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2020年 ねじ子の子ども向けおもちゃランキング

※今更2020年末の記事です。新型感染症流行に免じて許してほしい。

ねじ子のおもちゃ大賞2020、簡易コメントつきです。

新型コロナウィルス流行下におけるステイホームの中、おうちで子どもたちと長時間過ごすために2020年はかなりたくさんの子ども向けおもちゃで遊びました。2020年おもちゃランキングのレビューを当時書いていたので、ここに載せておきます。自分で買って遊んだものの中からのランキングです。

2021年のハロプロ楽曲ランキングの筆がなかなか進まず、逃避してる間に書いた側面もあります。

1位 鬼滅の刃 DX日輪刀(竈門炭治郎)

素晴らしい。

まず、長い。DX日輪刀という玩具の素晴らしさはその「長さ」にある。きちんと長い。剣の長さと重さを感じながら、子どもたちが振り回すことができる。剣という武器は長く、重く、重心のコントロールが非常にむずかしい武器なのだ。だからこそ、持ち手から剣先まで十全にコントロールができた瞬間にもっとも強い威力を発揮する。身体的高揚感を味わうこともできる。刀とはそういう武器だ。ヒーローが長物をぶんぶん振り回して刃先をコントロールしているからこそ、かっこいいのだ。時代劇の殺陣やスターウォーズのライトセイバーだって同じ。チャンバラ・アクションの楽しさの起源はここにある。

近年の小児用の剣のおもちゃはどんどん刃が短くなっていた。新しい剣のおもちゃは毎年のように発売されていたけれども、少子化のせいなのか、原材料費高騰のせいなのか、安全基準のせいなのか、長さがどんどん短くなっていたのだ。「長物を振り回すと楽しい」という実感は、近年の剣の玩具から失われていた。

長さ比較。

上からビルドのDXドリルクラッシャー、ジオウで「ン我が魔王!」が口癖の人が使ってたステッキ(今検索したら仮面ライダーウォズのDXジカンデスピアーという商品名)、ゼロワンのDXアタッシュカリバー、アイドルのMIX口上そっくりな音声がやたらでかい音量で流れるニンニンジャーの刀、次男がこれまでの人生で最も長い時間遊んだおもちゃ・ルパンソード、リュウソウケン、そしてDX日輪刀。日輪刀が群を抜いて長いことが一目でわかると思う。

ちょっと昔の、長男のころのコレクションとも比較してみた。

上から仮面ライダー電王のデンガッシャー・ロッドモード、ディケイドのカードを入れる本の形の剣(DXライドブッカー。お気に入り)、Wのヒートメタルの棒をめいいっぱい伸ばした状態、オーズのメダジャリバー、鎧武の剣(これは二つの商品をくっつけてる。お値段二倍なのでちょっと反則)、DX日輪刀、キョウリュウジャーの獣電剣ガブリカリバー、シンケンジャーのDXシンケンマル、ゴーオンジャーのマンタンガン(変形して銃にもなる。お気に入り)。昔の商品と比べても、DX日輪刀はかなり長めの刀である。「長男と次男の間の数年に日本はこんなに不景気になったのか……」とも言えるし、「シュリンク・フレーションもいい加減にしろや!消費者舐めんな!親は気がついているぞ!」という憤りも、まぁ、ある。だからDX日輪刀の長さは素直に嬉しかった。これが売れたことはおもちゃ好きとして小気味よくすらある。いい商品が売れるのは嬉しい。

DX日輪刀は『鬼滅の刃』主人公・竈門炭次郎のなりきりアイテムである。なりきり玩具において最も重要なのは「子どもがなりきりたくなるかどうか」。つまり原作マンガおよびアニメの『鬼滅の刃』の充実度と没入しやすさこそが最も重要になる。

原作マンガ『鬼滅の刃』は2年ほど前から小学生の間で大流行していた。

炭治郎と禰󠄀豆子の迷いのない家族愛。迷いなくわかりやすい理想の上司であり、恵まれた環境にいながらも弱者を救うために自身の力をすべて使い、強い暴力や権力への誘惑には決してなびかない煉獄さん。その喪失。わかりやすく女好きでへたれで普通の少年・善逸。いつも前向きで元気に強く、ギャグもこなしてくれる猪突猛進な伊之助。悩み多いクールな二枚目の義勇。プリキュアやセーラームーンそのものである女子戦闘集団の理想のトップ・胡蝶しのぶ。その姉・カナエは小学生女子が憧れる「大人の女性」として完璧であったが、妹のために死んでいる。しのぶの下には、人に心を開けない妹分の少女カナヲがいる。姉たちを見ながら、カナヲも他の少女たちも成長する。どのキャラも正しくて優しくて強い。子どもたちが自分を重ねるのにぴったりだ。その中の誰かを選び、共感し、キャラクターになりきりって物語を楽しむことができる、そんな登場人物が取り揃えられている。

弱者や市民を守るヒーローを冷笑する風潮は、一切ない。悪役が可哀想な過去を少しさらしただけで(これまでどれだけの悪行を重ねていても)「悪には悪の事情がある。だから人を殺していても許す。感動した!」というような、悪役への奇妙なおもねりも一切ない。弱者を守るために必死に闘う真面目で真摯な鬼殺隊が、悪い奴らを倒す。悪役はすがすがしく倒され、みじめに醜態をさらして死んでいく。

ステイ・ホーム期間に、インターネット上の様々なサブスクリクションサービスで『鬼滅の刃』一期アニメが全話公開されていたことも効果的であった。学校が休みで死ぬほど退屈していた日本中の子どもたちが、親のスマホやiPadやAmazon Fire stick TVで鬼滅のアニメを再生したのだ。紙の鬼滅の単行本は、その時期ずっと品切れであった。鬼滅のアニメ一期は、新型コロナウィルス感染症という突然来た世界的なパラダイム・シフトとステイホームの時代に奇跡的にぴったりと合ったのだ。そうやってステイホーム中にため込んでいた視聴者が、アニメの続きを見るために映画館に向かった。みんないっせいに向かった。

『無限列車編』映画公開は、たまたま、本当にたまたま、コロナウィルス感染者数が比較的少ない時期であった。でもなかなか遠出まではできない。海外旅行はもとより、都道府県をまたいだ旅行や、人が多いイベントを躊躇する空気の中、一席あけて市松模様で座席を販売をしてくれる「近所の映画館」は、さまざまな人にとって格好の週末の娯楽となった。家族連れも安心して行ける数少ない目的地にもなった。そのタイミングの奇跡こそが映画『鬼滅の刃 無限列車編』400億円の原動力であったと、私は思う。一期アニメの連作の素晴らしさ、公開タイミングの良さ、そしてもちろん『無限列車』のストーリーの素晴らしさと映画としての出来のよさ、これらすべてが重なった結果だ。こんな私でも、息子のお付き合いで1回、4DXを体感するために1回、計2回無限列車に乗った。どちらも客席は埋まっていた。

DX日輪刀はデザインもいい。アニメで刀の周りに出現するエフェクトをそのままプラスチックで再現させて、刀のまわりにくっつけちゃおう!と最初に考えついた人は天才である。刀は二本入っており、長い方がもともとの炭治郎の水の呼吸の日輪刀、短い方が刀が折れた状態でヒノカミ神楽を初めて出したときの日輪刀だ。本物の炭治郎の声優さんの声で、水の呼吸 拾ノ型まで鳴ってくれる。ヒノカミ神楽は「演舞!」のみ。

子どもたちはさらに上を求め「鍔が外れないのかー!煉獄さんの鍔を入れたいのに!外れたらもっとよかった!」「ヒノカミ神楽を長い刀で出したいよー!」と言う。アニメではまだそこまで放送してないので、それは玩具でネタバレをすることになってしまう。現時点では無理だ。このおもちゃが売れまくって、今後そのような商品が出ることを期待しよう。

余談ですが、私の好みは当然のように甘露寺蜜璃ちゃんです。蜜璃最高にかわいいよ!!でもたぶん蜜璃の子ども用玩具は出ない。だって観測中の保育園の女児人気は圧倒的にしのぶさん>>>>>>>>>>>>>禰󠄀豆子=カナヲ>>>>>>>>>>蜜璃ちゃんだから……。どうして……。

2位 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー -VS MEMORIAL SET-

最高。Wレッドの劇中音声が全部聞ける。とくに私の大好きな劇伴「快盗演舞」が変身音と名乗りの台詞とともに流れて嬉しい。

販売ページはここ↓
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー -VS MEMORIAL SET-| プレミアムバンダイ 

2019年末、自分へのクリスマスプレゼントとして予約注文したあとでゆっくり商品説明の詳細を読んだが、このおもちゃには私の大好きなルパンイエローの要素が全然ない。ブロマイドに少しうつっているだけだ。

戦隊ブログvol.107 ルパパトのメモリアルアイテム、予約受付開始! | スーパー戦隊おもちゃウェブ | バンダイ公式サイト

商品開発者さんのライナーノーツがとても熱くて嬉しい、新規音声収録たくさんで嬉しい、私の一番好きな劇伴『快盗戦隊ルパンレンジャーのテーマ』がボタン一つで流れるだけでも1万円の価値はある。やったね!

しかしうみかちゃんの要素が全然ないな(小声)

全員分の音声を少しだけでも入れてくれてもいいのよ、ほら変身かけ声とか名乗りとかさ……。と思っていたのだが、まぁ結局、入りませんでした。メンバー全員の声を変身音だけでも入れてほしかった。その後発売されたDXリュウソウケンには全員分の音声が入っていて、とてもうらやましかった。

Wレッドの音声がたくさん聴ける(ほんの少しノエルも出てくる)のはとても楽しい。劇中再現もはかどる。当時販売のDX玩具にも音声対応しているので、そちらでの拡張遊びもできる。

※ここからはこの記事の再放送となります。

プレミアムバンダイはいつからか、私達ハロヲタの財布を狙わなくなった。当初はルパパトWヒロインのグッズだの何だのを出してきていたというのに、今はまったくない。最近のルパパト商品発売ラインナップを見ても、プレミアムバンダイはハロヲタの方を向いていない。Wレッドとエックスの商品ばかりだ。

これはルパパトという作品およびWレッドとノエルにたくさんの新規ファンがついて、金銭化のめどが立っているということなんだろう。ハロヲタを頼りにしなくてもルパパトという商材が購買力を得たのだ。素直に喜ぶべき、素晴らしいことだ。

癒してハロプロ てれびくんのルパパトヒロインDVD 本編16分で6500円っておかしくない?

ハロプロニュース : 【工藤遥効果】子供の味方「てれびくん」がおっきなお友達向けの商売に手を出してしまう

いつかのてれびくんDVDのように、おたくの財布を狙われまくって足元を見られまくって、ハロヲタの間でも激しく意見が割れてしまうような事態はもう二度とごめんだ。工藤ファンの中からも「あんな商品をあんな値段で買ってはいけない」「あんなぼったくりDVDでもファンは買う。足下を見られてるんだよ」「あんな値段でDVD買った奴がいるから、小学館は調子に乗って15000円もする超全集を出すんだ」という声も聞いた。その意見は正しい。私も当時、怒髪が天をついた。私は古い人間なので10年前に『てれびくん特せい 仮面ライダーオーズ超(ハイパー)バトルDVDクイズとダンスとタカガルバ』(本編23分)を送料込1250円で購入したことを、きちんと覚えている。物価高騰を加味したとしても、本編16分で6500円はあまりに高すぎる。ファンを分断するような売り方は二度とごめんだ。ごめんなんだけど。

……相手にされないとそれはそれで、嬉しいような、少しさびしいような。

3位 きめつたまごっち

2020年は結局ずっと鬼滅の年だった。この商品は「開発者はとても鬼滅が好きなんだろうな」とわかる仕様で、すごくよかった。きめつたまごっちは鬼滅の本編にそった成長をみせる。

最初は名もない「癸」の鬼殺隊士が登場する。この初期キャラクター(うちでは「村田さん(仮)」と呼ばれている)を「死なない」程度のギリギリで最大限ほおっておくと、伊之助になる。解釈一致。ほどほどに世話をして、あまり鬼を倒さないでいると「甲」の隊士には出世せず、かまぼこ隊のどれかになる。ちなみに炭次郎を育てたあと丁寧にお世話をしていると禰󠄀豆子を連れてきてくれる。解釈一致。

村田さん(仮)をきちんと世話して定期的に現れる鬼たちを三回以上倒すと「甲」に出世する。その後、柱の誰かに分岐する。私はいつもご飯とお茶をたっぷりあげすぎてしまうので、蜜璃ちゃんに育つ。これまた完全な解釈一致。蜜璃ちゃん今日も最高にかわいいよ!!!(女性アイドルにかけるかけ声)

……私は大満足だが、息子たちは不満そうである。そしてリセットされてしまう。死ぬか、リセットするか、電池が切れないと次のたまごっちを育てられない仕様だからだ。

さまざまな鍛錬を何回も繰り返すこと、それがノーミスでできたか否か、鬼を殺すスピード、食事量などによってどの柱になるかの分岐先が変わる。これが結構むずかしく、なかなか狙った柱に育ってくれない。狙った進化先にするための発動条件は公式からいっさい発表されていない。ネット上にあるユーザーの経験談に頼るしかないのだ。

そして──これが最も重要なことだが──鬼滅たまごっちたちはあっさりと死ぬ。鬼に襲われて、本編通りにあっけなく死ぬ。たまごっちを家に忘れて仕事に行くと、帰ったら死んでいる。たまごっちの存在を一日忘れると、もう死んでいる。本編と同様に、決して生き返らない。なんたる解釈一致。原作と同様に、隠(カクシ)の皆さんがやってきて亡骸を持ち去っていく。

あんなに頑張って煉獄さんにしたのにさぁ!!!私の馬鹿!いまわのきわの煉獄さんに「俺の方こそ貴女のような人に生んでもらえて光栄だった」と思ってもらえるような立派な母に、私はなれていたでしょうか?どう考えてもなれてないです!

この散り際のあっけなさと命の取り戻せなさも非常に『鬼滅の刃』らしい。それと同時に、往年のたまごっちと同じ楽しみ方もきちんとできるので、これは非常によくできたコラボだと思う。一日一回特に意味もなくお館様や無惨様や珠代さんの猫が出てきてくれたり、第二弾ではしのぶさんがカナヲちゃんに進化したり、煉獄さんのもとへ弟くんがたまに来て掃除してくれたり、細かいイベントも作り込まれていてやりがいがありました。

4位 DXゼロツープログライズキー&ゼロツードライバーユニット

仮面ライダーゼロワンのおもちゃはとにかくデザインが最高。可動変形も最高。機械仕掛けの音声も最高。

これは従来ならば最終フォームにあたる仮面ライダーゼロツーに変身するための追加玩具である。ゼロワンドライバーのパーツを一部外して、上からつけるシステムもすごく面白い。見た目が大胆に変わって楽しい。

TV本編中の仮面ライダーゼロツーは、コロナの放送中断が重なった不幸によって、ほとんど活躍の場がなくなってしまった。それはもちろんしかたのないことであり、そのハンデをもってしても、ゼロツーのおもちゃは最高におもしろかった。映画『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』でゼロツーの役割がとても美しいかたちで新しいイズに引き継がれたのもよかった。

ただし!ゼロワンTV最終回の「きみはイズだ」という或人の発言は、ヒューマギアという商品の存在意義、ヒューマギアに自我を認めるか否かという古典的議題への結論、或人のヒューマギア製作会社の社長としての社会的責任、つまり一年間積み上げてきた物語と「主人公のヒーロー性」をすべて台無しにする壊滅的台詞だと思う。あれはいったいなんだったんだ。

5位 ポケットモンスター スマホロトム

気の抜けた音声がとてもいい。ポケモンのアニメが新作になるたびに出る、液晶つきのおもちゃである。3DSやSwitchでポケモンの本編をやるにはまだ早い幼児向けの商品だ。簡単な物理操作でポケモンをゲットして、図鑑の完成を目指すことができる。ポケモンにふれてみたい、でもまだ数万円するビデオゲームを買い与えるには早い年齢の保育園・低学年幼稚園児にぴったりだ。

なんといっても玩具としての寿命が長い。これがスマホロトムの最大の利点である。3年間は使える。ゲーム本編ができるようになればこのおもちゃは不要になるが、それでも3年間は使える。ありがたい。

写真右は同機種の前の型、2018年発売の「ポケットモンスター ウルトラゲット! ロトム図鑑」である。2つの物理ボタンが「決定」と「戻る」にあたり、横についてるロトムの手(棒)を回して上下を操作する。液晶はタッチ対応してない。写真左、後継機であるスマホロトムは2020年発売。きちんとスマホっぽいユーザー・インターフェイスになっている。液晶もタッチパネルで、液晶タッチとホームボタンで操作する。自分のスマホが欲しいけれど、当然まだ買ってもらえない子どもたちの「憧れ」にぴったりフィットしたユーザー・インターフェイスに進化しているのだ。素晴らしいね。

6位 仮面ライダーセイバーのなりきり玩具類(DX聖剣ソードライバー)

2020年の園児用クリスマスプレゼント筆頭商品。次男はセイバーが大好きである。「剣で変身するライダーって他にいないでしょ。かっこいい」がその理由だそうだ。なるほど、確かに。セイバーのベルトをもらって本当に嬉しそう。変身ギミックは三冊並べて剣を抜く、という過程で、オーズドライバーにそこそこ似ている。

仮面ライダーセイバーのベルトには、初期装備である「プッシュ必殺技」ができないという致命的欠点があった。プラスチックのパーツが干渉してぶつかりあうために、ページを押し込むことができない。無理やり押すとミシミシ音がして、ライドブックのページ下部のプラスチックがへこんで傷がついてしまう。やりすぎると折れそう。そもそもあまりに堅く、うちの個体では大人が押しても必殺音が鳴るところまで至らなかった。子どもはそのギミックに気づいてすらいなかった。分解して改造したブログなどによると、内部のプラスチックのパーツ形状の不備で、単純な設計不良のようである。

プラスチックのおもちゃを傷がつくほど強く推すことを、4歳児に教えることはできない。おもちゃを壊してしまう。保育園や児童館のおもちゃ、友人に借りたおもちゃを子どもが同じくらいの力で押すことを覚えてしまったら困るから、プラスチックが壊れるほど強い力でおもちゃを押せとを推奨することは私にはできない。

きちんと試遊して欲しかった。対象年齢の子どもを使って試しているとは到底思えない。きっとコロナのせいで細部を作り込む時間がなかったり、工場との伝達がうまくいかなかったりしたのだろう。それでも、一万円近くする子ども向けおもちゃで大事なギミックが一つ死んでるのはきつい。そしてなによりも、これを「仕様」とし、メーカー対応がなかったことに私はとてもがっかりした。初期ロット以降はバンダイが対応してくれるかと思って、クリスマスまで待っていた親御さんもそこそこいたと思うのだが……。今どきの親子はTwitterやYouTubeでレビュー動画をじっくり見てからおもちゃの購入を決めるから、商品の不備にごまかされたりはしないんだよ……。

さてここからは少し話題を広く、コロナによるパラダイム・シフト後の仮面ライダーについて書いてみる。

悲しいことに、幼児の間で、仮面ライダーと戦隊の知名度がどんどん減っている。恒常的で手軽な安価の見逃しネット配信が存在していないからだ。(TTFCにいきなり1000円払って入る人はよほどのマニアしかいないし、マニアはすでに全員入っている。)いまや、特撮番組そのものよりも特撮玩具系Youtuberの方が子どもたちに名が知られているかもしれない。

子どもたちには、ネットで無料または、親がすでに加入している配信サイトで見られるコンテンツしか「存在すら」していない。それだけでも見きれないほどのコンテンツがある。

前述の『鬼滅』はもちろんのこと、『パウ・パトロール』(NetflixとHulu)、『ウルトラマン』シリーズ(YoutubeとAmazon Prime)、『すみっこぐらし』(Amazon Primeで見た映画が最高でした)、『フォートナイト』と『マインクラフト』(どちらもオンライン通信が無料。だから子どもに強い。ちなみにスプラトゥーンやあつ森やスマブラのネット通信対戦には、有料のNintendo Online加入が必要。年間500円しかかからないが、それでも子ども人口の差はそこで大きく出る。親がゲーマーでないと厳しい)。これらの商材の子ども向け利用率の高さの正体は、(子どもたちにとっては無料の)ネット配信の恒常性だと私は思う。

※『フォートナイト』はオンライン対人バトルロワイヤルであり、CERO:C(15才以上対象)のゲームである。小学生向けの児童雑誌「コロコロコミック」の『フォートナイト』の連載漫画の巻末には必ずこのような説明ページが入っている。

さて、今の話題は仮面ライダーシリーズだ。

2019年7〜9月頃に、それまでAmazon Prime Videoにあがっていた有名東映特撮TVシリーズが軒並み配信終了した。具体的には、TVシリーズの仮面ライダーカブト・仮面ライダー電王・仮面ライダーディケイド・仮面ライダーW・仮面ライダーオーズ・仮面ライダードライブ・仮面ライダー鎧武など。名作映画の『仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ』『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』など。そしてクソ映画として誉れ高い『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』などもだ。ライダーも戦隊も、Amazon Prime Videoの動画見放題作品がほぼなくなってしまった。

なぜこれら過去の名作が突如レンタル扱いになったのかはわからない。その半年後に訪れたコロナ禍と、それに伴うステイホーム需要下においても、これはまったく変わらなかった。非常にもったいなかった。緊急事態宣言下において、仮面ライダーを追加料金なし配信で見られるサブスク環境はdTVかHuluくらいであった。どちらも入っていないご家庭が多いだろう。ちなみに私のHuluは、見たい作品があるときだけの限定契約である。最後に使ったのは何年前だろう?子どもがアンパンマンにガチはまりしていた時かな?

現行作品は無理だというなら、東映特撮は今すぐ、過去作(特に名作と言われている作品)を有名どころのネット配信に全話まるごと永続的にあげておくことを私は強くおすすめする。そうだな、仮面ライダー龍騎と555とWとオーズとエクゼイドとビルド、デカレンジャーとゴーオンジャーとシンケンジャーとキョウリュウジャーとトッキュウジャーとルパパトあたりがいいかな……。これらをネット上のどこか、できればYoutubeかAmazon Primeで、いつでも全話見られるようにしておくことを本気でおすすめする。まじで。そうしないと、子どもたちがライダーと戦隊を知らなくなっていってしまう。

※これを書いた2021/2/28はまだそうでした。2022年3月からようやく、Amazon Primeに一部の仮面ライダーと戦隊シリーズが復活してきています。現行作品も、戦隊は2022年3月から、ライダーは2022年9月からようやく、Amazon Primeでアーカイブが配信されるようになりました。これは同業他社のウルトラマンのネット展開のフットワークの軽さと比べると明らかに遅く、コロナによる巣籠もり需要を逃してしまったように感じます。

2020年はこんな感じです。2021年はDX日輪刀(胡蝶しのぶ)がきっと私の中で一位になるでしょう。いや、煉獄さんのDX日輪刀が出るなら、煉獄さんかな。(2021/2/28文筆、2023/1/24 uploaded)