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医師兼漫画家 森皆ねじ子

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2005年2・3月合併号 短期記憶よ花開け

いよいよ試験十日前。こんな時期にKokutaiを読んでいるなんてよっぽど余裕があるか、定期購読か、藁をもすがる気持ちの方くらいかと思いますが、と りあえず超直前ですよ皆さん!!直線一気の差し馬代表ねじ子といたしましては、全勢力をそそぎ込んでラストスパートする時期です。自分で自分にムチ入れて かっ飛ばしましょう。

超直前にはまず、

1.全範囲に頭をならさなくてはいけません。

国試は全範囲が出ます。直前に「間に合ってないから」とか「苦手だから」とかいう理由で一つの科目だけ集中してやってしまう方がよくいますネ。循環器だけひたすら解いてるとか。…確かに循環器は重要です。出題数も多いし禁忌も多いし。でもそれだけをやってると、けっこう他の科目忘れます。他 の科目の「勘」を鈍らせている状態で、試験を受けてはいけません。ショボい刀しか持っていないのなら、せめてピカピカに研いで戦場に赴きたいというもの。 全範囲って、じゃあ何をすればいいの?という貴方は3.を読みましょう。必修や禁忌の問題集も意外と全範囲をカバーしてるので、オススメです。また、同様 の理由で、

2.もうこの時期になったらQBをつぶすのは諦めましょう。

ねじ子は国試5日前に100%皮膚科を解き終わり、そこで過去問題集つぶしを諦めました。内緒だけどQB呼吸器全然終わってなかったけど諦めました。本当にすみません。5日前ではあまりにナンなので、一応、一週間くらい前にはやりたい科目のQBおよび100問は、終わらせておくのが好ましいと思います。そしてそして、

3.大・見直し大会をしよう!!

試験直前にパニックになって気が狂わないために、この時期はとにかく自分がやってきたことを信じるための勉強をしましょう。それは復習。そう復習。なんで先月、おもむろに問題をコピーして集めておけと言ったのでしょうか?カードにしておけと言ったのでしょうか?それは、直前にそれらのカードの大見直し大会をするためだったのです!!ストックにしていたカードも引っぱり出して、全てのカードを見直しましょう。「まとめノート」を作っていた人は、それの見直しでもかまいません。自分の解けなかった問題の、大!復習大会を、この時期にやりましょう。これをすると、全範囲に頭を慣らせる上に、自分の弱点を短期間で埋められるので、精神的な地盤が安定します。

これまでそういうまとめ作業らしきものを何もしていなかった、そんな貴方は「模試で間違った問題のうち60%正解率問題の見直し&ここ2年くらいの過去問の見直し」(詳しくは先月号参照)を今からでも遅くないので繰り返しましょう。同様の効果が得られるかと存じます。

4。そして公衆衛生をしよう!

公衆衛生は2週間前からでかまいません。あ、言っちゃった。なぜなら!海馬における短期記憶の保存期間は、2週間といわれているからです。公衆衛生は社会科と同じです。意味のない年号を丸暗記しても、受験が終わったら綺麗さっぱり忘れてしまうように、忘れちゃう科目です。丸暗記しましょう。そして国試が終わったら2週間できれいさっぱり忘れましょう。

国家試験の点数は75%で良いのです。テキトーな確率ですが、半分の問題が完全に解けて、半分の問題が二択に絞れればいいのです。あきらめたらそこで試合終了だよ…という安西先生の言霊を何度もリフレインしつつ、最後のストレスフルな日々を乗り切っていきましょう。

一年間かけてお届けした「ヘタレによるヘタレのための」国家試験攻略法、如何だったでしょうか。真面目なkokutai読者の中で、きれ~いに浮い ていた当企画ですが、一人くらい「ねじ子のお陰で受かったよ!ありがとう!!」というヘタレ仲間がいらっしゃったら、ねじ子これ以上の喜びはありません。 それでは皆さん行ってらっしゃい!最後まで足掻けば、きっと良いことがありますよ。

2005年1月号 いよいよ一ヶ月と二週間前(不真面目ヴァージョン)

さて特集にてまじめな皆さんの一ヶ月前の過ごし方の例をご紹介しました。

※ 同号にて巻頭特集「医師国家試験勝手に受験マニュアル」が掲載されていたため。そっちが読みたい方はここへ。

こちらはちっとも真面目じゃないし勉強してないしどうしようという皆さんのための一ヶ月と二週間前の猛ダッシュ&スタンバイ講座です。

不真面目な受験生たるもの、まだまだ内科QBおよびマイナー問題集の一周が終わっていないくらいの根性でいなければ駄目です。そうであって欲しいです。そんな奴いないって?いやいや、必ずいるはずなのです。俺がそうだったんだから間違いない。すでにQBなどとっくのとうに終わっているような優秀な人達はこれを読んではいけません。フツーに特集を読んで下さい。

この時期にまだQBが終わっていない人に、2周目などあるとは思えません。そんなものがあると思うな。でもでも、QBを解いているとき、「もう一度見たーい」と思える問題はあるでしょう。全然手も足も出なかったり、ポイントの詰め込まれた重要な問題だったり、ある程度の繰り返しや暗記が必要な問題だったり。そんな「もいちど」問題には付箋をつけておきましょう。そんな付箋問題を、たとえば翌日の朝やその日のちょっと勉強に飽きた時間に、ざっと見て、それでも重要だと思ったら、解説も含めてその問題をコピーしておきましょう。そしてカードを作りましょう。カード等にするのが面倒くさかったら、QBを首っ引きで解く気がまるでしない疲れた週末などに、 ハサミとのりを片手に、カード作りに精を出すと良いです。それすらも面倒なら、コピーした束をまとめておいておくだけでもかまいません。コンビニへ行くの が面倒ならばコピー機orコピー機能付きfaxを買いましょう。そんなに高くありません。浪人して予備校に行くことを考えれば全然安いです。ねじ子の作っ ていたカードの見本はこれ。

作ったカードは持ち歩き、隙があれば見ます。電車の中でチラっと!お風呂場でもチラっと!覚えきったカードは分野ごとに束にして 保管しておき、理解しきれていないカードを、また持ち歩いて、何度か見る。それを繰り返しましょう。カードにすると、適当なときに適当な分野のものを作れ ること、後で分野ごとにまとめられること、軽くて持ち運びが楽なこと、そして覚えていないものだけ選んで持ち歩けることが利点といえるでしょう。

そして最も重要なこと、それは特集でも言った「模試の問題」&「昨年の復元問題」についても同様にコピー&カード化することです!!「正解率60%縛り」で引っかかった問題については特に作るようにしましょう。

受験の能力は情報処理能力です。特に医師国試のように膨大な情報量の試験では。よく出題される範囲を見極め、その中で自分が弱い穴を 見つけ、いかに埋めてゆくかがポイントです。QBをがむしゃらに全部解くのも良いでしょう。しかしそれは広いキャンパスを薄く塗りつぶすようなものです。 ねじ子にはそういう方法は向きませんでした。あまりにキャンパスが広すぎて。私はまず、出そうな所だけを濃く塗りつぶすこと。そして塗り忘れをどんどん潰してゆくこと。試験にあまり出ない部分は思い切って塗らない=捨てることを心がけました。模試および昨年の問題は「出そうな所」のエッセンスが詰め込まれた珠玉の問題集なのです。そして作ったカード群が「塗り忘れ」です。何度もそれを見ることによって、塗り忘れた場所の色をどんどん濃くしていく。それがパンダ式の真髄です。こうやって、内科QBは93回縛りで飛ばし飛ばしカード化し、神経を捨てつつ、マイナーはウロ放射麻酔整形を捨てそれ以外は「今日中に100%眼科終わらす宣言略してKG宣言」とか言って1~2日に1冊のペースで終わらせてました。

我々は差し馬です。他の学生さん達がとっくにスタートゲートをくぐっていた時期に、まだパドックどころか美浦の牧場で草をはんでいた我々としては、そのくらいこなしましょう。今はまさに第4コーナーと言ったところでしょうか。これからが差し馬および直線一気の見せ所です。次号はいよいよ10日前「短期記憶よ花開け」の巻だ!

今月の一言

2004年12月号 1つの本に1つの問題集を!

医学というのはホントにいろんな分野がありますネ。覚えるべき事も大量にあって、その果てしなさに気が遠くなっちゃいますネ。その全てを網羅するのは、よほど大容量のハードディスクを兼ね備えている天才様でないと不可能です。暇とやる気が無限にあるなら、「標準」シリーズを全て買って熟読し、整形外科手術のネイルの止め方を全て覚えてみたりするのもいいでしょう。でもでも。凡人たる我々にそんな暇はありません。国試に受かるためにはとりあえず出題されてるポイントをしぼることが重要です。「標準」なんていりません。

国試においては、一つの科について「一冊の参考書」と「一冊の問題集」があれば十分です。あくまで誤解しないように言っておく と、参考書は読むためのものではなく、問題集を解いていてわからない所を調べるためのものです。それをどの本にするかは人それぞれ。使い慣れた、好きなも のを選ぶと良いでしょう。私は「いつまでもだらだらとクローン病が続いて、とにかく問題収録数が多い」問題集が大嫌いだったので、シンプルかつ問題数を絞った問題集を好んで選びました。とりあえず阿呆ねじ子の独断と偏見に満ちた使用書物は下図。

産婦人科、特に産科

基本的な分娩の病態生理を、チャートでもコンパスでもいいので押さえましょう。とりあえずlate decerelation→急速推娩と、胎児回旋さえ わかっていれば何とかなります。しかし産科の陣痛胎児心拍数問題には難問が多く、解けない問題は全く解けません。QBとアプローチとコンパスで全部答えが 違うという素敵な問題もあるくらいです。受けた人間から言わせていただくと、国家試験会場でも、非常に微妙な陣痛胎児心拍数で答えが割れてたんですわ。再現を担当した人間の気持ちによって再現画像が違い、よって答えも急速推娩から経過観察まで様々になってしまうのです。

小児科

これはお世辞でも何でもなく、100%小児科と100問小児科が最高にオススメ。これ以上、いりません。100問小児科は前後編で総勢☆問もあり「どこが百問じゃ!嘘つき!嘘つき!!」と泣きたくなりますが、良問が詰まっています。

マイナー

昔、マイナーは科の持ち回り制で出題されていました。「今年は皮膚科の年」「今年はウロ」など、出題科目が決まっていたのです。よって対策も立てやすかっ た。そのかわり、やたらマニアックな泌尿器疾患や誰も知らない皮膚腫瘍が出ていたのです。QBなどを紐解くと、昔の年代の意味の分からない問題が大量に 載っているのはそのためです。とりあえず眼科・耳鼻科・皮膚科は頑張ってやりましょう。画像一発問題が多く、わかれば3秒で答えられますが、わからないと 手も足も出なくて試験中に悲しい気持ちになります。実は出題数も多いこの3科を制するものがマイナーを制す!…と、スラムダンクの安西先生も言っていまし た。嘘です。他は捨てましょう。あ、言っちゃった。間違えました。余裕があったらやりましょうネ!図の…(未)というのは、案の定、ねじ子、問題集解いて ません。ええ、解いてませんとも。えっへん。(いばるな)

次回はいよいよ試験直前だ!

今月の一言