(そう言ったら大上先生に「『やっぱりいちばん打ちやすい球はど真ん中ストレートですね』ってイチローが言ってたらどう思う?それと同じ気持ち」と言われた。どういう意味だよ、そんなに私はどんな球種でも打ち返す曲者バッターに見えるのかよ)彼女たちはついに大人の女性シンガーとしての表現にたどり着いた。子どもだった彼女たちが長い歴史を経て、初めて正しい大人のセクシー、大人の色気、大人のアンニュイを表現することに成功した。ただ薄着なだけでもなく、クネクネした動きをするだけでもない、大人の女性の憂鬱がこの曲にはきちんと入っている。カップリングの「Summer Wind」「何故人は争うんだろう?」も同じ手触りの楽曲であり、私はこのシングルで確かに℃-uteの新しい時代の幕開けを感じた。

この曲は最年少の萩原舞ちゃんがいい。舞ちゃんはここ最近ずっと喉の調子が悪く、イップスさえ噂されている状態だった。歌割りも少なく、いつもどこか自信なさげだった。でもこの曲では彼女の可愛い声が最高のアクセントになっている。サビの「Let’s Dance!」のところね。ひなフェスでこの曲を歌う舞ちゃんはキラキラして最高に美しかった。「ついに舞ちゃんの最高の使い方が見つかった!容姿も抜群にかわいい!舞ちゃんはもっと自信を持っていいんだよ!舞ちゃんに足りないのはあと自信だけなんだから!いよいよ℃-uteに死角がなくなった!」とねじ子は思っていた。思っていたのに。

このとき確かに開いた℃-uteの「大人の女性シンガーとしての世界」が、ひなフェス直後の文春砲および動員悪化からの解散宣言によって、失われていくことが非常に残念である。私は確かにあのとき、℃-uteが切り開こうとしている新しい世界を感じた。感じたのに。ハロプロがセクシーを狙うと、キャバクラか風俗かドン・キホーテで売ってるコスプレ衣装に、股関節を開くか椅子に絡みつくか床に寝そべるか、歌詞でもう「セクシー」とか「エロス」とか「あっはーん」とか「うっふーん」って言っちゃうか、以上の順列組み合わせにより結果的には少年ジャンプのお色気ギャグみたいになっちゃうからなー。そのどれでもない「大人の女性らしさ」が久しぶりにハロプロで表現できていたのに。

6位 ムキだしで向き合って / モーニング娘。’16

曲の作り方が面白い。Jean Luc Ponponさんという多国籍トラックメーカーチームが制作したバックトラックをもとに、星部ショウさんが歌詞とメロディを乗せる、という工程で作り上げたらしい。ジャニーズやEXILEや少女時代もやっている海外チームに作曲を任せる手法に近い。Jean Luc Ponponってのはロサンゼルスを拠点においたプロデュースチームで、角田崇徳さんも在籍しているとのこと。角田崇徳さんって『紫陽花アイ愛物語』の人よね。つんく♂の『セクシーキャットの演説』はMVも歌詞も最高なんだけど、サビで『紫陽花アイ愛物語』の「ふたり合い合い傘の中で!」がどうしてもチラついて、ねじ子は素直に楽しめなかったのだ。年末のモーニング娘。のシングル「セクシーキャットの演説/ムキダシで向き合って/そうじゃない」は、勝手に私の中で角田崇徳さんの色の濃い作品になった。

そして佐藤優樹による即興のハモリが最高である。モーニング娘。はハモリだよ、ハモリなんだよ。ハモリに気合がはいってこそモーニング娘。なんだよ。『モーニングコーヒー』の頃からずっとそうだったでしょ!


48:30からまーちゃんの即興ハモリ。

レコーディング風景。レコーディングの段階で歌割は決まっておらず、全員がフルコーラスのレコーディングをする。レコーディングの最後に「なんかやりたいことある?」と聞かれたまーちゃんは「使われなくてもいいからハモってみたい」と宣言し、ハモり始める。そして結果的に全て採用されている。素晴らしい。サビから突然入る工藤の低音のメロディと合わさって、最高に艶のある仕上がりになっている。工藤の歌唱力も上がってきていて嬉しい。もっと来い!もっと来てくれ!まーどぅーは声の相性がいいね。ここまで声の相性がいいニコイチペアって、モーニング娘。では辻加護以来なんじゃないかな。

7位 アンジュルム /上手く言えない

もうアンジュルムは好きにやってくれ。とりあえずアンジュルムリーダーの和田彩花ちゃんがハロプロのリーダーに就任して嬉しい。本当によかった。カウントダウンコンサートでねじ子もらい泣きしちゃったよ。ハロプロリーダーはいつもモーニング娘。のリーダーが兼任していて、℃-uteの矢島舞美ちゃんに移行しているのが例外的だったから、モーニング娘。に地位を戻すためにキャリアの長いあやちょが飛ばされてしまうんじゃないかって内心危惧していたんだ。飛ばされなくて本当によかった!

あやちょはきっといいリーダーになるよ。成人式に参加できず不満を爆発させたときも「成人式に行けなかったことは、、生涯、根に持ち続けます。笑」とまで書きながら、最後は「二期、三期のみんなが成人になって、成人式に出られるような環境になればいいな!ただそれだけです(^^)」と後輩を思う言葉でブログを締めていたではないか。彼女は自分の身を盾にして後輩を守ることができる人だよ。そういう上司って実はなかなかいないんだよ。そしてそういう上司は部下から愛され、尊敬されるよ。あとはその「守る範囲」を、自分のグループからハロプロ全体に広げていけばいいだけだ。

特徴的なリフの繰り返し→メロディアスなサビ、という中島卓偉さん得意の構造がうまくはまっている。卓偉のコーラスによるハモリもいい。卓偉うるさい、もっとやれ。今回は繰り返し叫ばれるタイトルの回数も(卓偉にしては)(比較的)少なめだし、説教臭さも薄れていて聴きやすかった。メンバーが全員で一直線に並んでパートを回すところも素晴らしい。メンバー全員に見せ場がある曲っていいよね。アンジュルムはいい意味でハロプロらしさが薄くなってきたので、ぜひ対外試合に積極的に参加してファンを外から引っ張ってきてほしい。

とりあえずここまで。次はねじ子のオレコン総合ランキング20017か、ハロプロ歌詞だけランキングでお会いしたいです。(2016/1/24)

ねじ子の2015年ハロプロ楽曲ランキング 鞘師のこともっと褒めて褒めて褒めまくってあげればよかった

1位 スカッと My Heart / モーニング娘。’15

さっき書いた。鞘師の歌。ねじ子、赤羽橋ファンクだいすっき。

鈴木香音ちゃんの卒業に関しては、もう言葉がない。17歳の女の子にあんな短期間で食事制限中心のダイエットをさせたら、リバウンドして以前より太るのは火を見るよりも明らかなことだ。マツコデラックスが鞘師卒業に際して叫んでいた「あの言葉」を私も叫びたい気持ちでいっぱいである。まぁつまり「この糞事務所がぁ!!」と思わずにはいられないってことだ。

モーニング娘。として笑顔を振りまき続けることが何よりの社会貢献であり、高齢化社会の日本において最も福祉的なお仕事だと思うんだけどな。今だって、我々みたいな悲惨な精神衛生状態の人間の面倒をしっかり見てくれてるじゃんか、ねぇ?うーん。うーん。「福祉の大学とかさぁ…なんだその唐突な理由、クジラックスかよ…」とか、「酒井法子かよ…」とか、いろいろと思うところはある。本気で福祉の仕事をするつもりなら、看護師さんの学校にいって看護師資格を取るのがいいと思う。でもね、我々のいる地獄の底を這うような血塗れの現場じゃなくてさ、彼女にはもっと広いメディアの世界でね、世界中の人たちを笑顔にする力があるわけよ。もったいないよ。看護師の資格をとったあかつきにはね、教員免許を取ったももち先輩のように、ぜひまたメディアの世界でね、啓蒙活動などのお仕事をしてほしいなぁと思うわけですよ。ある意味現場よりもずっと多くの命を救えるし、なによりそれは選ばれた人間にしかできないお仕事なんだよ、そして貴女はその選ばれた人間なんだよ!なのにどうして志半ばでこんな決断を、あー。あー!この糞事(以下ループ)

こうなると、一度はなんとか納得していた鞘師里保の電撃卒業も「やっぱり納得がいかない」という気持ちがむくむくと湧き上がってしまう。鞘師に会いたい。もう恥も外聞もなく、ステージの鞘師が見たいよお。わーん。若い9期二人の卒業は、私にとってあまりに性急であり、消化不良のまま時が過ぎている。りほかの(とその御家族)は、あの頃の落ち目だったモーニング娘。に人生を賭けてくれたんだよ。たった12歳で、小学六年生で上京する決断をしてくれたんだよ。その2人を、たった17歳で、こんな形で失ってしまうことが悔しい。これじゃまるで私たちが思春期の田舎の少女2人の心と体をボロボロにしてしまっただけみたいじゃないか。そんなの嫌だ。認めたくない。

モーニング娘。は鞘師の卒業でエースを失い、香音の卒業で最も個性があり知名度が高いメンバーを失う。そして、あまりに多い11人というメンバーを抱えながらも、さらにメンバーを増やそうとしている。こうなると、もう次の展開は歴史を顧みても一つしかない。ツアーごとの卒業と、少数精鋭の加入である。一人か二人リーダーになる人を残して、古参メンバーを順次卒業させていく。加入は随時、クオリティを落とさない程度の少数精鋭のみ行う。後藤真希卒業後の黄金期の収束もそうだったし、プラチナ期の終焉もそうであった。継承者として一人残されるメンバー(黄金期における吉澤・プラチナ期における道重)が誰になるのかはわからないけれど、ここからのモーニング娘。はしばらくのあいだ別れと喪失のステップが続くのだろう。それは『One・Two・Three』を代表とする、モーニング娘。再ブレイクを支えたピースが次々に失われていくということでもある。つらい。カラフル期についた大量の新規ファンは少なからず幻滅し、去っていくだろう。悲しいけれど、この喪失体験もモーニング娘。の繰り返される歴史の一つなんだよね。あーぁ。天を仰いで叫びたい気持ち。鞘師リーダー・香音サブリーダーのモーニング娘。が見たかった。見られると思っていた。思っていたのに。あー、この糞(以下無限ループ)

2位 愛おしくってごめんね / カントリー・ガールズ

この曲が良すぎたせいで、カントリー・ガールズはファンの間で旋風を巻き起こし、あっという間にデビューが決まり、結果としてセンター島村嬉唄ちゃんの早期脱退を引き起こした。嬉唄ちゃんは2014年のカウントダウンコンサートで突然現れ、その可愛さと初々しさでハロヲタを大いに揺るがしたのちに、たった半年でいなくなってしまった。脱退理由の詳細は語られなかったが、親御さんのご協力が得られなかったようだ。ねじ子は今でも、嬉唄ちゃんはつんく♂と道重とBerryz工房をいっぺんに失った我々ハロヲタを気の毒に思った神様が見せてくれた春の夢だと解釈している。混乱を自覚しているので安心してほしい。

この曲は冒頭でせりふを語るセンターの島村嬉唄ちゃんのための曲であり、彼女が脱退した後でさえも、彼女のための曲である。嬉唄ちゃんがいなくなった今聞くと、ますます嬉唄ちゃんそのものを表しているようだ。作詞家の児玉雨子さんはそんなこと予期してなかったはずである。「センターの子はすげぇ可愛いけど、きっとすぐに脱退するわ!」なんて予想していたはずはない。それなのに、この曲はまるで嬉唄ちゃんが一瞬でいなくなることを完全に見越していたような歌詞なのだ。「メールは返さないよ 返事よりも 会えない日を数えてほしい」「女の子の秘密を明かさないのが女の子 嘘をついてはいないの それが運命よ」「愛おしくて忘れられないでしょ 許してよ 愛ゆえに ごめんなさいね」ぜんぶ嬉唄ちゃん。彼女そのもの。古来より、達人のつむぐ詩はときに未来を予言し、魔法をひきおこす。

嬉唄ちゃんは、とても意識的な演出ができる子だった。ハニカミも素人臭さも決して彼女の本当の「素」ではなかったと思う。誰よりも上手に「素人臭さを演出する」ことができる子だった。だからこそ逸材だった。彼女にはピュアだけでない、いろんな種類の引き出しがあったはずだ。彼女自身はアイドル活動を非常に楽しんでいるように見えたし、辞めたそうにも見えなかった。学業優先にも見えなかった。惜しい。つくづく惜しい。彼女がご両親の影響下から抜けて、自分自身で進路を決められる年齢になったのちに、再びどこかで出会えることを願っている。

嬉唄ちゃんがいなくなってこの曲は封印された。コンサートでも披露されなくなった。確かに私も、この曲をきくたびに嬉唄ちゃんを思いだして悲しくなってし まうため、聴けなくなっていた。彼女の脱退以前は一晩中聞いていたのに。既存メンバーがパートを再分配して歌ったとしても、彼女の記憶が強すぎて違和感を 覚えただろう。

その後カントリー・ガールズは新メンバーを二人加えた。新メンバーは二人とも「完璧な子ども」である。10歳当時の嗣永桃子がそうであったように、完璧な子ども。子役っぽい完璧さとも言える。この曲は2015年のカウントダウンでようやく復帰した。嬉唄ちゃんの印象的なパートはすべて新メンバーが歌った。嬉唄ちゃんのハニカミ演技とは180°違う、圧倒的な子役演技であった。「できる子役」くさい劇画的でわかりやすい演技で、これはこれで面白い。名曲が息を吹き返す瞬間を見届けて、私はようやくまた明るい気分でこの曲を聴くことができるようになった。

3位 CHOICE&CHANCE / Juice=Juice

カントリー・ガールズの突然の加速の裏で、上半期のJuice=Juiceは辛酸をなめてきた。そんなJuice=Juiceに突然の幸運が振ってわいた。オリコンシングルランキング1位獲得である。アニメ妖怪ウォッチのエンディングであるニャーKBと当時発売週のため他のライバルたちが避けていた週に、細々と2位狙いで『Wonderful World』を発売、蓋を開けてみたら1位だったのだ。無欲の勝利である。妖怪ウォッチのEDがDream5からニャーKBに変わった時に、ねじ子は随分と絶望したものだけれど(詳しくは昨年の俺コンを参照)、こうなったら一転して彼らに感謝したい。「握手券と投票券の付いてないCDにはビックリするほどお金を落とさないでくれて、どうもありがとね!」と。Juice=Juiceはもともと実力が高く、ルックスも抜群で、でも何かが足りない!もう一つフックが欲しい!という状態がしばらく続いていた。オリコン1位という肩書きにより、彼女らは一気に上昇気流に乗ることができたと思う。オリコンなんてもうランキングとしては何の価値もないと思っていたけれど、こうなるとまだまだ「きっかけの一つ」としては意味があるんだな。彼女らが主演するドラマ「武道館」だって、「J=Jはオリコンで一位を取ったグループなんですよ!」という一言が会議でプレゼンできるか否かによって、企画の通りやすさがずいぶん違ったはずだ。

かなとものことは早くて3カ月~長くても1年半くらい待ってあげて欲しい。ホルモンの治療は薬に慣れるまでどうしても時間がかかる。薬の副作用もちょこちょこ起きる。薬が効くか効かないか、手術に踏み切るか、治療法を決めるにもある程度の月経周期を見なきゃならない。どうしても時間が必要だ。早くて3カ月~長くても1年半くらい色々な治療を試してみれば、安定したコントロールが可能になる。腹痛や出血や薬の副作用など、子宮内膜症にまつわるさまざまなキツい症状も制御可能になるはずだ。動くのがキツイ時期が予測できるようになるし、その「キツさ」もいくらかマシになる。具体的にいうと「普通の女子にとっての生理痛」程度になる(つまり、日によって重い、寒い場所だときつい、2日目だけロキソニン内服、くらいのイメージ)。その後は他のメンバーと大差ない活動ができるはずだ。そのくらい待てるよね?私は待てるよ。だって彼女の声とキャラクターは唯一無二だから。ファンも事務所もメンバーも、そして何よりもかなとも自身が、体の回復を待ってあげてほしい。今、焦って何かを決めようとしてはいけない。あまりに時期尚早だ。誰にとってもいい結果を生み出さない。医者としては「子宮内膜症で仕事をやめるなんて、とんでもない!そんな必要ないよ!全く動けない状態が永久に続く病気じゃないんだからさ!半年から1年待ってれば、何とかなるから!後のことは、治療がひと段落してから考えよう!」という思いだ。かなとも自身は今とても辛いだろうし、己の体を呪うだろうけど、必ずコントロールできる日がくる。そしてそれは決して遠い話ではない。周りに何を言われようとも、気にするな。折れるな。あなた自身の野望をかなえてくれ。

病気を告白したのは誰にでもできることじゃない。勇気ある行動だよ。私は正しい選択だと思う。そもそもハロヲタの皆さんは屈指の名探偵揃いだから、何の前情報もなく婦人科通い(けっこう頻繁に通うことになる)が目撃されたら、あっという間に拡散されてしまうだろう。現在のSNS社会においてそれは避けられない。医療従事者は守秘義務があるので患者さんの情報を漏らすことはないけれど、患者さん同士にはそんな義務ないし、近所の人にも守秘義務はない。周りの人間の口には戸が立てられないのだ。あっという間に下衆な勘ぐりが広がる。それはますます彼女の心を傷つけるだろう。「産婦人科へ行く」=妊娠、性病、堕胎くらいしか思いつかない下衆で偏狭な人間は残念ながらこの世にとても多いのだ。公演を欠席するたびに、心無い中傷や下衆なヤジが発生して収集がつかない事態になっていただろう。今回の発表に対して「病気を売りにした売名行為だ」と感じた方もいたようだが、それはハロヲタの情報収集能力を知らない幸福な人の意見だと思う。

若い女性が婦人科系の病気を告白するのは大きな勇気がいる。かなともがそれを選んだのなら、私は大いに支持する。事務所も彼女を支えていくことに決めたのだろう。だって病名を公表した上でクビにしたら、叩かれるもん。一気に社会的な議題になってしまう。私も、子宮内膜症を理由に会社をクビになった患者さんがいたら、医者として強い憤りを感じるよ。大きい会社がそんな人事をあからさまに行ったなら、その会社を批判する。だって医者としてはそんな悪い前例を作られちゃ困るんだ。ただでさえ病気で苦しんでいる患者さんの首を、ますます絞める「悪しき前例」になってしまう。若い女子を使った商売を末長くやっていきたいと思うなら、婦人病というのは飲み込むべきリスクなのだ。

そして病名を公開したからには、かなともには同じ病気で苦しむたくさんの患者さんにとっての「希望の星」になってほしい。子宮内膜症という、原因のはっきりしない、他人にも言いづらい、同じ女性にも理解されにくい病気になっても夢をあきらめなくていい。仕事を辞めないでいい。アイドルにだってなれる!そう思わせてほしい。あなたがステージで輝く姿が、患者さんにとっての希望となる。「彼女も頑張ってるのだから、私も頑張る」という気持ちを、同じ病で苦しむ患者さんに届けてほしい。これは医者には決して与えることのできない光であり、未来への処方箋だ。あなたならできると信じている。

あ、この曲は名アルバム「First Squeeze!」から選びました。Juice=Juiceの高い歌唱力と表現力が遺憾なく発揮されています。MVでのみんなの顔芸、いや表情が素晴らしいです。

4位 ラーメン大好き小泉さん / こぶしファクトリー

こぶしファクトリーっていうネーミングセンス、最高だよな。ちょっと勝てないよ。ニュースを見た瞬間に爆笑できる団体名って、そうないと思うよ。単純な日本語なのに、他のどこともかぶらない唯一無二の単語の組み合わせ。一度聞いたら二度と忘れないインパクト。口に出すと楽しい語感。ベリーズ工房に引き続き何を作っているのかさっぱりわからない工場っぷり。狙いすぎてないくせに、ゲラゲラ笑える。どれも最高だ。聞いた瞬間は「こぶしって、拳?花?え、どっちも?こぶしの花って茶色くなって散り際が汚いけどいいの?フィストファクトリーって言われそうだけど、それもいいの?」などと考えたけれど、それらをぜんぶ吹っ飛ばせるほど馬鹿馬鹿しく、勢いがある名前だ。しかも彼女らのパフォーマンスを見るに、一番近い「こぶし」の意味は実は日本的歌唱テクニックの「こぶし」であった。そうだったのか、こぶしをきかせて歌うのが彼女たちの歌だったのか!ダブルミーニングどころかトリプルミーニングだ!すごいな!個人的には2016年最も笑った大喜利、いや違ったベストネーミング大賞でした。

話が逸れたよ。「ラーメン大好き小泉さんの歌」は純粋に曲がいい。ダンス☆マン渾身のアレンジもいい。MVも明るく楽しい。ラーメンがモチーフのふりつけも面白い。

ねじ子の一推しメンバーは藤丼だ。こぶしファクトリーの鍵は藤丼が握っている。と、俺は踏んでいる。彼女にはこのまま勉強を続けて、できる限りいい大学に入って欲しい。本当はもう東大とかに入って欲しい。ハロプロで東大。新しいよね?まぁさすがに東大は難しすぎるので、どこでもいいから、できるかぎりいい大学に入って欲しい。もちろんハロプロの先輩たちのように慶応大学(推薦や内部進学)もいいけど、がっつり大学受験するのも魅力的だよなぁ。

藤丼は賢くてかわいい。でも、このままテレビのバラエティー番組という戦場に行くには武器が足りない。道重だってももちだって、10年間ハロプロで蓄積した大量の資材をもってバラエティーに攻めこんだ。ももちに至っては「教員免許」という武器までしっかり担ぎあげて一人旅立っていった。藤丼はまだキャリア3年の上に、高校生である。バラエティという魑魅魍魎が跋扈する戦場に立つつもりならば、もう少し武器が欲しい。でないと返り討ちにあう。「名門大学」というのはTVショーで戦うための一つの武器として非常に有効である。何より彼女には、まだその武器を手に入れるチャンスがある。忙しくて大変だろうけど、頑張って両立してほしい。それは彼女のみならず、こぶしファクトリーにとってもひとつの売りになり、ブレイクのきっかけにさえなりうると思う。

あ、ちなみに本当はこぶしファクトリーの鍵はたぐれなが握っている。と、ねじ子は踏んでいる。彼女らのアホ可愛さが一皮むける瞬間が、こぶしの真の躍進の時だと思う。それが何年後かはわからないけど、今から楽しみだ。

5位 臥薪嘗胆 / アンジュルム

アンジュルムはスマイレージから完全に曲調を変え、生まれ変わった。方向性を決定的にしたのはファーストシングル『大器晩成』だろう。今の彼女たちは『大器晩成』で受けた路線、つまり這い上がる系の歌詞とロック歌謡路線で突き進むことに決めているようだ。私はあまりそのジャンルが好みではなく、ファンキーな『臥薪嘗胆』が一番好きってくらい流行に乗り遅れているのだけれど、アニソン的和製ロックが大好きな若いファンは多いのでこのまま突き進んでほしい。

アンジュルムっていうネーミングは聞いた瞬間に「同人イベントに初めてサークル参加する女子高生が付けがちなサークル名みたい。スタジオYOUのイベントの島中にいそう」と思っていたら、本当に現役女子高生の中西香菜ちゃんがつけた名前だった。うーん、フランス語を入れてみたり、横文字なうえに造語だったりするのは、一見カッコよくても実はありがちで覚えにくく、あまりよくないサークル名だと(こちらの世界では)言われているんだけどなー。あ、同人サークル名と女性アイドルを一緒にしちゃいけませんね!すみませんでした!しかし私には何回見ても「Anger Me」に見えてしまうんだよ。「私を怒らせるもの」。そしてある意味、それはとてもあやちょらしい名前だと思う。彼女の周りにあふれている数々の理不尽、屈辱、同胞との別れ、事務所やファンに対する怒りは、ますます彼女の美しさを増し、魅力を引き上げる要因になっていると思う。彼女は、怒りによって自らを洗練させ、芸を磨くタイプの芸術家なのだ。怒りによって悟りに近づくその姿は、彼女の大好きな仏像で例えるなら如来や菩薩というより、明王に近い。不動明王とか愛染明王とか。いつも9人組を保つアンジュルムは、まろが抜けてますます「不動明王あやちょと八大童子たち」感が強くなってきている。

出典:http://photozou.jp/photo/photo_only/197391/25120187

6位 イマココカラ / モーニング娘。’15

『映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪』のタイアップ曲。私の大好きなモーニング娘。が、私の大好きなプリキュアとコラボしたよ!いい曲。小田さくらセンターという新しい試み。「私達は普通の女の子」と歌い出すおださくがまったく普通の女の子っぽくない、顔から妖艶さが滲み出ているのが最大の見所。モーニング娘。15’が声優もやるとの情報を聞き、ルンルンで映画館に足を運んだねじ子であるが、この私をもってしても!彼女らがどこで出演していたのか!さっぱり!わからなかったヨ!清々しいほどのモブっぷり。オリエンタルラジオの二人が出ずっぱりのキャラだったのとは対照的な扱いであった。

そして個人的には、プリキュアのピンチの場面で「映画を見ているみんなー!ミラクルライトを振って応援してほしいクル~!」という、画面のこっち側の観客全員でプリキュアを応援するというプリキュア映画お約束展開(そのために入場特典はいつもペンライトだった)が、今回からなくなってしまったのが非常に残念だった。なんだよ!私はプリキュアを応援するためにここに来てるんだよ!詐欺だ!ミラクルライト振らせてよ!プリキュアを応援できないんだったら、私は何のために高い金を払って恥ずかしい思いをしながら幼女に紛れて映画館へ足を運んでいるのか、わからなくなっちゃうよ!あ、モーニング娘。15’を見るために来たんだった。てへ。すっかり忘れてたよ。エンディングで日本各地の幼女たちが躍る「イマココカラ」の動画を挟みつつ歌い躍るモーニング娘。はとても良かったです。MVそのまんまで、オリジナル映像は見受けられませんでしたけど。衣装はもっと可愛くてフリフリの、変身後プリキュアみたいにしてほしかったけど。それでも、「プリキュアとモーニング娘。のコラボ」というずっと夢見ていた景色を見られて嬉しかった。

7位 Shooting Star / Juice=Juice

Juice=Juiceの舞台『恋するハローキティ』劇中歌。作曲は和田俊輔さん。和田さん最高だな。ステーシーズ再演はよ!LILIUM再演はよ!鞘師が帰ってきたらLILIUMの続編もはよ!鞘師って実はとてもいい役者だし!リリー(鞘師)が失望の果ての放浪の旅から帰ってきたら、仲間はみなクラン(ハロプロ)からいなくなっていた。でも私はなぜかこの世界に生き残っている――という状況は、実は数年後の鞘師にぴったりなんじゃないだろうか?

以上です。また来年。2016年のハロプロ楽曲ランキングは今のところ『チョット愚直に!猪突猛進』と『押忍!こぶし魂』が熱いデッドヒートをくりひろげる予定です。

2015年 ねじ子の俺コンランキング・楽曲編

1位 該当なし

今年はヒット曲のない年だった。興味が細分化し、皆で共有できる音楽がなくなったと言われて久しい。もう、全世代が同じ音楽を耳にするという概念自体が旧世代のものなのだろう。2015年はその状況が極限まで極まった年だと思う。そうは言ってもこれまでは、ニコニコならニコニコ、ボカロならボカロ、アニソンならアニソン、キッズアニメなら子供、アイドルならアイドルヲタの世界の中で小流行した曲くらいはあったと思うんだ。今年はそれすらも、なかった。一発屋も見あたらず、歌番組は昔の曲ばかり。ヒットどころか犠牲フライや送りバンドすらもなかったんじゃないだろうか。完全試合達成だ。強いて言えばμ’sが今年のヒットなのかもしれないが、μ’sの曲のほとんどは(正確には)2014年以前のものだし、そもそもオタクの贔屓目を持ってしても、μ’sが若い男女全員に共有されているとは思いがたい。これが私の年のせいで、実はしっかりと若い世代の共感を呼んでいる曲があり、ただ私の音楽のアンテナの感度が鈍くなっているだけであることを願っている。

結局、音楽業界はインターネットの普及によって音楽が「タダ」になってしまったことにいまだ有効な手を打ち出せていないのだと思う。Youtubeがサービスを開始した2005年頃からずっと言われ続けている課題だが、いまだ解決策が見あたらない。音楽家の個人個人は、すごくがんばっている。自分たちが食べていけるように、「マネタイズ」の方法を日々模索している。それはわかっている。でも、もうとっくに崩れている既存の音楽業界の仕組みに自らが死ぬまでしがみついていたい人たち(おそらく彼らは10年以内に引退して「勝ち逃げ」するので、その後のことなんて考えなくていいのだ)の恒常性バイアスに、若い人たちはとても太刀打ちできていないように見える。組織の上の方にいる人たちは、現状を維持することによって利益を確保しているのだから、変わる必要はない。後のことを考える必要もない。誰だって自分の取り分が減るのはイヤなのだ。当たり前である。これは現在日本において、どの業界にもみられる構造だと思う。

団塊の世代は人口が多いので、多数決の民主主義社会では勝ち続ける。そして日本は民主主義だから、下の世代は何をやっても勝てない。彼らがごそっといなくなるまで、我々は犬死にしないように必死で耐え、近い将来やってくる★超絶★格差社会に向けてエネルギーを蓄え、切磋琢磨しなければいけない。医療業界もそう、出版業界もそう。SMAPですら、そう。かくいう私もそうである。きついなぁ。馬鹿馬鹿しさの真っ只中で犬死にしないようにしたい。

2位 シオカラ節 / シオカラーズ(Splatoonサウンドトラック)

2015年現在における自由な音楽制作の形の一つは、ゲーム音楽にあると思う。ねじ子の今年のベストアルバムはSplatoonサウンドトラック、その名も「Splatune(スプラチューン)」。遊び心満載で、細部までよくできたアルバムだった。

Splatoonというゲームは、イカ人間の皆さんが鉄砲やブラシでペンキをぶちまけながら、地面に塗ったインクの色で陣取り合戦をするシューティングゲームである。このCDアルバムはもちろんゲームのサウンド・トラックなのだが、「ゲームの中のイカ人間の世界で発売された音楽アルバム」という体を取っている。音楽性の異なる6組のイカバンドやイカシンガーがリリースした楽曲を集めたオムニバスアルバム、という設定だ。その設定に乗っ取ったCDジャケットワークがすばらしい。一曲ごとに、音楽レビュー雑誌風の熱いライナーノーツが付いている。たとえば、一番有名なCMにも使われている戦闘音楽のライナーノーツはこれ。

Squid1

この曲を演奏している(という設定の)バンド名は「Squid Squad」。ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人組。いや、4イカ組。彼らの出した二枚目のシングルがこれだ。

「バンドにとって”ヒット曲の次の曲”がイカに難しイカは、想像に難くない。だが、僕らがアゲまくったハードルをカラストンビにも掛けず、彼らはスーパージャンプさながらこの曲で飛び越えていった。」で始まるライナーノーツがついている。終始こんな感じで、実にイカしている。ちなみに彼らは私が今年もっともよく聴いたロックンロール・バンドであった。

今回取り上げたシオカラ節は、ゲーム内のアイドルキャラクターであり、イカ世界のトップアイドルである二人組・シオカラーズが歌っている。

shiokara

歌詞がさっぱりわからない。これはイカの世界の言語、つまりイカ語である。こういうわけわかんない音声にしておけば、世界各地で発売するときに各国語に吹き替えしないですむという大人の事情を逆手に取った手法だ。「これでやっとシオカラ節を歌える!」と歌詞カードをウキウキで開いたねじ子は、ひっくり返ったよ。

 

 siokaraliner2

こちらにもアイドル批評ライナーノーツが付いている。クイックジャパン風でとってもおかしい。
さらにこの曲は元ネタがある(という設定になっている)。なんとシオカラ地方に伝わる伝統民謡である。その名も「元祖正調塩辛節」。シオカラーズは、子供の頃にこの曲を民謡選手権で歌い、優勝したことがデビューのきっかけとなった(という以下略)。こちらもすごくいい曲だ。

これだけ作り込んだ世界観を一つのアルバムに丁寧にパッケージできていることが素晴らしい。

3位 スカッと My Heart / モーニング娘。’15

つんく♂にしか作れない、アイドル・ファンクの真骨頂。鞘師のビートの利いた低い声がよく似合う。マイケル・ジャクソンの群舞を彷彿とさせるダンスも素晴らしい。センターでバキバキに踊る鞘師はまさにマイケルのようである。衣装もかわいい。歌詞も、鞘師のことをそっくりとうつしとったような歌詞だ。この曲は鞘師だよ鞘師。鞘師の曲だよ。2015年の大晦日に突然卒業した鞘師のための歌詞で、メロディで、ダンスだよ。

鞘師は求道者である。我々には彼女のダンスはこれ以上ないほどの理想型に見えるのに、鞘師本人はライブDVDやテレビで自分が歌い踊っている映像を見るたびに、絶望に打ちのめされていたという。鞘師の脳内には完璧なダンスのスタイルがあって、今の自分はまだそこに達していないとずっと感じていたらしい。鞘師が自分で未熟だと思っている「今の自分の表現」も、他人から見れば十分にハイレベルで、誰も真似できないのだが、そんなことは彼女には関係ないのだ。鞘師は天才であるがゆえに、自分のダンスの「あら」が見えるのだろう。そしてその「あら」に耐えられないのだ。だから彼女は「ダンスを勉強しなおす」と言って、海外に留学しようとしている。鞘師は、脳内の理想型に少しでも到達するためにさらなる高みを目指すのだろう。彼女の脳内にある「完璧なダンス」は、我々凡人には想像もできない。彼女の脳内にしか、それはない。レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザの完成形を求め、死ぬまで筆を入れ続けたように、鞘師は芸事に求道し続けていないと心が死んでいってしまうのだろう。だから、鞘師が「完璧を追求したい」と言い出したら、もう誰もそれを邪魔することはできない。それを止めたら、泳ぎを止めたマグロのように彼女の心は衰えていってしまう。実際、2015年の春から夏頃の鞘師には迷いと戸惑いが透けて見えていたように感じる。モーニング娘。卒業を決めた後の彼女は、一転してとてもすがすがしく、新しい目標に向けてのびのびしていた。そしてとても魅力的だった。これが私の鞘師評である。

鞘師がモーニング娘。に加入したとき、そんなストロング・スタイルの女性アイドルは絶無だった。異性に媚び、業界の偉い人に媚び、握手会で太い客に媚びる。歌は口パク、踊りは盆踊り。それが女性アイドルの圧倒的なスタイルとして旋風を巻き起こしていた。彼女はそんな世間の風はどこ吹く風、といった涼しい顔でモーニング娘。に入ってきた。当時のモーニング娘。は人気も地の底であり、スキャンダルまみれで、どこにいっても「まだ続いているの?解散すればいいのに」「AKBに完全に負けたよね」と言われる状況だったけれど、そんなことはまったく意に介さず、堂々と「幼稚園のころからずっとモーニング娘。に憧れていました。私の夢が叶いました」と語っていた。そしてびっくりするほど上手に舞い踊った。広島の、たった12歳の子供が。

彼女がどれだけ私たちの希望だったか、はかりしれない。9期は、鞘師は、私達にとって、明けの明星だったんだよ。こんなにも有望な子が、娘。に入ってくれただけで嬉しかった。5歳の頃から娘。に入るために広島でレッスンしてきたという話を聞いて、心揺さぶられずにはいられなかった。今でこそ「プラチナ期」とか言われて崇められてるけどさ、当時は新しい展開が長い間何一つなくて、新メンバー募集すらなくて、モーニング娘。は閉塞感 に覆われていた。「娘。はこのまま店じまいするのかもしれない」と本気で疑う状態だった。彼女のおかげで、ハロプロは首の皮が一枚つながったのだ。

彼女の実力至上主義は幅広く伝わり、ハロプロに新しい風を吹き込んだ。他のアイドルとの差別化に成功し、多くの女性ファンの共感を呼んだ。大量の女子がハロプロにまた入ってきてくれた。モーニング娘。の現場はいよいよ半数近くが女性ファンになってきている。信じられない。これは確実に鞘師(と9期10期11期とスマ2期)の功績である。鞘師最後の武道館で「マジですかスカ!」が始まった時、モーニング娘。に9期が入ってくれた時の喜びがぶわっと蘇ってきて、ねじ子は泣いてしまったよ。

正直に言うと、鞘師卒業の一報を聞いたときは、そのあまりの性急ぶりと、夏頃の休養(朝布団から立ち上がれなくなった)の記憶から、なんらかの精神疾患の可能性が頭をよぎった。精神疾患の患者さんは、症状が激しい時期に大きい決断をしようとしがちである。そんな時はとりあえず決断を先延ばしにさせる。精神科の教科書にも載っている定石だ。「それなのに鞘師は、精神が落ち込んでいるときに重大な決断をしてしまったのではないだろうか?それは悪手だよ!周りが守ってあげなくちゃ!」と一瞬思ってしまった。私の心も絶望で塗りつぶされた。でも、武道館で鞘師の晴れ晴れとした姿を見たら、そんなの私の勝手な杞憂だって、わかったよ。鞘師はちゃんと考えて結論を出した。周囲と喧嘩したわけでもなかった。本当によかった。私は、鞘師ならモーニング娘。に帰ってきてもいいと思ってる。2年後だってまだ19歳だ。アイドルとしても、表現者としても、まだまだこれからという時期である。彼女の帰還を楽しみにしている。

4位 ラブ♡ボクシング / 清竜人25

何も言わずにMVを見てほしい。真ん中のアフロの男性がすばらしい。彼の名前は清竜人くん。シンガーソングライター。ちなみに一人の時はこんな音楽をやっていた。全然違う。宇宙人のジギー・スターダストがリーゼントてっかてかにしてレッツ・ダンスするヤング・アメリカンになるくらい違う。ずいぶんと吹っ切れたもんだ。

周りの6人の女性はみんな彼の妻(という設定)。メンバーは「第○夫人 清●●」という名前で呼ばれる。結婚しているから、女の子たちの名字はみな「清」。清竜人25は、清竜人というフロントマンと、その6人の夫人で構成された一夫多妻(という設定の)ユニットなのだ。

こうなるともう、誰も恋愛禁止とか言わない。だってみんな清竜人の妻だから。アイドルが異性のからむ仕事をすると、ファンの間には必ず「誰かメンバーに手を出しているんじゃないか」という疑念が出る。相手がプロデューサーでも監督でも作詞作曲でもバックバンドでも、そう。それゆえに男女混成ユニットは人気が爆発しにくいとも聞く。でも、そんな疑念も発生しやしない。だってすでにみんな妻だし。むしろ、ここまでいくとメンバーの誰にも手を着けていないんじゃないかって思えてくる。よく考えられた仕組みだよ。

ちなみに第5夫人の清菜月ちゃんは先日活動休止を発表した。卒業理由はなんと「ご懐妊」である。マジかよ。こうなると、なぜか清竜人の子供とはみじんも思わないんだから人間って不思議である。まったく、よくできた設定だよ。妊娠おめでとう。

そしてなにより、抜群に曲がいい。先ほど「アイドル・ファンクはつんく♂にしか作れない」と書いたけれども、清竜人はつんく♂の後を一人猛追している音楽家だと思う。新しい形の和製アイドル・ファンクだ。ファンク歌謡が大好きなねじ子は狂喜乱舞しております。ちなみに清竜人25のアルバム「PROPOSE」初回限定版amazon販売ページの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」には、ずらりと岡村靖幸が並んでいた。そうだよねぇ。みんな和製ファンク・ミュージックに飢えているんだなぁ。わかる、わかるよ。私もそうだよ!

5位 STAR TRAIN / Perfume

今年の女性アイドル市場はさんざんだった。ハロプロのみならず、ほかの女性アイドルものきなみ売り上げを落とし、動員を落とし、解散やメンバーの脱退が相次いだ。膨れ上がったアイドルバブルは徐々に終息に向かっているのだろう。まあハロプロは何も変わらずに続いていくのだろうけれど、市場全体が冷え込むのは望ましいことではない。

そんな中でPerfumeは唯一、その魅力をさらに増した女性アイドルグループだった。Perfumeがブレイクして幾星霜、あまたのエピゴーネンが生まれ、握手アイドルの台頭があり、そのついでに口パクだと叩かれ、きゃりーぱみゅぱみゅの流行があり、数々のお祭り騒ぎが起こっても、そのすべてを素通りしてPerfumeは地道に音楽をやり続けている。その姿は美しい。結局、誠実に作品を作り続けているところは順当に生き残るんだな。希望のもてる結末だ。この曲のサビの「I don’t want anything」「Music is everything」は、彼女たちの誠実なたたずまいを象徴するすてきな歌詞だと思う。

6位 Vanguard / JAM Project

私が今年一番たくさん聴いて、一番口ずさんだアニメソング。JAM PROJECT最高。影山ヒロノブ最高。歌詞もいいし、曲も文句なく熱い。歌唱力も一級品だ。でも2011年なんだよね。再放送で見た『カードファイト!! ヴァンガード』アニメの第1期シリーズも面白かった。

7位 マジカル☆チェンジ / マジカル☆どりーみん

女性アイドル関連で2015年私がもっとも衝撃を受けたのは、ドロシーリトルハッピーの分裂劇であった。ドロシーはもともと、メインのお姉さん2人と、若い3人の合計5人で構成された仙台ローカルアイドルである。まさにその名の通り、小さな幸せを届ける田舎の純朴な少女たちそのものという上品な立ち振る舞いで、歌唱力もあり、惹かれる人も多かった。

今年の初旬から、若い3人が「グループ内ユニット」としてcallmeというユニットを始めた。そこまではいい。ある日突然、callmeのイベントで3人が上京し、独立・分裂することが発表されたのだ。同じ日に、違う場所で、残された2人も泣きながら分裂を発表した。この時点で、平和に話し合いが行われたとは到底思えない展開である。しかも、分裂するまではあと3ヶ月もあり、その間シングルリリースもコンサートも行うというのだ。どんな顔をしてそれを見ればいいのだ。大人の事情の臭いしかしない。

この分裂劇を、誰がどんな目的で仕掛けたのかはわからない。でも、提供された結論はクソ。どうしようもないほどクソな結末としか言いようがない。ジュエルペットのオープニングとエンディングという大きなタイアップ中にそんなことをしでかしたエイベックスの大人たちには猛省してほしい。「ジュエルペットと一緒にたまプラーザでリリースイベントやるよね!ドロシーちゃんなら見に行きたいな!」とウキウキして発売週を待っていたねじ子の純粋な気持ちを返してほしい。分裂させるつもりなら、アニメのタイアップなんか取るなよ!ジュエルペットに失礼だろ!放送開始日からわずか24日で分裂発表しやがって!さらに、実際の分裂はけっこう先で、エンディング曲発売の2ヶ月後っていうね!当然、ジュエルペットのアニメの間に流れるCMでは5人とも映っているっていうね!こいつら半分以上いなくなるんだよ!?どういう気持ちで見ればいいのさ!?とてもCDを買う気になんかなれないよ。当然のようにシングル発売のイベントはいっさい開催されず、売上も散々であった。

極めつけは、5人体勢最後のコンサートでの最後の挨拶だ。出ていく方のグループのメンバーが不安を口にして次々と泣きだし、果ては残る方のリーダーの挨拶中に、出ていく方のリーダーがガチの口喧嘩をふっかけ、言い争いをはじめたのである。もう笑っちゃうよね。笑うしかないよ。小さな幸せを届ける田舎の純粋な少女たちが連れていってくれた魔法の国は、いったいどこへ行ったんだ?もうこうなってしまったからには、ドロシーリトルハッピーの2人もcallmeの3人にも頑張ってほしいけど、エイベックスの大人たちには「客を舐めるのもほどほどにしてね☆」という言葉を送りたい。……と、ここまで書いたところで、SMAPがさらに下をいく醜悪な展開で解散騒動に巻き込まれていた。いやー、ドロシーの分裂劇のほうが、本音が聞けたぶんだけ、まだマシだったな!よっぽど面白かった!SMAPについては企業のメンタルヘルス管理的に看過できない状態なので、また改めて書きます。

話がそれた。で、この曲はオープニング曲。ドロシーリトルハッピーとGEMとX21(すべてエイベックス所属)という3組のアイドルグループから2人ずつ選抜された、計6人の選抜ユニットである。ドロシーリトルハッピーから選抜された2人は、違うグループに分裂しちゃいましたとさ。ちゃんちゃん。そんなことやってるからアニメのジュエルペットが終わっちゃうんだよ!いや、ジュエルペットが終わることにエイベックスは関係なかったな。「SNS向け銀魂」であるところの「おそ松さん」があれだけ受けているのに、「女児向け銀魂」ともいえる「ジュエルペット」シリーズが終わってしまうとは、ねじ子の厭世感も増すばかりである。「本物の銀魂」こと、週刊少年ジャンプの銀魂の連載も最終章に突入するらしいしなぁ。はぁ。

8位 Friend List / スプラトゥーンサウンドトラックより

2位と同様、スプラトゥーンのサントラより。ロックンロールの楽曲が大衆に影響を与えなくなって久しい。そもそも、ロックンロールはきちんと現代の若者の心にも鳴り響いているのだろうか?アメリカではもうロックなんてGeekしか聴かない音楽になっていると聞くし。TVでもアニメのOPとEDでしかロックンルロール・ミュージックが流れないし。ギターとベースとドラムの三重奏が生み出すグルーブを何よりも愛しているねじ子はとっても心配です。そして確かに、私の心の中でも新しいロックンロール・ミュージックが鳴り響く機会が減ってきました。そんなねじ子が今年もっとも聴いたロックンロール・ミュージックはスプラトゥーンです。これでいいのでしょうか。

9位 Firework / Czecho No Republic(チェコ・ノー・リパブリック)

あ、これはロックだな!中島早貴ちゃん目当てで見始めたテレビ東京系コント番組「SICS」のエンディングで知った曲。「SICKS」は非常に面白かった。最初は、ネットで散見される極端な人たち(腐女子・処女厨・既婚女性・ハメ撮り流出など)の特徴を拾い集めて揶揄しているだけの、ありがちなコント番組だと思っていた。ところが実はすべてのコントに伏線がはりめぐらされていて、回を重ねるごとに着々と謎が解かれていき、最後にはすべてのコントがつながって一つの大きなバイオサスペンスドラマになっていった。SFでもあり、銃撃戦もあり、アクションもあり。その中で、女性向け同人作家であるリコポン(中島早貴ちゃん)は、相方のマユ吉先生とともに世界を救うヒロインになっていく。

私自身がオタク女であるがゆえに、当初は「はーん。ネットで必死に集めた情報から、現実にはありえない腐女子像を勝手に作り上げられて、笑いの対象にするやつね!」というありがちな憤慨を覚え、斜にかまえて見ていた。映画『ティファニーで朝食を』のステレオタイプで戯画的な日本人「ユニオシ」を白人俳優が演じて笑いを取っているのを見るような、白けた気持ち。でも、回を重ねていくとそんなのどうでもよくなるくらい脚本が面白かった。

「nkskにはオタクっぽい要素なんてないのに、どうしてこんな役にキャスティングされたんだろう?」という疑問は、その後、彼女が「騙されやすいアイドル(略してサレドル)」になった瞬間に吹き飛んだ。これは確かにはまり役だ。nkskちゃんってば日本一・大人に言われたことそのままやっちゃいそうなアイドルなんだよ。彼女の巻き込まれ力は異常だよ。嬉唄ちゃんの脱退を皮肉った寸劇をやらされたりとかさ、よろセ(以下自主規制によりカット)とかさ。

10位 シャクシャイン / 水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラを初めて聴いたときのねじ子の勝手な感想は「ニコニコ動画系・ピチカートファイブ」。ピチカートは渋谷系、つまり東急鉄道沿線の雰囲気を漂わせたハッピーでキャッチーなお洒落ソングだったけど、これはネットカルチャーの雰囲気が充満した、ダウナーで、けだるくもグルーヴィーなお洒落ソングである。

私は音楽に疎いので、彼らの音楽のジャンルはわからない。あえて言えばヒップホップなのかな?ファッションアイコンとして完璧な女性・コムアイのボーカルと、打ち込み音楽家ケンモチヒデフミとの幸福な出会い。その結果生まれる音楽。その化学反応ぶりが、ピチカートファイブの野宮真貴さんと小西康陽さんによく似ているのだ。

歌詞にはぶつ切りの単語とダジャレと語呂合わせが多用されている。でも決してバラバラではなく、きちんとつながった言葉が散りばめられている。イメージからさらにイメージを引き起こしていくかのような歌詞だ。早口言葉っぽいとも、Wikipediaっぽいとも言える。音楽とリズムが何よりも大切で、音符に乗りやすい単語を順番に乗せていくとこんな風になるのだろうか?私は好きだけど、好みの分かれる歌詞だと思う。

ライブも変。ディス・イズ・サブカル。

以上です。次回はハロプロ楽曲ランキングでお会いしましょう。

2014年ハロプロ「歌詞だけ」ランキング

2014年ハロプロ「歌詞だけ」ランキングです。あくまでも歌詞だけ、他の要素には完全に目をつぶっています。つんく♂さんハロプロ総合プロデューサー卒業の発表の日に、あえて上げます。

※ここに書かれているのはあくまでねじ子個人の解釈です。「俺の解釈と違う!」と感じることもあるでしょう。歌詞の解釈は人それぞれです。むしろ100人が読めば100通りの読み方ができるのが素晴らしい詩というものであり、素晴らしい芸術作品だと思います。

1位 普通、アイドル10年やってらんないでしょ!? / Berryz工房

個人的な共感で1位(共感の詳細は2014年ハロプロ楽曲ランキングで書きました)。共感要素がなかったら「1億3千万総ダイエット王国」が1位だと思う。

ハロプロのアイドルにはルーティンワークが多い。毎年1~2月にハロコンがあり、3月にひなフェスがあり、春と秋に長い全国ツアーがあり、夏休みと冬休みにハロコンがあり、年末にカウントダウンがある。この周期からぶれることがない。いったんハロプロに就職してしまえば、その女の子には(よほどのことがない限り)半永久的に仕事と給与が与えられる。福利厚生が手厚い。そんな環境の良さから、ハロプロはよく「アイドル界の公務員」と揶揄される。

でも、その仕事は決して楽ではない。小中学生のうちから自由を制限される。プライベートで水着を着られない。プールも温泉も公衆浴場も入れない。買い物もお食事も部活も勉強もまともにはできない。土日と放課後はすべてつぶれる。もちろん、学校では周囲から浮く。浮くくらいならまだいい、いじめられることも多いときく。デビュー前と同じ学校にはいられなくなってしまうことも多い。

歌や踊りが上手ければ順風満帆、と言うわけでもない。顔が可愛ければいいわけでもない。普通の人間でも、思春期には自分と世界との居心地のいい距離感をさぐって右往左往するものだ。魑魅魍魎が跋扈する芸能の世界の中で、それをやっていかなければいけない。他にもたくさんの女性アイドルがいる中で、どう個性を出していくか。どう立ち位置を確保するか。自分の頭で考えて、自分だけの幸福をつかみ取っていかなければならない。辻加護加入以降の「ハロープロジェクト」という組織は、まだ何者でもない10代の女の子たちが10年かけて自分のキャラクターと進路を確定していく過程を、屋根瓦のように積み重ねて客に提供していく重層構造になっている。

10年後の最終的な結論が「芸能界引退」でもよし。学芸員とアイドルの両立でもよし。結婚出産ママドルでもよし。モデルや女優を目指してもよし。何でもいいから全力で自分の道を決めて、全力で突き進んでくれればいいのだ。ハロヲタは何でも受け入れる。自立に向けてあがく姿こそが思春期の美しさであり、ハロプロの面白さである。Berryz工房は12年かけて確かに完全に自立した。自立したからこそ、ハロプロという「優しい檻」からは出ていく時期なのだと思う。

私だって本当はいつまでもBerryz工房を見ていたかった。活動停止なんて認めたくなかった。久しぶりに会った知人に「Berryz工房活動停止なんですね!ニュースを見てまっさきにねじ子さんの顔が浮かびましたよ!大丈夫でしたか?」と心配された上に、「あー、大丈夫ではありませんでした……。一週間くらい自分を失ってましたかね……。はは……」と、ふらふらと目を泳がせながら答えている有様である。Crazy完全にダメな大人。

2位 1億3千万総ダイエット王国 / Berryz工房

平成の東京に住む20代前半の女子が、朝起きて家を出て、満員電車に乗って、仕事して、ご飯を食べて、家に帰る。決まった恋人はいない。昨日と何も変わらない一日が、また始まる。その道すがら、一人で歩きながら頭の中で適当に巡らせている意識をすべて文字にしたかのような歌詞である。主人公の女の子に去来する思念を、切れ目なく直接的に映し出していく文体だ。これはジェイムス・ジョイスが名著「ユリシーズ」の中で実践していた「意識の流れ」とまったく同じ手法である。「ユリシーズ」は20世紀初頭のダブリンのとある1日の物語だが、「1億3千万総ダイエット王国」は21世紀初頭の東京のとある2日間の物語である。つんく♂はこの歌で、平成の東京の女の子限定でジョイスに並んだ!とねじ子は勝手に確信している。

「朝起きてすぐメイクでユラユラの通勤がキツイ」「昨晩のビュッフェディナー胃もたれ」「天に誓う今日からのダイエット」よくある朝のOLの出勤風景である。ビュッフェディナーに出かけられるのだから、そこまで貧乏ではない。多少はお金を稼いでいる。

そして唐突に「恋したい」と来る。つまり、今は恋をしていない。

仕事でいろんな人に会う。若い女性に会った人間は、まず外見でこちらのことを評価する。「どいつもこいつも美人好き」である。最初から私の中身を見てくれる人間なんて、ほとんどいやしない。若い女性であればあるほど、人の評価基準における「外見」の占める割合が大きくなる。腹が立つ。外見を磨く努力をどうしても(ある程度は)しなくちゃいけない。ダイエットに励まざるをえない。めんどくさい。本当はただ楽しく過ごしていたい。外見なんか関係なく誰かを愛したいし、愛してほしい。でも、そんな相手もまだいない。

ダイエットを決意していても夜ご飯に誘われる。もちろん行く。最初から「割り勘だし元とろう」と宣言しているから、相手はおそらく恋の対象ではない。同性の友人か仕事仲間あたりである。ご飯はおいしい。とてもおいしい。食べることは生きることである。

そして唐突に「生きている意味が知りたい」と来る。この導入が秀逸である。都会に生きる女性にとって、食べることは唯一の「生命の根元に繋がる」行為なのだ。食べることで大地につながり、生命につながり、自分が動物として生きていることを実感する。自然と隔絶した都会の中でサービス業に従事する女性にとって、「食べること」しか生きていることを実感する手段はないのだ。次に来るのは「愛する意味を知りたい」つまり主人公はまだ恋愛を知らない。彼氏ができれば、恋愛やセックスの要素が人生に加わり、「生きている意味」や「生命の根元」をその身に実感できるのだろう。でもまだ、それもない。食べることだけが唯一の生命維持活動となる。

そしてさらに唐突に「優しい人になりたい」「この世の為になりたい」と発展する。食べること以外に生命を実感する行為がない、と断言しながらも、誰だってただの「うんこ製造器」にはなりたくないのである。誰かの役に立ちたいし、世の中の役に立ちたいし、「私の本当の意味を知りたい」のだ。

さらに不幸なことに、彼女にはそんな焦燥感を相談する相手もいない。思春期女子の歌だったら、2番のBメロあたりで唐突にママや姉貴や大切な親友あたりが登場してアドバイスをくれるのがつんく♂の定石なのだが、20代社会人にもなると、もう家族にも友達にもなかなか人生相談ってしにくいんだよね。だからこの曲は、どこの誰にに向けているのかすらさっぱりわからない「お願い」の連呼で終わる。漠然と、そこらへんにふわふわと漂っている八百万の神様に、「お願い」と連呼するしかないのだ。そんな孤独も、都会で働く20代女性の歌として大いに共感できる。私も20代前半はずっとずっとこんなことを考えていたよ。

ちなみにこの曲は医学的にも正しい。昔で言う拒食症、正確な診断名でいう「神経性食思不振症」は女性に多く、周囲から見たら病的なまでに痩せやせていても、本人は「まだ太っている」と思いこんでしまう。この思いこみはなかなか外れない。人間が最も長寿を保つのはBMI(体重kg÷身長m÷身長m)=22とされている。メディアでもてはやされている若い女性の体型はおそらくBMI=17くらいで、これは明らかにやせすぎである。本当は、そこまでやせているとかえって健康的ではない。でも、メディアによって幼い頃から「美しい女性の理想はこれだ!」と洗脳されてしまっているんだから、どうしようもない。すべての人間が「もっと痩せる」ことを目標にせざるをえなくなり、結果として「日本国中 年がら年中ダイエット中」になってしまう。そして神経性食思不振症は、完治が非常に難しい病気で、致死率も高い。どんなに痩せても、「私はまだ太っている」という思いこみをなかなか消すことができず、結果として栄養失調で死んでしまうのだ。医学的にはいい迷惑である。女性アイドルを体型のことで叩く心ない人たちは、その女の子の一生を台無しにする可能性を秘めた鬼畜の所行を自らが行っていることをよく自覚してほしい。

3位 TIKIBUN / モーニング娘。’14

TIKIBUNって何のことかと思ったら、「チッ」気分、つまり「舌打ち気分」ってことなのね。「笑顔の君は太陽さ」は2013年にモーニング娘。が紅白に出場できなかった悔しさを歌詞にした曲だった。今回の「TIKIBUN」は2014年にモーニング娘。が紅白に出場できなくてムカムカしている気分を歌った曲である。つんく♂にしてはめずらしくネガティブな情景描写の後に「TIKIBUN」というフレーズが繰り返される。「寝不足は寝るしかない」というフレーズがいい。そして特に素晴らしいのはサビの歌詞だ。

「Here we go!炎上したってなんも恐れない その全部にウソがないなら良い 君が創造(うみだ)したんだし
Here we go!チャチャ入ったって何も動じない 自分信じて突き進めば良い 君の全てなんだから」

SNS全盛の現代日本において少しでも何かを表現しようとしている人間すべてが共感できる歌詞だと思う。全員が賛成する意見など、この世に存在しない。何かを言えば、必ず誰かが異を唱える。賛成の意見が10000人中9999人で、たった1人だけが反対しているという状態なのに、その1人が発言者に対して強烈な攻撃を加え続ける、という状態が各所で勃発することになる。

そもそも、全員が賛成する無難な意見には新鮮味や面白味がないから、発信する意義に欠ける。なにか面白いこと、人目を引く意見を言おうとすれば、そこにはどうしても「批判」「炎上」「賛否両論」のリスクがつきまとうのだ。昔はそのリスクを負うのは限られた文筆業・出演者の人間だけだった。ところがソーシャルメディアが盛んになった今は、インターネットにふれるすべての人間に「発言」の機会が与えられ、結果として「炎上」のリスクがすべての人間に広がっている。

アイドル含む表現者たちは、その中で何としても生き残っていかなければならない。ブログもツイッターも上手に使い、テレビや雑誌やコンサート会場で生の発言をすることでセルフ・イメージを上手にコントロールしなければいけない。無難なことしか言わないのも、それはそれで人気が上がらない。少しでも言い過ぎた表現を使えば、とたんに叩かれる。どこに正解があるのか、誰にもわからない。そんな中で発信し続けるのは非常に骨が折れることだろう。

それでも、ねじ子がハロプロの女子たちに一番求めるのは「自分の言葉で語ること」である。自分の言葉がまだ出てこない若い子たちはまぁしばらく静かにしていればいい。でも自分の言葉がある子たちは、率先して前に出て、言いたいことを言ってほしい。ブログも好きに書けばいい。Twitterもやればいい。Twitterを取り上げたくせにろくに出演番組の告知もしないのは言語道断である(あ、これはBerryz工房とスマイレージの当時のスタッフに対する明確な批判です)。思うことを思うようにやってほしい。「従順なお人形さん」が見たい人たちは、とっくに二次元や他のアイドルに移動したよ。言いたいことを言えばいいし、やりたいようにやればいいのだ。恐怖で萎縮しているのが一番つまらない。

だから私は、成人式に参加できず「一生恨みます」とブログで不満を爆発させたあやちょのことを大いに評価している。彼女には、賛否両論どちらの意見も受け止める覚悟がきちんとあっただろう。言論とはそういうものである。なにより彼女の心の叫びを聞けたことが嬉しかった。

P.S. 松島みどり先生に衣装監修をお願いするのはもうこれきりにしてください。

どうせ当時発足した第2次安倍改造内閣に便乗して「女性が最も多い組閣人事だ!よし!これからは女性が輝く時代!女性管理職をもっと増やせって諸外国からも圧力かかってるし!」ってノリで、キャリアウーマンのビジネススーツ風にしたんだろうけどさぁ。でも第2次安倍改造内閣、すぐにつぶれちゃったね。残念。ビジネススーツにだって、もっといろいろあると思うよ。

・・・と思っていたら今度はJuice=Juiceが社民党にヘアメイクおよび衣装監修をお願いしてた。いやーん、もうやめてぇ。

4位 愛はいつも君の中に / Berryz工房

2014年のベリの曲はすべていい。散り際が最も美しい桜のようであった。

世の中には愛の言葉があふれている。「アイラブユー」という歌詞を入れると、流行歌の売り上げは格段に上がるという。でも、声高に愛を歌っても、コンサート現場で「ちなみー!俺だー!結婚してくれー!」と叫んでも、Twitterで愛の文字列をつぶやいても、ブログに熱い文章を投げつけて全世界に愛を叫んでも、それ自体は何も生み出さないし、何の意味もない。

現実の恋愛だってそうだ。憧れている男子の部活動を校舎のすみからそっと覗いていても、二人で花火を見た後に柳の葉のかげでそっとキスをしても、布団の中で愛の言葉を照れくさそうにささやいても、それはすべてほんの一瞬の出来事である。何かの結果を生み出すものではないし、何かを期待しても無駄である。期待した通りの結果など得られない。たとえそれが家族や恋人であったとしても、自分の思うままに他者を操ることなどできない。誰かを愛するってことは、いつだって自分の心の中だけのきわめて個人的な事象である。誰かを愛しいと思うことで、自分の心が一瞬でも満たされ、癒されればそれで十分なのだ。それ以上いったい何を望むというのか。「愛はいつも君の中で光る」ってのはそういうことだと思う。「愛おしいという感情はいつだって個人的なものである。外の世界に過度の期待をするな」と。それをたった一言「愛はいつも君の中で光る」という言葉に集約し、リフレインさせるつんく♂はたいした詩人だと思う。

軍歌のような曲調はおそらく日本が集団的自衛権を認めた時期の楽曲であることが背景にあるのだろう。アメリカB級映画のセクシーポリスみたいなみやびちゃんがおもしろい。明らかにやりすぎ(誉めている)。りさこの金髪ボンバーな髪型もやりすぎ(誉めている)。

5位 伊達じゃないようちの人生は / Juice=Juice

これぞ金澤朋子の曲。「そりゃたまに誰かと食事もするでしょう 繋がりもこれだけ生きてりゃあるでしょう そのへんを逐一説明するなんて 暇じゃないようちの人生は」もう、完全にかなとも。

かなともは高校2年生からアイドルの道に入った。私はちょうどいい時期だと思う。でも、一番金を出す男性アイドルファンに言わせると、アイドルになるには「遅すぎる」らしい。ハロヲタのロリコン紳士たちにとっては、高校生からアイドルになるようではもう遅いのだ。「それまでの間に彼氏がいたのではないか」「素行不良があったのではないか」」「それが将来暴露されるのではないか」と不安になり、心おきなく推すことができないらしい。うーん。まぁ確かに世の中にはリベンジ・ポルノを仕掛けてくる馬鹿な元彼もいるし、嫉妬に狂った同級生女子による下らない暴露(嘘含む)もあるし、そんなもろもろをタッチ一つで簡単にできるご時世でもある。たとえ嘘八百であったとしても、その情報は真偽不明のまま永遠にインターネット上に残り、タレント・イメージを傷付けるには十分な武器になったりする。いやな時代だ。繊細な男性ファンの懸念も、わからんでもない。

でもなー、そんな文言を見るたびにねじ子は芥川龍之介先生の言葉を思い出すんだよ。

「勿論処女らしさ崇拝は処女崇拝以外のものである。この二つを同義語とするものはおそらく女人の俳優的才能を余りに軽々に見ているものであろう。」 芥川龍之介『侏儒の言葉』より

人材の幅を狭めるのはよくないよ。人妻も子持ちも、スナック勤めの経験者も、元オリンピック選手も、ヤンキー上がりも、外国人も、茶髪も金髪もアフロも、チビものっぽもデブも貧乳も巨乳もいてこそのハロプロではないか。私はかなとものこれからをとても楽しみにしているよ。「レッスンは続くよ どんなときも」だよ。いま真摯にレッスンしてどんどん上手になっているんだから、それでいいじゃないか。かなともには歌詞の通り、もっともっと開き直ってほしいし、夢も恋も両方手に入れてほしい。

2番の「もたれかかる君の肩 せまってくる月曜 Yes 現実はそろそろ 帰らなけりゃ」って歌詞もいい。月曜から仕事なんだよねぇ。日曜にデートできる時間って、働く女子にとって貴重なんだよねぇ。別に月曜からの仕事が、嫌ってわけじゃないんだよ、いやむしろやる気まんまんなんだ。仕事も、彼氏との時間も、どっちもうまくやりたい。金も名声もすてきな彼氏も、どれもこれも全部欲しいんだよ。まさに「夢も恋も両方手に入れたい」のさ。この強欲さは、全能感に満ちあふれた社会人1~3年目くらいの、美人女性によくある症状である。幸運を祈る。

6位 I miss you /℃-ute

ファミコン音源みたいな三重奏の曲。とても変わった試みで面白い。℃-uteちゃんたちの歌唱テクニックがここぞとばかりに見せつけられている。歌詞はよくある、ひっかかりのない流れである。「大人だし」という歌詞と、まったく大人っぽくないクネクネした動きをする舞美がとても面白い。舞美に色っぽさを求めるのはいいかげんやめていただきたい。

この曲の歌詞の真骨頂はCメロの愛理ソロ「カフェで一人 お茶してる 深夜過ぎ 誰にも会いたくない時もあるよ」である。深夜過ぎまで開いているカフェという時点で、かなり都会でアンニュイにふけっていると予想される。ほぼ100パーセントの確率でスターバックス・コーヒーである。愛理の地元である千葉県のベッドタウンの駅前にあるドトール・コーヒーでは決してないし、24時間営業のマクドナルドで100円コーヒー片手に5時間ねばっているわけでもあるまい。もっともっと、「おしゃれ」を気取った場所に決まっている。愛理ほどの美しい女性が、一人で都会のカフェで深夜にアンニュイを気取っているのだ。この一文だけで面白い。いろいろなことが想像できる。

まずは、日本って治安がいいよねってこと。そして、子供だった愛理が今時の若者らしい「意識の高い女子大生」に成長したことを見事に表現している。

愛理は昔から自意識が高かった。自己演出も上手だった。今はそれを「セルフ・ブランディング」って言うらしいね。知らなかったよ。歌やダンスに対する努力も人一倍重ねてきた。その努力は実り、℃-uteのセンターになり、ハロプロ全体でも一番人気になり、慶応ガールになり、今がある。素晴らしい。どこにも間違いはない。完璧な人生設計である。

しかし、これらはすべてソーシャル・メディアで散見される「意識の高い女子大学生」の定型にぴったりと重なってしまうのである。これが彼女の不幸である。彼女自身は10年前から変わっていないのに、ソーシャルな世界の成り立ちの方が変質して、彼女に寄り添ってきてしまった。世の中にあふれる「意識の高い女子大生」は、本人はいまだ何も成し遂げていないにも関わらず、言葉だけはやたらと上から目線で高圧的だから、見ている側の笑いを誘うのである。現実と理想の乖離が面白いのだ。でも、愛理はたくさんの仕事をすでに成し遂げた立派な社会人でもあるんだから、現実と理想の乖離なんてどこにもないはずである。少なくとも歌とダンスとアイドルの世界に関してなら、彼女は何を言ってもいいはずだ。

結局のところ、愛理は何も変わっておらず、彼女を見る「周囲の目」の方が変わってしまったのだと思う。そもそも、自分より学歴が高い女性を好む男性は(残念ながら)少ない。さらにその中でも、「意識が高い」女子は男性には好まれない。いや男性だけでなく、女性にも苦手とする人は多いかもしれない。私自身は「愛理は今が一番おもしろいぞ!慶応大学卒業後は、いったいどうなっちゃうんだろう!ワクワクする!」と思っているが、これはおそらく私が傍観者だからである。

そんな彼女に勧める方法はただ一つ。気にするな。好きなようにやれ。我が道を進め。どんどん貪欲にステータスを上げていってほしい。意欲的に戦う20代女性に道は2つしかないのである。進むか、今の場所にとどまるか。愛理は「進む」と決めているのだろう。ならば進め。貴女自身の努力で手に入れたステータスを、誰にも手が届かないレベルまでどんどん積み上げていってほしい。とりあえず、ファッション雑誌「Ray」の専属モデルのお仕事が順調なようでなによりである。

あまりに違う次元にいった人間には、文句をいう人も減ってくる。嫉妬する人間もだんだん少なくなっていく。その高みにまで突き進んでほしい。目的地に行くまでは外野からいろいろ言われもするだろうが、気にするな。それこそが人生だ。まぁ今の愛理がいったい何を人生の目標にしているのか、私にはよくわからないんだけどね!彼女の人生の目標が決まった時が、℃-uteの将来が決まる時なんだろう。

アイドルとしての℃-uteに残された時間は、おそらくあと2~3年程度だと思う。その2年でどんな展開を見せるか、そしてその後どうなるのか、とても楽しみにしている。(2015/9/9)

ねじ子の2014年俺コンランキング・ハロプロ編 おへその国は今日も快晴

今年のハロプロは激動の年だった。12年選手の道重さゆみがモーニング娘。’14を卒業し、11年選手のBerryz工房が活動停止を発表し、スマイレージは消滅した。入れ替わるようにアンジュルムが生まれ、カントリー・ガールズが生まれ、モーニング娘。’14にも新人が4人入った。そして何といってもつんく♂さんが病気になって、つんく♂さんの曲が激減した。その穴を埋めるように新しい制作者陣が続々と入ってきている。メンバーのみならず制作者にも一気に卒業と加入が行われた激動の年だった。

この改革の一番の原因はやはりつんく♂さんの病気にあるのだろう。喉頭ガンは命に関わる大病だ。これまで働き過ぎなくらい働いてきたのだから、少なくとも2年間くらいはゆっくり休んで欲しい。そして療養の中で生まれる音楽があるならば、無理のない範囲でそれを私たちに聴かせて欲しい。

失われていくものを見るのは非常につらい。けれど新人たちはみな生き生きとして、ステージに立てる喜びに満ちている。2014年大晦日に行われたハロプロカウントダウンライブも、2015年初頭のハロコンも非常に楽しかった。特にお正月のハロコン~DANCE MODE!~は「こんな楽しいハロコンは見たことがない!」ってくらい高揚した。盛り上がる曲を集めたセットリスト、客席光臨、適材適所の歌割(まーどぅが『Say Yeah! もっとミラクルナイト』の辻加護の台詞をやってくれて本当にうれしい。ねじ子の満願成就だ)、ダンスの見せ場の多さ、アクロバティックな過剰演出が爆発していた。新人だらけの2015年のハロプロは近年まれにみる面白い年になるだろう。私はとてもわくわくしている。

1位 プリンセス・マーガレット / マーガレット+ジャスミン・クレマチス・ミモザ

さっき書いた。ジャスミン役の田辺ななみちゃんが引退しちゃって悲しい。心が折れちゃったのかな。

2位 シャバダバ ドゥ~ / モーニング娘。’14 道重さゆみ

極度にかわいい。数々の「道重ソング」(道重さゆみの歌割が多い「さゆっぽい」曲のこと。『涙が止まらない放課後』『レインボーピンク』『わ~MERRYピンXmas!』『彼と一緒にお店がしたい!』『大きい瞳』『Fantasyが始まる』『好きだな君が』『ラララのピピピ』『赤いフリージア』などが含まれる)の中でも最高傑作だ。つんく♂と道重さゆみが11年かけて作り上げた集大成だと思う。卒業ツアーでも、ウィスパー・ボイスを駆使してきちんと生歌で、音程をまったく外さずに歌っていたから驚いた。さゆみん、ますます成長したね!あ、『赤いフリージア』は1音目から盛大に外してたけどね!

歌詞は完全に道重さゆみへの「あて書き」である。ハロプロの後輩が今後歌い継いでいくことができるか心配になるほど、あて書きだ。1番が女性アイドルとしての心得(つまりハロプロファン対策と内部対応)、2番がTVのバラエティー番組に出るときの心得(つまり対外メディア戦略)を後輩に指導する内容になっている。このふたつは、どちらかを突出させるとどうしてももう片方がおろそかになる、いわば等価交換の関係だ。それなのに道重さゆみはハロプロ史上初めてこの2つを完全に両立させた。彼女の成し遂げた偉業の一つである。

今現在、完璧な戦略でTVバラエティ・アイドルとして天下を取っているももちこと嗣永桃子は、はたしてこの2つを今後両立させることができるのだろうか?非常に楽しみである。とりあえず彼女がプレイング・マネージャーを務めるカントリー・ガールズにはおおいに期待している。カントリー・ガールズの一番人気に躍り出た島村嬉唄ちゃんが、その恥じらいや照れや初々しさをそのままのパッケージで客前に提出できている一番の原因は、やはり桃子にあるのだろう。桃子がいるから、彼女はあのままでいいのだ。嬉唄ちゃんがどんなにへっぽこでも照れてもミスしても、桃子なら絶対に面白く拾ってくれる。どんな板の上でもどんなカメラの前でも絶対になんとかしてくれる。だからこそこっちは安心して見ていられるのだと思う。

3位 時空を超え 宇宙を超え / モーニング娘。

シンプルにいい曲。メロディもアレンジも歌詞も衣装も演出もいい。今のモーニング娘。の売りはEDMとフォーメーションダンスだが、この曲では自慢のフォーメーションがむしろ邪魔になってるとさえ思う。そのくらいシンプルに曲がいい。

衣装もいい。この衣装で異空間を舞い踊る彼女たちは、宇宙から使わされた天女のようだ。道重さゆみの美貌がそれをさらに引き立たせている。

そして何といっても歌詞である。「君はどんな顔で歌う 君はどんな顔で笑う また次の世でも会えるかな 切ないよ」「遠い未来はわかるのに 明日のことが決められない 優柔不断とは違う oh my heart 愛しくて愛しくて尊さを感じてる 目を閉じて君のこと感じる」切なすぎる。いてもたってもいられないよ。これは彼岸を見た人にしか書けない歌詞である。つんく♂はきっと病気療養中に、我々凡人にはまだ見ることのできない彼岸を見て、この世に残していく(かもしれない)愛しい人たちのことを思いながら曲を書いたのだろう。この曲を初めて聴いたとき、ねじ子は直感的に「このままつんく♂さんは死んでしまうのかもしれない」と感じた。医者にあるまじき言質だけど。あぁ、つらい。つんく♂さんはゆっくり休んでしっかり治療して、そして書きたい曲を存分に書いてください。

4位  普通、アイドル10年やってらんないでしょ!? / Berryz工房

この曲を作った時はまだBerryz工房の活動停止は決まっていなかったという。でも、Berryz工房が丸11年でいったん休止を迎えることをわかっていたかのような曲だ。

歌詞がとんでもなくいい。とにかく泣ける。ねじ子のハロプロ歌詞だけランキング・堂々の第一位だ。カラオケで歌いながら号泣しちゃうもん。泣きながら歌うとびっくりするほど気持ちがいいもん。そんな私を見て周囲の人たちが潮が引くように静まっちゃうから一人カラオケの時しか歌えないもん。

ねじ子も漫画家11年やってるよ。猫だって杓子だってコミケに出れば即漫画家だよ。世界でもまれにみる特殊な職業だよ。それでもたいてい続かないよ。いろんな意味で体力いりまくりだよ。青春全部捧げたよ。バイト感覚じゃ続かないよ。土日も全部捧げてきたよ。大好きなお絵描きだって、仕事となりゃ別腹だよ。それでも漫画家 I love it!だよ。簡単そうに見えるって言われるよ、まさに全部ぜんぶその通りだよ!それでも10年やっちまったんだよ!あ、誘惑は全然ないし、チヤホヤもまったくされないけどな!!

サビ前に突然に挿入される馬の鳴き声がいい。すました顔で馬のポーズをとるメンバーもいい。締めが馬のいななきで終わるのもいい。なぜ。アバンギャルドだよなぁ。メンバーたちが大量にコラージュされた過去の写真を眺めている、という演出もいい。バラバラな衣装もバラバラの髪型もBerryz工房らしい。すべてあわせて彼女たちにしか作れない作品だと思う。活動停止によってこの良さが失われていくのはとても残念だ。

5位 テーブル席空いててもカウンター席 / ハロプロ研修生

今年のつんく♂の良曲は研修生に集まった。つんく♂は本当に新人であれば新人であるほどいい曲を書くな。研修生が2月に出すアルバムはおそらく2015年で一番出来のいいアルバムになるだろう。

まずタイトルがいい。世の新曲情報というのはまずタイトルだけが先に公開されるのが常である。つんく♂が謎のタイトルをつけているときはたいてい良曲である。 ついでにいうとわけわかんないライナー・ノーツを書いているときもたいてい良曲である。「テーブル席空いててもカウンター席」というタイトルだけを最初に 聞いたときは「ん?『テーブル席だと彼と向かい合って座るけど、カウンター席なら彼の近くに座れるし、さりげなく手とかふれあっちゃうかも!? きゃー!!』みたいな女子の初デート曲かな?」と想像していたら、全然違った。「テーブル席が空いててもカウンター席に座って、カフェでバイトしている先輩男子を毎日見に来ちゃうよ。この気持ち、絶対先輩にばれてる!!」という歌だった。うーん、つんく♂の乙女思考にはかなわないな。女子力が高すぎる。遺伝子的にはつんく♂はXYで私はXXのはずなんだけど、おかしいな。

歌詞を体言したミュージカル仕立ての振り付けもいい。主人公の女子役とあこがれの先輩男子役と、ひやかし客の女子大生二人組、それぞれ4人が配役され、毎回違った研修生が演じるのもいい。

そして何といってもこの曲一番のインパクトは「子犬(ワン)ちゃんならおしっぽグルグルだよ」だよ。とんでもない歌詞だよ。おしっぽってさ、グルグルって さ。信じられないよ!最初聞いたとき「ワンチャンスならおしっこキュルキュルだよ」に聞こえて「なんたる変態……。完全につんく♂は越えてはいけない一線 を越えた……」と絶句してしまったが、何のことはない一線を越えていたのは私の耳だった。それでも、それでもだよ。「子犬(ワン)ちゃんならおしっぽグルグルだよ」 も相当すごいよ。しかも「こんな風に分かりやすく目がハートで 子犬(ワン)ちゃんならおしっぽグルグルだよ ラブラブだよ そして デートしたいなぁ~あ 二人で!」ってさぁ。ガンと闘病している患者さんの脳味噌からこんなフレーズが飛び出すって、いったいどういう精神力だよ。ちょっと患者研究に使えそうなくらいすごい よ。つんく♂さんおそれいりました。

6位  Love take it all / ℃-ute

AメロもBメロもサビもCメロも隙のない良曲。おそらくTeam℃-uteこと℃-uteファンの皆さんにはとても受けがよいと思う。メロディもアレンジもダンスも衣装もいい。相変わらずメンバーも素晴らしい。

特筆すべきはイントロとアウトロの小刻みな尻振りである。暴力的なほど細かい。ハロプロのコンサートでは、メンバーになりきって客席で同じダンスを踊る客が非常に多い(これを振りコピという)。40~50代中年男性と思われる小太りのオッサンたちが尻をこちらに突き出して小刻みに振っている姿はまた違った強烈さがある(ほめている)。あのオッサンたち実は社長だったり重役だったりするんだよなぁ。日本の平和を実感するよ。

そんなわけで細部までよくできた良曲なのであるが、ひとつ不満に思う点があるとすれば、それは「歌詞に引っかかりがない」ことである。歌詞があまりに普通なのだ。

もちろん、歌詞に「引っかかり」なんていらないという意見も多い。広く一般に売れるためには、むしろ過剰なフックや主義主張や意味の分からないフレーズは邪魔でしかないのだろう。それはわかっている。「つんく♂の歌詞は変だ。受け付けない」という一般人の意見も多い。それもわかっている。その通りだ。でも生粋のハロヲタのねじ子にとって、この曲の歌詞はどうにも物足りないのだ。小川の水がさらさらと流れていくように、滞りなく流れていってしまう。引っかかりがほしい。多くはいらない。一カ所でいい。「帰りにうどん食べてくわ」の一言だけでいい。キラーフレーズが欲しい。ちなみに℃-uteの新曲「I miss you」には愛理が歌うCメロに強烈なフックがあるので、つんく♂が枯れたわけでもメンバーにインスピレーションがわかないわけでもなく、あえてのっぺりした一般的な歌詞にしたのだと思います。

℃-uteはグループとしてハロプロ最年長になり、舞美ちゃんがハロプロリーダーになったことで新しい局面を迎えている。今のところ性格の良すぎる舞美が大きな愛でハロプロの後輩女子たち全員を包み込んでいる展開だ。その清楚で慈愛に満ちた姿はまるで小説「マリア様がみてる」のお姉さまのようである。それはそれで新しいリーダー像だと思う。舞美にぴったりなのは紅薔薇さまこと水野蓉子さまだな!とすれば佐藤聖さまと鳥居江利子さまは岡井ちゃんと桃子あたりか。小笠原祥子さまはあやちょで、福沢祐巳ちゃんはリカコだな!女子校特有の世界観だから男性ファンにはたまらないだろうな!「マリア様がみてる」もいまや男性読者が8割を占めると聞くし!

7位  Password is 0 / モーニング娘。’14

『時空を超え 宇宙を超え』のカップリング、そしてAUとの巨大タイアップ曲だ。イントロの歌詞はおそらくCMの依頼そのまま。依頼曲丸だしだからファンの評判はあまり よろしくないけれど、私はすごく好きだ。「ゼロ!ゼロ!」と繰り返されるイントロも、小田さくらちゃんの特徴的なバート「I love all 世のすべて愛している」も、サビも強く耳に残る。ダンスも元気があってよろしい。

森三中の黒沢さんの合いの手が入るバージョンも好き。黒沢さんの声に慣れると通常バージョンが物足りないくらいだ。

衣装はAUバージョンの制服は最高で、MVの忍者みたいな衣装は最低である。なんであんな鎖帷子のごとき衣装なんだ?歌詞やコンセプトに合っているわけでもなし、そのくせ色も暗くて可愛いわけでもないというのは、一体どういうことなんだろう?

衣装や髪型をある程度固定することで「人」としてのイメージを固定化させ知名度を上げる、というのは非常に有用な古典的手段である。AKBやももクロはそうやってきたし、ハロプロの中でも嗣永桃子が 「ももち結び」とピンクのふりふり衣装に(周囲の反対にも関わらず)固執し続けることで知名度を上げたことは明白である。彼女のイメージを広めるためにあの衣装と髪型は大いに役立った。スティーブ・ジョブスの黒いタートルネック・ニットとデニムジーンズもそうだし、医療の世界で言えば、今話題の「ユマニチュード」のおじちゃんがもじゃもじゃ頭に白のYシャツ、ピンクのオーバーオールを着ているのだってそうだろ?一発で覚えてもらうための作戦だろ?おかげさまでねじ子も覚えちゃったよ、エマニチュードさん。あ、違ったイブ・ジネストさん。もちろん「あまりにもずっと同じ」なのはつまんないけど、ある程度のイ メージの固定は必要だと思うけどなぁ。

というわけで、今のモーニング娘。に一番に合う衣装は「ステーシーズ-少女再殺歌劇-」や「LILIUM-少女純血歌劇-」で見られたような「白ロリ」だ!!


モー ニングさんよ、1年くらいいろんなロリータ衣装で勝負してくんないかな。日本のロリータ・ファッションって世界でもまれにみる特殊文化だから、クールジャ パンぶることも可能だよ。既製品そのままが嫌なんだったら、『One,Two,Three』の時みたいにロリータ・ブランドの衣装アレンジでもいいよ。あれ、BABY,THE STARS SHINE BRIGHTの服にメンバーカラーのリボンつけたアレンジだったよね!?(※ソースはこちら)あ、どうせならBABYと2年くらいがっつりタイアップしてほしいな!ふりふりのロリータ衣装でガチガチのEDMをバッキバキのフォーメーションダンスで舞い踊る少女たちって、面白いと思うよ!きゃは!ねじ子、なかなかのプロデューサー気取りチャンやな!

2014年は以上です。2015年の俺コンランキング・ハロプロ編は今のところ『愛おしくってごめんね』と『大器晩成』がワンツーフィニッシュを決める予定です。

2014年 ねじ子の俺コンランキング・楽曲編

1位 Liberty & Gravity / くるり

まいりました。今までのくるりの要素すべてを詰め込んだ一曲。情報量がとにかく多い。多すぎる。トラックはなんと90もあるという。90トラック、つまり同時に演奏したら最低でも90人いないと再現できないということだ。オーケストラか。音楽博士の岸田君が古今東西の音楽を聴きまくって、日本の民族音楽の要素も入れて、ものすごい情報量を詰め込んで作り上げた密度の濃いトラックだ。メロディも、くるりらしい攻撃的ロックメロディと、チオビタドリンク的なせつないフレーズと、多種多様な民族音楽的メロディを交互に入れ込んでいる。くるりのすべてが入っててなんだか遊園地みたいだ。

MVの映像もこれまた要素がとんでもなく多くてエキセントリックである。きゃりーぱみゅぱみゅのMVを作り続けている映像作家の田向潤さん作とのことだ。三人の衣装はスコットランドと日本とチベットあたりの民族衣装をキメラさせた謎衣装だし、ダンスも謎に満ちてなおかつかわいらしい現代創作ダンスだし、演出もわけわからんし。でも「6分間でできる『映像芸術』を突きつめるだけ突きつめてぜんぶ詰め込みまくったよ!楽しかったー!」ってことだけはよく伝わってくる。こりゃすごいや。圧倒的熱量に勝てない。この曲のダンスは振りコピするととても楽しいので、ハロヲタのみんなと一緒にライブ会場で踊りたい。ハロプロとくるりが対バンするイベントないかなー!(※絶対にありません)

音楽不況を叫ばれて久しくCDがまったく売れない時代に、よくこれだけの予算と手間暇をかけたレコーディングとMV製作ができていると思う。それが何よりも素晴らしい。その信頼と実績こそ、くるりが20年かけて積み上げてきたものなんだろう。

2位 戦闘!ジムリーダー / ニンテンドー3DSポケモンX・Yスーパーミュージックコレクションより


齢37歳にしてポケモンマスターへの道を歩き始めたねじ子です、こんにちは。あれ?ポケモンマスターへの道、ご存じないですか?ほら、日本に生まれた男子なら一度は通る、あの有名な道ですよ。最近は大人でもまだまだ毎日全力でランニングしている人もいますよね。いやあ険しいですね、ポケモンマスターへの道というのは。なんせ目標が明確に設定されていませんから。ポケモンアニメのサトシも「ポケモンマスターとは何か」という問いにいまだに答えを出さないまま、「俺はポケモンマスターになる!!」と全力で宣言し続けてますからね。あいつ20年も一体何を目指しているんだ。

世の中的に2014年は妖怪ウォッチの年だったようだが、私にとってはポケモン一色の年だった。「ポケットモンスター」のゲームシリーズがこんなに面白いとは思ってもいなかった。ポケモン関連曲も聴きまくった。なんせ20年分の蓄積があるから、がさがさ掘ってじゃかじゃか聴くのがすげえ楽しい。日本のゲームミュージックってクオリティ高いね。日本における正しいクラシカル・オーケストラ・サウンドって、実はゲームの中で発生してるんじゃないだろうか。すぎやまこういちさんの曲を聴くと特にそう思う。あ、さむらごうちさん?の曲もきっとそうだったのかな?あれ、新垣さんだっけ?まあいいや。初代からずっとポケモンシリーズの作曲家兼ゲームディレクターをしている増田順一さんの仕事がとにかく素晴らしい。

今年発売されたポケモンゲーム新作のサウンド・トラックふたつ(『ニンテンドー3DSポケモンX・Yスーパーミュージックコレクション』『ニンテンドー3DSポケモン オメガルビー・アルファサファイヤ スーパーミュージックコンプリート』)はどちらもいいアルバムだった。特に戦闘曲がいい。繰り返しに耐えるループ構造だし、余分な歌詞がないし、なによりも心が戦闘モードになって気力が沸き上がるので作業用BGMに最適だ。曲の量があるので飽きたら別の戦闘曲にすればいい。落ち着きたい気分の時は街や道路のBGMにすればいい。ねじ子が今年書いた原稿はほぼポケモンのゲームミュージックとハロプロのおかげで出来上がっている。その中でも、今年一番再生回数の多かった曲がこの「戦闘!ジムリーダー」だった。イントロの「これから強いジムリーダーが出てくるぞー!」っていうワクワク感がたまらない。おそらく単純な楽曲の良さだけなら「戦闘!フラダリ」「カイナシティ」「オメガルビー チャンピオンロード」「戦闘!マツブサ・アオギリ」あたりが上だと思うけれども、今回はシンプルに再生回数だけで評価した。

3位 プリンセス・マーガレット / 舞台『LILIUM-少女純血歌劇-』より

ねじ子の2014年ハロプロ楽曲大賞曲。まずはモーニング娘。’14とスマイレージによる舞台『LILIUM-少女純血歌劇-』が素晴らしかった。ミュージカルとして完成度が高く、劇中曲も最高だった。白と黒のゴシックロリータ衣装+キャストは女のみ(男性役は男装)+バンパイア+サナトリウム、という、少女漫画でも今時許されないコテコテの中二病世界観の中で、これまた完璧に中二病な展開の脚本がよくできていた。本物の思春期まっただ中にいる、かつ歌もダンスも上手なキャストがそれを演じることでさらなる化学反応が見られる。中二病もゴスロリもサナトリウムも吸血鬼の永久の命も思春期の焦燥感も、行き着くところまで行けばいっそ清々しい気持ちで見られるもんだな。

この作品の中では、思春期の焦燥や気の迷いをすべてまとめて「繭期」と言う。繭期のヴァンパイアを集めた、たえず雨が降る森の中のサナトリウム(もうこれだけでゲップが出るくらい萩尾望都)が舞台で、テーマはヴァンパイアらしく不老不死。いかにもでしょ。でも面白い。同じ脚本家が描いた、この話の前日譚である『TRUMP』(こちらは若手男性俳優だけの舞台)との関連性も、絶望に彩られてよくできている。末満さんにはぜひ仮面ライダーの脚本を書いてほしい。きっと武部プロデューサーが大好きなイケメンゴシックホラーによく似合うお話を作ってくれると思う。

さて、『プリンセス・マーガレット』を歌う女の子(マーガレット)は本物のプリンセスなどではなく、そこらへんの一般人、いや一般ヴァンパイアである。だけど「繭期をこじらせて」自分のことをどこかのお姫様だと勘違いしちゃっている、という設定だ。「自らをお姫様と思いこむ」気持ちは確かに当時の私たちの中にあった。それを表に出してしまう子も、確かに学年に一人くらいいた。そんなマーガレットに心酔した後輩女子が三人いて、マーガレットの取り巻きとして一緒に行動している。「エキセントリックな先輩女子への過剰な心酔」というのもこれまた思春期女子によくある症状だ。彼女たちもおそらく繭期をこじらせている。そして「自らをお姫様と思いこむ」気持ちを過剰に外に出してしまう女子に対して、他の女子は極端に冷たい。LILIUMの中でも、他の女生徒たちは強烈に醒めた目でマーガレットたちを見ている。これもよくあることである。

プリンセス・マーガレットことモーニング娘。の佐藤優樹ちゃんは激しく踊りながらも決してぶれることなく、きゅるるんボイスで完璧に歌いきっている。しかも公演中はアドリブで末尾の音程を上げたり、毎回いろいろアレンジを勝手に加えていたという。ここだけ見てるとまるでメアリー・ポピンズみたいだ。まーちゃんは道を踏み外さなければジョリー・アンドリュースになれる逸材だと思う。道を踏み外さなければ。道を踏み外さなければ。

他のハロプロ曲に関してはハロプロ俺コンランキングを近いうちに書きます。

4位 怪盗ミラクル少年ボーイ / アルカライダー

突然だが、ねじ子が思う「いいアニメソングの条件」「いい主題歌の条件」は以下のようなものだ。

1)きちんとタイトルを連呼
2)きちんと決めぜりふor必殺技をシャウト
3)ある程度内容に言及した歌詞。教訓的だとなおよし。
4)子供が一緒に歌える歌詞のわかりやすさと舌節のよさ
5)熱ければ熱いほどいい
6)頼むから音痴だけはやめてくれ。子供の耳の音程が狂う。音痴で許されるのは「風の谷のナウシカ」の安田成美だけだ。なんのゆかりもない音痴の有名人が歌うのがいちばん最悪。

この条件を満たすアニメソングを私は心底愛している。ゆえに歴史上で一番好きな理想のアニメソングはこれだ!

『目指せポケモンマスター』

ちなみに一番好きな理想の特撮ソングはこれだ!

『宇宙刑事ギャバン』

どちらも最高。先ほど上げた「いい主題歌の条件」をパーフェクトに満たしている。

そして月刊コロコロで連載中の謎解き漫画をアニメ化した『怪盗ジョーカー』のオープニング曲がとても素晴らしい。とくに4)子供と一緒に歌えるところがいい。「怪盗ジョーカー」にふさわしく、歌詞の中に謎解きが含まれている点も面白い。歌っているアルカライダーという人たちはこの曲がデビュー曲らしいのだが、ネットでいくら調べても何者なのかよくわかんなかった。「なんだか今時っぽい人たちだな」ってことしかわからん。

5位 ようかい体操第一 / Dream5

6位 ゲラゲラポーのうた / キング・クリームソーダ


もう何も言うまい。私が今更紹介する必要も、もうあるまい。Dream5のことをそんなふうに語れるようになったことは素直にうれしい。2012年の東京おもちゃショーで静かな数人の子供客相手に「たまごっち」の歌を必死に歌っていた彼らがやっと報われた。当時から彼らは生歌が上手く、全力で踊っていた。でも、私が2012年の俺コングランプリで抱いていた願い(このまま飼い殺しにされないでほしい)が果たして叶えられるのかどうかは、まだわからない。とりあえず年明けからアニメのエンディング曲がニャーKBに変更されるというニュースを聞いて、ねじ子は絶望にうちひしがられている。あーあ。どうしてそういう愛がないことをするかなAvexは。いや電通か?誰であろうとけしからん。売れた瞬間に取り上げるなんて、ひどいよ。なんでそういうことするかな。ねじ子なら向こう5年間はDream5を使い続けるよ!キング・クリムソーダはいいんだよ、あいつら大人だろ。粋も甘いもかみ分けてんだろ。でもことりちゃんとあきらきゅんは、まだ高校生なんだよ!あんまりあこぎなことしてやるなよ!彼女らの未来に幸多きことを心より願う。

7位 クロスマイハート / おはガールふわわ

ももち目当てで見始めた「おはスタ」で案の定おはガールにはまった。

今年のおはガールのテーマは「けん玉をがんばること」である。それはつまり番組の一番のスポンサーであるバンダイが発売中のけん玉「KDX」の宣伝とイコールなのだが、まあ非常にがんばっている。生放送中にけん玉を披露するコーナーが毎日のようにあり、時に失敗して、気の強そうなおはガールが泣いちゃったりするわけである。泣きながらも気丈に次のコーナーをやったりするわけである。ねじ子はそれを見てすぐにキュンとなっちゃうわけである。ダメな人。ねじ子は目標に向かって真摯に努力している女の子にひどく弱い。

この曲をショッピングモールなどのイベントで披露するときは、間奏の間に客席のちびっ子と一緒にリズミカルにけん玉をやる。そのリズムが大変心地よい。この曲を聴くときは是非一緒にけん玉をやりたい。あ、これバンダイの戦術の通りだわ。ちくしょう。それにしても、おはガールは昔からいい曲をもらってるな。

おはガール メープル with スマイレージ 『マイ・スクール・マーチ』

8位 EARNEST DRIVE / 松岡充

今年はニチアサが不作だった。女児向けアニメも不作だった。あんなに好きだった「プリキュア」も「ジュエルペット」も途中で脱落してしまった。うー、4月まで長い。妖怪ウォッチの大々的ヒットは、そこらへんの低年齢女児向けおもちゃに流れるべきだった財布をゲットできたことも一因にあると思う。

さて、そんな中9月から始まった「仮面ライダードライブ」のオープニングは久しぶりにいい。好き。先ほどあげた項目のうち4)子供が一緒に歌うのだけは難しいかもしれないけど、それ以外は完璧だ。仮面ライダー・エターナルこと松岡充さんの熱い巻き舌歌唱も素晴らしい。エターナルとしてまた映画にも出てください。

次はハロプロ俺コンランキングでお会いしましょう。

2013年ハロプロ「歌詞だけ」ランキング

実は俺コン・ハロプロ楽曲ランキングは2008年からやっている。

2008年はこれ↓
1位リゾナントブルー、2位パパンケーキ、3位恋愛ライダー、4位雨の降らない星では愛せないだろう?、5位こんにちぱ(これは 正確には2007年か。)

2009はこれ↓
①流星ボーイ(Berryz工房)②はぴ☆はぴサンデー!(月島きらり)③はじめての経験(真野恵里菜)④ぁまのじゃく(S/mileage)⑤私の魅力に気付かない鈍感な人(光井愛佳)

2010はこれ↓
1位 Independent Girl~独立女子であるために(Buono!)
2位 ○○がんばらなくてもええねんで!(スマイレージ)
3位 ダンスでバコーン!(℃-ute)
4位 会いたいロンリークリスマス(℃-ute)
5位 友達は友達なんだ!(Berryz工房)
6位 シャイニングパワー(Berryz工房)

2011はこれ↓
1位 プリーズ!ミニスカポストウーマン(スマイレージ)
2位 君の友達(Berryz工房)
3位 ブスにならない哲学(モベキマス)
4位 ダレニモイワナイデ(真野ちゃん)
5位 この地球の平和を本気で願ってるんだよ!(モーニング娘。)
6位 彼と一緒にお店がしたい!(モーニング娘。)
7位 堕天使エリー(真野ちゃん)
8位 好きだな君が(モーニング娘。というかさゆみずき)
9位 もしも…(モベキマス)

2012はこれ↓
1位 One・Two・Three / モーニング娘。
2位 The 摩天楼ショー / モーニング娘。
3位 大好き100万点 / モーニング娘。(譜久村聖・石田亜佑美)
4位 悲しきヘブン / ℃-ute
5位 Be 元気 <成せば成るっ!> / Berryz工房
6位 ピョコピョコ ウルトラ / モーニング娘。

全然ハロプロなんかに興味がない、私の本の善良な読者さん(主に医療従事者)に少しでもハロプロの宣伝がしたい!というくだらない一心だけで、ここまで続けてきたのである。「モーニング娘。ってまだ存在してるんだ」と思ってもらえるだけで、よかった。ダサイと思われても、キモヲタ丸出しとドン引きされても、「えっ、ねじ子ってちょっと頭おかしい……?」と思われても、ハロプロの宣伝ができるのならそれでよかった。ねじ子は本当は、ハロプロが好きなことはあまり公にしたくないんだ。心の奥に大切にしまっておきたいんだ。だけど、ハロプロはあまりに虐げられていて、心無い人たちに踏み潰されてぺしゃんこになってしまいそうだったから、私一人でも声をあげたかったんだ。

当時、楽曲のランキング企画をやっている人は少なかった。(ハロプロ楽曲大賞や宇多丸さんのマブ論はもちろんあったけれども。)2013年になって、ハロプロも多少復興したようで、今年はいろんなところで楽曲ランキング企画が見られる。タワレコの社長も、大森靖子さんも、うすた京介さんも、ナカGさんも、南波一波さんも、スマイレージの女の子達すらも「2013年私のハロプロベスト5」を発表してくれた。すると、私のような音楽素人がランク付けすることにあまり意味がなくなってくる。「では、次に私がハロプロのためにできることはなんだろう?私の得意分野ってなんだろう?」と思うと、まずはこの駄文である。というわけで、今回はハロプロの「歌詞のみ」に注目したランキングを作ってみた。

というわけで突然ですが、ここから2013年ハロプロ「歌詞だけ」ランキングを始めます。あくまでも歌詞だけ、です。他の要素には完全に目をつぶっています。

※ここに書かれているのはあくまでねじ子個人の解釈です。「俺の解釈と違う!」と感じることもあるでしょう。歌詞の解釈は人それぞれです。むしろ100人が読めば100通りの読み方ができるのが素晴らしい詩というものであり、素晴らしい芸術作品だと思います。

第1位 君さえ居れば何も要らない / モーニング娘。

つんく♂の歌詞は、ほとんどがつまらない。単純な単語の羅列だったり、語感はいいけれども意味が分からない言葉の繰り返しだったり、寒い駄洒落だったり、すぐに廃れそうな流行語だったり、説教臭かったり、無駄にスケールが大きくて閉口したりする。待つ子ミジメックスって何だよ。地球が泣いているって何だよ。そもそもラブマシーンって何だよ。あ、矢口のことか。確かに奴はラブ・マシーンでセクシー・ビームだったな。14年かけて伏線が回収されたな。

しかし一年に5つくらい、「すごくいい」のがある。私はそれを味わうために、つんく♂とハロプロを見続けてると言ってもいい。「すんごくいい」のにあたると、私の感情は底が抜けたように流れ、フレーズが頭を離れず、何をしていても脳内に鳴り響きつづけ、果ては座右の銘になるほどの影響を受けてしまう。過去の例で言えば「どこにもないものならば 作りましょう」や「誰もが知らないならば 研究しよう」や「ミニミニサイズでも幸せマキシマム ミニミニサイズでも大きな夢がある」や「迷うな セクシーなのキュートなの どっちがタイプよ?」や「1年なら我慢できる 夢あるならとことん目指せ お風呂のとき寝る前とか ちょっとは電話して」や「やんやん 年とりたくない やんやん このままがいい」や「自由で何が悪いというの?好きなようにしていいじゃない」や「かぼちゃの馬車を正面に回して!」や「ガラスの靴はこの手の中にある」などだ。

そして『君さえ居れば何も要らない』は歌詞がいい。歌詞だけがダントツにいい。もう泣けて泣けてしかたない。個人的には、ハロプロの歴史の中でも三本の指に入る歌詞だと思っている。

と言っても、この歌詞は決して多くの人の心には響かないだろう。100人に1人くらいがぐっとくれば、いい方ではないか。そして私はまさにその「1人」なのである。

つんく♂は、ラブソングに心理描写や情景描写やシチュエーション表現を多用する。その反面、女性的な身体表現や体の接触表現をあまりしない(胸のふくらみとか、スカートの下とか、バナナの皮とか、秋本康が頻用するアレね)。結果、明らかに思春期女子の恋を歌っているはずなのに、主人公が男でも女でも大人でも子供でも大丈夫だし、その愛する相手が男でも女でも大人でも子供でも問題がない世界観になる。だからこそ、つんく♂の歌はセクシュアルマイノリティからの絶大な支持を得ているのだと思う。世界中の「踊ってみた」「歌ってみた」動画を見ていると、日本でもタイでもフランスでもアメリカでもメキシコでも、世界中のオカマちゃんたちがハロプロを好んでカバーしている。国境を越えて通じるものがあるようだ。なんだかほほえましい。

『君さえ居れば何も要らない』は、つんく♂にしては珍しい男性目線の歌詞である。少し引用しよう。

「目をキラキラさせて僕に語った君の将来図は ただ聞いているだけで胸が熱くなり泣きそうになった 君さえ居たなら何も居らない 僕らの将来は誰も決められない」つんく♂はこの曲を、息子の寝顔を見ながら書いたという。モーニング娘。が歌うのだから女子の恋愛の歌詞ってことにしようとしているけれど、実際は違う。そもそも思春期の女子にこの状況は生じにくい。この曲は自立した大人が、まだ自立しきっていない他者を愛し、支えようとしている歌である。ここまでは家族愛と言ってもいい。

でも「時代が変わっても僕は変わんない」「年齢を重ねても愛は変わんない」という部分から、この二人は確固たる社会的契約・血縁的確証を得ていない不安定な関係だということに気付く。ガチガチに戸籍や血縁で縛られている夫婦や親子や家族では、このような言葉を言う必要があまりないからだ。それを踏まえると、歌い出しの「僕たちは自由だろ なのに窮屈だ」というのも、「あんなに怯えてたあの日のことを忘れてしまうの 心から誓った真夜中二人強く抱き合った」という歌詞も、意味がはっきり見えてくる。「二人の現実が真実となるように」というのも、二人の関係が「真実」とは認められていない社会の存在を暗に表している。

さらに最後の「太陽が今日もまた美しく顔を出す まるで僕たちを祝福してるように」というのは明らかにセックスの後の朝であり、太陽以外は僕たちを祝福してくれていない状況であることの比喩になっている。つまり周囲から祝福されない、でもお互いを思い、必死で支えあっていて、すでに何年か肉体関係のある二人の歌なのである。不倫でも年の差でも身分差でも、ロリでもペドでもゲイでもレズビアンでも近親相姦でも、教師と生徒でもロミオとジュリエットでもブロークバック・マウンテンでも何でもいい。とにかく世間から祝福されない二人が、それでも強く惹かれ合い、セックスし、その関係が何年も続き、周囲から隔絶したかのような密室で夜を過ごした翌日の朝の歌なのだ。それでも「今日もまたI LOVE YOUをやさしくささやい」て、いつか「二人の現実が真実となるように」願ってるんだよ。泣けてくるね。

歌詞に直接的な表現は何一つないのに、シンプルな言葉選びだけでこれだけの状況を伝えてくるのだからつんく♂はすごいと思う。たぶん新宿二丁目のハロヲタの皆さんもこの曲には震えているはず。しかし、これをあの竹のように真っすぐ生きている侍の申し子・鞘師に歌わせるのは似合わない。ていうか、今のハロプロメンバーの誰にとっても、この歌詞は背伸びしすぎている。強いて言えば、小田さくらちゃんのための曲なのだろうか?言いたかないけど、たぶん今一番この曲を上手に歌えるのは矢口だな!

ちなみに洗車モップみたいな衣装と、低予算丸出しのMVは良くも悪くもいつものハロプロクオリティです。どうかと思います。

第2位 大人の途中 / スマイレージ

非常に残念な処女喪失の歌。そこそこ可愛い、ちょっと調子に乗った女の子が、年上の不良の男子に憧れて、「いい感じになってきた!彼女になれるかも~!」なんて浮かれている間に、気付いたらどこぞに連れ込まれて、気付いたら陰茎が挿入されていた、という何とも残念なエピソードである。「頭ん中 真っ白け 手足バタバタしてるだけ」「大好きな人 確かに憧れの人なのよ 声をかけたの それも私なんだな」「Oh my god 夢見てた 感動的な場面なの No そうじゃないよ 感動しないもん」「私が馬鹿なの アーメン」どれも秀逸。確かに高校の頃クラスに一人くらい、こういう痛い目にあっている女の子はいたよね。女子高生の間ではわりとありふれたエピソードだよね。たぶん主人公の女の子は、処女だけ取られてこの後ヤリ捨てられちゃうんだろうなぁ。ちょっとヤンチャな男に憧れていた女の子も、こうやって大人になって「真面目で誠実な男が一番」という価値観に変わってゆくのですね。

真っ赤な照明も意味深。

第3位 おへその国からこんにちは / ハロプロ研修生

タイトルだけで今年一番笑った。どんな国だよ。何がこんにちはしてるんだよ。臍ヘルニアか。

もちろん三波春夫の『世界の国からこんにちは』のオマージュだってことはわかっている。そんな御託はどうでもいいんだ。一番の問題は「世界」のかわりに「おへそ」を持ってくるセンスなんだ。しかも、入りの台詞が「なあみんな、へそんとこよろしく!」である。どう冷静に考えても頭がおかしい。へそを指さしまくって腹をパンパンするダンスを、へそ出し衣装で舞い踊る、下は11歳から上は16歳の女の子たち。狂気である。このタイトルを「よし」としてゴーサインを出す企画会議がこの世に存在するというだけで、人類の多様性に恐れおののき五体投地したい気分だ。ちょっと低め内角を狙いすぎなんじゃないかい?これデッドボールぎりぎりだろ?

ちなみに「おへその国からこんにちは」連呼と、「なあみんな!へそんとこよろしく!」以外の歌詞はいたって普通である。大事なことを言っているようで実は特に何も言っていない、でも底抜けにポジティブだから弱っている時には心にスッと入り込んでくる、いつものつんく♂の歌詞である。つまりこの曲で言いたいことは「おへその国からこんにちは」だけ。さらに突き詰めてしまえば「女子中学生のおへそが集まっている国がここにあるよ!」ということであり、「女子中学生のおへそが好きな人はこの国においで!ハロプロ研修生っていうんだよ!」ということである。もう何も言うまい。そのまま世界中の好事家を集めればいい。つんく♂がメンバーに絶対に手を出さないタイプであることに私は心底ほっとしている。もう諦めたよ、あくまで「おへその国」であって、おへその下の国じゃないだけマシだと思うことにしたよ。むしろ、これに耐えられる柔軟性をもった女の子だけが生き残れる国なんだろ?まったく人の世はアフリカのサバンナよりも過酷だよ。

海外でハロプロは確かに人気がある。YoutubeのMVに字幕を付けるのも大賛成だ。海外のファンも喜んでいる。でも、この曲にだけは字幕を付けちゃダメだ。こんなものに字幕を付けて外国の人に見せちゃぜったいにらめぇぇぇぇぇ!!ヲタとつんく♂のみならず、事務所ぐるみでロリコンだってことがばれちゃううぅぅぅ!!かっこつけてクールジャパンぶってるんだから、やめてあげてえぇぇぇ!!

ちなみに同じハロプロ研修生の『彼女になりたいっ!』も最高のロリコン賛美ソングで、頭を抱えてしまう秀作に仕上がっている。

第4位 愛の軍団 / モーニング娘。

鞘師がメインになったモーニング娘。の歌詞の特徴、それは「逆境からの挑戦」である。

鞘師がセンターになった最初の曲『One・Two・Three』の「あぁこの夢には ねぇどれくらいの可能性があるというのか さぁ全部認め 未来を信じよう」という歌詞を見たとき、ねじ子は驚いた。モーニング娘。の歌詞が大きく変わった瞬間だった。それまでモーニング娘。は逆境を認めていなかった。国民的アイドル面をいまだにしていた、とも言える。モーニング娘。が全然売れなくなったことも、テレビに呼ばれなくなったことも、知名度がないことも、オワコンと馬鹿にされていることも、他の女性アイドルグループに大差で負けていることも、すべて認める。かつ未来を信じる。正しい現状認識が初めて確認できたのだ。そしてEDMとフォーメーションダンスという「次のステップ」を初めて示した。結果として『One・Two・Three』はよく売れ、今のモーニング娘。を象徴する曲になった。

以降ずっと、モーニング娘。の鞘師メイン曲は「認められるために(もっと言えば売れるために)努力し、挑戦しつづける女の子」の歌だ。鞘師はまるでサムライのように芸事に一生懸命で真っすぐである。「姫路城下の刀の鞘を作る一族」の苗字にふさわしい姿だ。そして、その決意を上手に言葉にすることもできる。鞘師がセンターにいる一番大きな理由は、顔でもダンスでも歌でもない。一生懸命に歌とダンスに励む「真摯さ」を最もわかりやすく具現化している存在だからである。その愚直さ、目標に向かうひたむきさとガッツ、色気や邪心のなさはフィギュアスケートの浅田真央選手に近い。日本人が一番好きなタイプのアスリートだと思う。「アスリートかよ!アイドルじゃないんかい!」と言われてしまうと非常に耳が痛いが、鞘師ならなんとかしてくれると信じてる。

『愛の軍団』は音源を聞くと、明らかに「ワイの軍団」と歌っている。これは「つんく♂の軍団」であり、「我々の軍団」でもある。つんく♂やメンバーやスタッフやファンも含めた「我が軍」とも言える。確かに、今のモーニング娘。は逆境や偏見や過去のモーニング娘。と戦っていると思う。「大きな力に飲み込まれない」そうである。「大きな力」がいったい何を指すのかはよくわからないが、折れずに頑張ってほしい。

第5位 ヤッタルチャン / スマイレージ

一番の落ちこぼれだった関西出身の中西香菜ちゃんをセンターに抜擢して作った、関西弁のコミックソング。「昔はよかったなんて言わせない 未来の方が楽しいって思わなきゃ損」という歌詞も含めて、前田憂佳という巨大なエースが抜けた後のスマイレージの新しい方向性を示すことができた曲だ。

さらに加筆するとすれば、1番のAメロ部分の歌詞がいい。

「一日じゃ足んないよ」なんて
言っちゃって 甘えちゃって
たぶん1年間あったって
限界まで 遊んじゃって
君は いつだって「ない ない ない」
そして いつだって「ヤバイ ヤバイ ヤバイ」
どんな時もデキナイチャンだもんね ね ねねね

身につまされる……。締切前のすべての文筆家・漫画家・同人作家にこの歌詞を捧げたい。ねじ子もどんな時もデキナイチャンだもんね……。ね。ねねね。

第6位 私が言う前に抱きしめなきゃね / Juice=Juice

さっきも書いた。「覚悟とかないならバイバイ」「足震えちゃってる子バイバイ」「本物の覚悟が今日も星となる」「社会はCOOLで 流行りはもう古い 星空が今夜も眩しい」という歌詞が、デビュー曲らしい悲壮な覚悟と決意に満ちている。それも含めて、デビュー直前に脱退してしまった大塚愛菜ちゃんのための曲だったと思う。(2013/12/29)

2013年俺コンランキング・ハロプロ楽曲編

第1位 イジワルしないで 抱きしめてよ / Juice=Juice

さっき書いた。

そうそう、ダンスショットの石田亜佑美ちゃんヴァージョンには笑わせていただきました。動きはキレキレなんだけど、石田亜佑美ちゃん特有の東北っぽいもっさりした感じ、独特のダサさが炸裂していてたいへん結構です。

第2位 わがまま 気のまま 愛のジョーク / モーニング娘。

今年のモーニング娘。は快進撃をかましてくれた。楽曲も非常に興味深いものが多かったし、ダンスもどんどん上手くなってる。パフォーマンスレベルが上昇しすぎて、なんだかもうこれまで見たことがない珍妙なものになってきた。売上が上がるのも当然である。だって、こんなの見たことないもん。新曲のダンスを見るたびに「なんだこれ」と思う。異次元に突入してるぞ。しかもまだ全員が若い。彼女たちはこれから一体どうなっちゃうんだろう。楽しみでもあるし、なんだか恐ろしくもある。

『Help me!』『A B C D E-cha E-chaしたい』『Happy大作戦』『愛の軍団』『わがまま 気のまま 愛のジョーク』どの曲もよかった。クオリティは横一線で、どれを選ぶかはもう好みの問題だ。悩んだすえに「踊ってみた」動画で繰り返し見たこの曲にした。

彼らはニコニコ動画では有名な「踊り手」で非常に人気が高いらしく、最近はmorning musumen。というユニット名でオリジナル曲を作ったりライブをしている、らしい。中学生の間での知名度は下手するとモーニング娘。そのものよりも高いのかもしれない。リーダーの白服さんは鈴木香音ちゃん推しが高じてmorning musumen。を結成したという。これは新しい応援のかたちだなぁ。同じ香音好きとして素直に尊敬する。彼らがモーニング娘。に若い女性ファンを連れてきてくれてるのも実感する。今までいなかったファンをこちらに連れてきてくれて、どうもありがとう。アップフロントがmorning musumen。を拾っちゃえばいいのに、ってわりと本気で思ってる。

ハロプロも16年、ねじ子のハロヲタ歴ももう16年だけれど、いまだに新しい形の応援方法を作り出すファンが続々と生まれてくるんだから面白い。ハロヲタは、ときにハロプロそのものよりも面白い。

第3位 私が言う前に抱きしめなきゃね / Juice=Juice

イントロのサックスと、歌いだしの大塚愛菜ちゃんが最高。「覚悟とかないならバイバイ」「足震えちゃってる子バイバイ」「本物の覚悟が今日も星となる」「社会はCOOLで 流行りはもう古い 星空が今夜も眩しい」という歌詞が、デビュー曲らしい悲壮な覚悟と決意に満ちあふれていてシビれる。この曲の大塚愛菜ちゃんは本当に良かったなぁ。脱退してしまって非常に残念だ。つかぽんには(またはつかぽんの御家族には)この曲に歌われているような「本物の覚悟」が足りなかったのだろうか?よくわからない。そんなことを考えてちょっと切なくなるインディーズデビュー曲。

第4位 ロマンスの途中 / Juice=Juice

大塚愛菜の脱退、センターの宮本佳林の足の骨折と不幸が続き、どうなることかと思ったJuice=Juiceのメジャーデビュー曲。しかし楽曲さえよければそんなマイナス要素はすべて吹き飛ぶってことがよくわかった。ドラゴンボールのOP『摩訶不思議アドベンチャー』と少女革命ウテナのED『Truth』を足して、割らずに、ファンクの粉末をどばっとふりかけたような曲だ。ドラゴンボールもウテナもファンクも大好きなねじ子には、生きているご褒美を与えられたようである。Bメロ、さゆべぇの鼻にかかった謎のパート「んのな~い」(この動画で1:05)と、大サビのカリンの「すごおぉい!ヤヴアァァイ!!」(この動画で4:33)が最大の聴きどころ。ヤヴァイのはカリンちゃん、あなたの顔芸です。画面から気合いがはみ出ています。収まりきっていません。ゆきずりの恋愛を肯定する歌詞も、気合いの入ったハイティーン女子特有の高飛車な高揚感がよく表現されていて好きだ。

第5位 ええか!? / スマイレージ

スマイレージは今年が一番きつかっただろうなぁ、と思う。でもすごく良い曲が続いている。スマイレージの置かれている状況は、℃-uteの『Danceでバコーン!』→『会いたいロンリークリスマス』→『Kiss me 愛してる』の時期によく似ていると思う。ファンはまったく増えないし、むしろ目に見えて減ってるし、メンバーもスタッフも迷走を自覚していただろう。でも、海の底にゆっくりと砂が堆積していくように、スマイレージという海には今年静かに良曲がたまっていった。今はそういう時期だ。メンバーの実力は折り紙つきなのだから、あと3年踏ん張ることができれば状況は好転すると思う。そこまで頑張ってほしい。

『ヤッタルチャン』は、ゆうかりんという巨大なエースが抜けた後のスマイレージの方向性を初めて示すことができた曲だった。そういう意味でも℃-uteの『Danceでバコーン!』にどこか似ている。そしてその次の『ええか!?』は他に類のない冒険的なラップソングで、聴いていてとても楽しかった。二期メンバーもみんな可愛いよ。

第6位 Help me! / モーニング娘。

今年の快進撃の最初の一撃となった曲。ここからずっとシングルオリコン1位が続く。久しぶりに1位が取れてとても嬉しかったなあ。モーニング娘。がフォーメーションダンスを強く意識して前面に押し出してきたのも、たぶんここからだと思う。

ニコニコ動画でモーション・キャプチャーされたMMDが流行しているのも微笑ましい。モーション・キャプチャーでキャラクターたちが踊っているのを見ると、確かにこの踊りは妙にシュールで笑える。異質で、なにより斬新だ。


皆さん楽しそうでなによりです。

今年は以上。あとのランキングはずっとモーニング娘。の曲が続くので割愛します。なんと!Berryz工房と℃-uteがない!Berryz工房は『アジアンセレブレイション』、℃-uteは『Crazy完全な大人』『あったかい腕で包んで』が良かったと思います。でも今年はどちらのユニットも決定打と呼べるものがなかったなぁ。引き続き来年に期待しています。(2013/12/26)

2013年俺コンランキング・楽曲編 1~5位

※俺コンランキングとは2013年に見たり聞いたりしたものの中から勝手に自分内でランキングを付けたもの。独断と偏見に満ちている。しかも必ずしも 2013年に発表されたものではなかったりする。

今回は長くなってしまったので、1~5位と6~10位でエントリーを分けます。

2013年俺コンランキング 6~10位
2013年俺コンランキング 1~5位

2013年俺コンランキング・楽曲編。

第1位 イジワルしないで 抱きしめてよ / Juice=Juice

今年一番私のツボを押してきた音楽ユニット。『私が言う前に抱きしめなきゃね』『天まで登れ!』『ロマンスの途中』『イジワルしないで抱きしめてよ』『初めてを経験中』と立てつづけに5つも良曲が続いた。ハロプロランキングと区別が付かなくなってしまうので一曲のみの紹介にするけれども、Juice=Juiceだけで今年の楽曲ランキングをすべて埋めつくしてもいいくらい、打率が高かった。

Juice=Juiceの魅力を簡潔に述べると、
①ちゃんと歌って踊れる。
②ライブでもテレビでもすべて生歌。しかも上手。
③メンバー全員が可愛い。
④楽曲コンセプトがしっかりしている(ファンク歌謡。)
⑤ファンクがよく似合う特徴的な声。
⑥年齢的にも精神的にも成熟している女性が二人いて、きちんとグループを支えている。宮崎由加にゃんと金澤朋子ちゃんね。

特に④⑤に強く貢献している金澤朋子ちゃん(略してかなとも)の魅力が光る。ねじ子が今年最も萌えたのは『イジワルしないで抱きしめてよ』の彼女のパート「私はローズクォーツ」と「ねぇねぇ あなたの匂い好きよ」を聴いた瞬間であった。音質の悪いラジオ音源で聴いたにもかかわらず「うわあ!すげえ!」と叫んでしまった。色っぽくハスキーで抜けた声がたまらない。リズムも音程も外さないし。きちんと学校に通って勉強している理系の女子高生なところもいい。17歳までまったく芸能活動をしていなかった、けどフェアリーズや℃-uteの追っかけはしっかりやっていたところもいい。℃-uteのカラオケ大会で優勝、というたった一度のチャンスからここまでのし上がってきているところもいい。一般社会で一通りの経験をきっちりこなしているであろうに(※妄想です)そんなことはつゆ知らず、素知らぬ顔でアイドルごっこ、いやもっとはっきり言ってしまえば「処女のふり」ごっこをきっちりやっている感じもたまらない(※妄想です。)いいねぇ、これからもその調子でどんどん我々をたぶらかしてくれたまえ。

この曲の仮タイトルは『私はローズクォーツ』だった。「なーにがローズクォーツだよ、いい加減にしろよ。そもそもローズクォーツってなに?え、パワーストーンなの?知らなかった。ちょっと勘弁してよ~つんく♂女子力高すぎでしょ~」というねじ子の脳内ツッコミをすべて吹き飛ばす、金澤朋子の「私はローズクォーツ」の説得力。あぁかなとも、確かにあなたはローズクォーツかも。いや、ローズクォーツだわ。どんな石なのか全然知らないで言ってるけど。

第2位 ビバナミダ / 岡村靖幸

岡村ちゃん完全復活の一曲。今年はベテランの久々のシングルに佳作が多かった。ディビッド・ボウイの10年ぶりの新譜も良かったし、KISSの新曲も良かったし、ローリング・ストーンズの新曲ポール・マッカートニーの原点回帰の新アルバムも良かった。どれも昔と変わらない熱量とクオリティをもっている。芸術の世界において「変わらない」というのは批判されがちだが、そんなのどこ吹く風である。同じ煎餅を30年間焼き続ける老舗の職人の人生だって、素晴らしいではないか。

この曲はなんとタイアップ付きだ。2014年1月から放送されるTVアニメ『スペース☆ダンディ』の主題歌になるらしい。MVも全編アニメになっている。岡村ちゃんの不思議な踊りがきちんとアニメで再現されている。最高だ。現代美術家・会田誠の手掛けたジャケットも素晴らしい。なにより、今の岡村ちゃんのためにきちんと動いてくれる周囲の大人がいること、きちんと大きなプロジェクトに組み込んでもらえていることが嬉しい。これはお金と手間がかかってるよな。私はもう多くを望まない。ただアニメ放送中にクスリで再々々逮捕されるのだけはやめてほしい。

この曲は歌詞も冴えている。「いくら便利なれど 星は未知なもの だから電車を飛びおり 会いにいこう ミニ履く子 いつも気になるよ だから電話もかけずに 会いにいこう」そうか。便利になって、電子回線で常時つながっている時代だからこそ、岡村ちゃんは「電話もかけずに 会いにいこう」と歌うのね。アポなしね。『カルアミルク』の頃は「電話なんかやめてさ 六本木で会おうよ」と一応アポはとってたから、さらに前のめりになったんだな。いいね。

第3位 マジ勉NOW! feat.新井ひとみ / dancinthruthenights

tofubeatsさんを初めて聴いた曲。ネットから自然発生的に現れた新しいスタイルの音楽制作者だ。神戸在住の学生のままで、勝手にいろんな曲を自己流でアレンジして、youtubeに上げまくる、そこから実際の人脈ができて、色んな音楽家とコラボして名をあげていく。その出世の仕方がいい。そしてその「のし上がり方」をわかりやすくネット上に逐一見せている。それも素晴らしい。音楽家の皆さんは今、「音楽でお金を稼ぐ方法」を必死で模索していると思う。tofubeatsの出現は日本において音楽で世に出るための1つの新しい形であり、とても勉強になる。

例・森高さんの『ザ・ミーハー(原曲)』

今聞くとアレンジがあまりに軽くて、私は正直ちょっと聴いていられない。これにピコーン!と来て勝手にtofubeatsがアレンジしたのがこれ↓

ついに森高本人を起用して作ったメジャーデビュー曲がこれ↓。

確かにどことなく『ザ・ミーハー』に似ている。でもまったく違う曲だ。これはしっかり、今の時代の音になっている。

私たちが子供の頃は、「ある曲を聴きたい」と思っても、なけなしのお小遣いを握ってレンタル屋にCDを借りにいくか、気長にラジオのリクエストを待つか、ジュークボックスに100円を入れるくらいしか方法がなかった。そうすると、そのとき売れているもの、流行っているもの、大量に消費されているものしか手に入らない。金銭的余裕のない若者が、マイナーな名曲や古い曲を聴くことは家族の援助でもないかぎり不可能だった。

でも今はyoutubeがある。youtubeはある意味、既存の音楽業界の収入源を脅かす存在だろう。でも、物心付いたときからyoutubeという無料の、収録曲が無限大で、時代や流行や国すらも問わないジュークボックスを手に入れている若者達が、無限の楽曲の海で自由に泳いでいる。そして若い脳細胞の中で新しい音楽を鳴らしている。それがわかって良かった。「日本のポップ・ミュージックは死んだ」と思っていたねじ子にとって、これは大いなる福音である。頑張ってください。

で、tofubeatsさんのお仕事の中で一番好きな曲が「マジ勉NOW! feat.新井ひとみ」。東京女子流の新井ひとみちゃんのボーカルが、ひときわ可愛い。あぁ、どうしてこの曲が東京女子流の新曲じゃないんだ?「はなかっぱ」のエンディングで流せよ!そしたら毎朝踊るのにぃ!

第4位 ロックンロール・ハネムーン / くるり

視聴しか見つかりませんでした。不便。

くるりの新メンバー・ファンファンのトランペットが堪能できる一曲。

私が知らない間にくるりのメンバーがまた1人減っていた。くるりのメンバーチェンジは激しい。下手するとモーニング娘。より激しい。くるりのファンは、そのたびに怒る。しかし不肖ねじ子は「何をそんなに怒っているの?モーヲタを見習えばいいじゃない」と思う。

モーニング娘。のファン略してモーヲタは、なによりも停滞を嫌う。そしてそれは、おそらく生みの親であるつんく♂も同じである。つんく♂はモーニング娘。メンバーの声や性格や生い立ちやからインスピレーションを得て曲を作るタイプだ。しかし、一人の人間がつんくに与えるインスピレーションにはどうしても限りがある。つんくが常に新しい曲を量産し続け、モーニング娘。を存続させるためには、新しいメンバーの新規加入が常に必要なのだ。もちろん、あまりに人数が増えすぎても仕方ないので、ある程度のところまで実力と知名度とファンをつけたメンバーには卒業してもらう。そうすると、卒業した子はただの「ぽっと出」ではなく、「元モーニング娘。」という箔を付けることができる。その後の芸能活動もずっと楽になるだろう。そしてまた新しいメンバーが入ることによって、新しいタイプの曲が生まれる。これが永遠に循環され、モーニング娘。は転がり続ける。モーニング娘。という特殊な集団の真の存在意義は、つんく♂にインスピレーションを与えるメンバーの随時加入と卒業にこそあるのだ。ファンもそのシステムを愛しているからこそ、常にメンバーの入れ替わりを待ち望んでいる。真のモーヲタは追加オーディションがないと、むしろ怒りだす始末である。それはロリコンだからじゃなく(いやロリコンも多いけど)、純粋に「つんく♂は次はどんな魅力的な女の子を私たちに紹介してくれるんだろう?」とワクワクしながら待っているのだ。

くるりも同じである。岸田君はおそらく、いつだって新しい音を響かせてくれるミュージシャンを探している。彼の琴線に触れ、インスピレーションを与えてくれる楽器の使い手をいつも追い求めているのだ。そして、インスピレーションがわかなくなってしまったり、岸田君の期待に添えなくなれば、ミュージシャンたちは次のチャンスを求めて旅に出る。そのミュージシャンは「元くるり」という肩書きを得て、おそらくスタジオミュージシャンの世界では一生食うに困らないのだろう。モーニング娘。と同じ構造である。だからくるりのファンも、「岸田君は次はどんな魅力的なミュージシャンを私たちに紹介してくれるんだろう?」とワクワクしながら待っていればよいのである。私もいつだってワクワクしているし、いつだって待っている。ファンファンちゃんのトランペットの切ない音色は最高だね。つんく♂が現在、金澤朋子の声にビンビンに萌えて名曲を作りまくっているように、岸田君もきっとファンファンの哀愁を感じるトランペットの音色に創作のスイッチをガンガン押されてるんだろ?ならば私は何の文句もないよ。むしろ賞賛する。

どうせモーニング娘。と同じシステムなら、卒業と加入を興行に絡めればいいんじゃね?とさえ、思う。つまり「ファンファンは×月×日に行われる武道館コンサートをもって、くるりを卒業します!それまでは精一杯、くるりとしての活動を頑張らせていただきます!なお、卒業後は○○として活動しますので、くるり同様、○○の方も応援よろしくお願いします!」っていう、例のアレね。卒業コンサートで手紙を読み上げてメンバー全員号泣ね。ファンもきちんと最後のお別れができるし、なによりチケットが売れるよ!やったね!ロックンロールの信条とかけ離れた最低のプランだけどね!くるりは絶対にそんなことしない!って断言できるよね!

与太話はさておき、おそらく岸田君にとって、くるりは佐藤君さえいればいいのだ。佐藤君は外から見るといったいどんな仕事をしているのかよくわからない人だが、くるりにとっても岸田君にとっても、佐藤君はなくてはならない存在に違いない。それはハロプロにおける「まこと」のようなものである。つんく♂にとって創作を続けていくために最も大事な存在、それがまことである。端から見ればただのMCが下手なキノコなのだけれども、実は誰よりもなくてはならないハロプロの最重要メンバーなのだ。根拠はないが、長い間つんく♂を見ているとそう確信する。というわけで、誰か私につんく♂×まことの同人誌描いてください。逆でもいいです。

第5位 ふりそでーしょん / きゃりーぱみゅぱみゅ

この曲は豆しばとタイアップしてがっつりプロモーションCMを打っていた。いかにも電通仕掛けだ。それはこの曲にとって非常に不幸だったと思う。ねじ子はアニメ『銀魂』を見るたびに、毎週毎週「ふりそでーしょん」をバックに「豆しぱみゅぱみゅ」を見せつけられて、心底うんざりしていた。最後の方はもう「私はただ『銀魂』が見たいだけなんだよ!なんだよこれ!豆しば死ね!」くらいの気分になり、曲を聴きたくなくなった。youtubeでMVをクリックする意欲をそぐのに十分な、圧倒的物量だった。

しかしぐっと我慢してMVを見ると、ダンスがいい。しかも1番だけ、すごくいい。皆さんも我慢して一番だけ見てほしい。紅白の衣装をまとったダンサー達が、長テーブル越しに手と足と体幹の角度だけで見せる操り人形のような群舞が素晴らしい。ちなみに2番のダンスは椅子から離れてこっちに来てしまった途端に凡庸でありがちになるので、途中で視聴を止めてもらってかまわない。

きゃりー本人の成人式というタイミング、紅白のシンメトリーな衣装と家具、テーブルの上の赤いごちそうと白い皿、ごちそう越しに見せるダンス。ダンスを長テーブルで隠すことの美学も含めて、非常に豪華だ。きゃりーぱみゅぱみゅのキッチュなMVがたどり着いた、一つの頂点だと思う。

ちなみに曲だけを評価するならば、おそらく「にんじゃりばんばん」の方がいい。今年のヤスタカの仕事の中で一番好きだ。メロディ・インスト・アレンジ、すべてひっくるめて最高だ。

でも「にんじゃりばんばん」のMVは、きゃりーの特徴である「カワイイ要素を大盛りにすることで作り出す」いわゆるキッチュな世界観にまるで合っていない。ていうか、忍者という「極限まで要素をそぎ落として闇と同化するべき」存在と、要素山盛り・グロテスク・原色のキッチュは正反対なのだ。もとから合うはずがない。結果的にいつもと比べて物足りない映像作品になってしまってる。実際は予算も手間も相当かかっていると思うけど。これでは「クールジャパン予算目当ての安易な海外向け作品だ」「日和った」と言われても仕方がないと思う。浅草の出店を歩きながら「あー、はいはいニンジャね、サムライゲイシャね。海外の人そういうの好きだよね~」と身に染みてしまう、あの感じ。日本人から見ると単純につまんないし、少し冷めちゃうんだよね。もちろん歴史を振り返ってみても、結局はそういう「わかりやすい記号」がないと海外で受け入れられにくい、お土産も売れないってことはよくわかってる。世界ではワンピースよりナルトの方が人気なんでしょ?そりゃ知ってるよ。むしろ私だってワンピよりナルト派だよ。ニンジャだのサムライだの、むしろ私も大好きだよ。でもさー。この曲のMV、そもそも忍者なのか姫なのかはっきりして欲しいな。どっちつかずで残念。